「わけあり侯爵夫人は日陰者 剣聖の夫との恋は結婚四年目から (一迅社文庫アイリス)中村 朱里」セコム嫌い
あらすじ
男爵令嬢ナターリヤが若き侯爵ライオネルと結婚して以来、夫が領地に戻らず早四年。屋敷の片隅に追いやられている彼女は、意気消沈しているかと思いきや、案外、日陰者暮らしを満喫していた。ところが、剣聖となった夫が帰ってきたことで状況は一変!いきなり夫から優しくされる日々に、ナターリヤは困惑するばかりで……。一方ライオネルは、あらゆる条件をのみ込み、やっと手に入れた妻からの信頼度が使用人以下だと知り、想いを伝えようと奮闘するけれど――。噛み合わない夫婦のすれ違い結婚ラブファンタジー!
あわなかったなー!
これの世界観同じだけど続編ではないくらいのポジの小説が面白かったから読んでみたんだけど、びっくりするレベルでnot for meだった。
セコムやめろ
ほぼこれに尽きる。
雇い主であるヒーローではなく、ヒーローがこの人を守るようにと命じた存在であるヒロインのセコム化するお付きの面々。そのくらいなら仕事熱心と思えなくもないが、その結果雇い主たるヒーローに暴言吐くわヒロインに近付きづらい状態にするわで、こいつら被雇用者として大丈夫かとなってしまった。
別に被雇用者なら必ず雇用者に忠誠を誓えだのすべてのイエスマンであれだのは思わないんだけど、それにしてもさすがに目に余る行動ばかり×4(うち1人はヒロインの実家からついてきた使用人だからヒロインに忠誠誓いまくっててもおかしくはない)はキツかった。
この雇用者・被雇用者という部分の視点については、面白くないから無理にでも理由をつけようとした結果として自分のなかから出てきたものな気もする。とにかくおもんなかった。
セコム化の何が嫌って、セコムされる側がちやほや過保護にされて、本人は何もしなくても周囲の人たちがどうにかしてくれちゃうところなんだよな。わたしは自らの意思で何かを成し遂げようとする主人公が好きで、なおかつ苦難が前に立ちはだかるもそれでも頑張るところが好きなので、そういった部分を全てどうにかされてしまうのが合わない。
そんでこのおつきの人たちが中盤にヒーローの義母(血のつながっていない母親・前公爵妻)と相対するときに、それぞれ今まで隠されていた自らの本名や出自を名乗り、「ひぇぇっ、お前はあの家の○○!」「あの天才の○○・〇〇!」と恐れおののかれているところ、流石に面白すぎて笑ってしまった。ギャグかな。
1人くらいならまだ面白いにしても、これが4人続くと流石にどう頑張ってもギャグにしかならないんだよ……。しかも全員名だたる家の人々や名だたる暗殺者などで、そういうのが1人2人ならすげえなーだけど全員だと流石に笑うほうが先に来てしまった。
ヒーローもなんだかんだで結局お前4年間そんな状況に妻を置きっぱなしで改善してなかったよなとか、ヒロインはヒロインで頭ぽやぽやだとか、そういうツッコミどころが多すぎて合わなかった。前作が面白かったのは運が良かっただけっぽい。
ヒロインの謎が最後にばーんと出るけれども、こういうのって引っ張れば引っ張るほど期待値が上がるので、しょーもねえものならさっさと出してほしい。期待した分だけしょーもねえと「フーン」になってしまう。
前作は登場人物自体が2人なのでセコムがいないのと、最初は2人の関係性が出来上がって無くて魔術師のほうが主人公に対して敵愾心あったところを仲良くなっていく物語だったもんな。そりゃ好きだわ。