朝比奈若葉と○○な彼氏 (MF文庫J) 間 孝史

★★★★☆

あらすじ

ちょっと内気な女子高生・朝比奈若葉はクラスメイトの悪ノリから、ある「罰ゲーム」への参加を強要される。
それは、付き合いたくない男No.1にして学校一の嫌われ者・入間晴斗に「ウソの告白」をして付き合うこと。
憂鬱な気持ちで始まった晴斗との交際――だけど“嫌われ者”の本当の性格や行動を間近で見るうちに、暗黒だった少女の学校生活は最高の青春へと変わっていく――

WEB掲示板発! 不器用な女の子と嫌われ者の男の子が紡ぐ最高で伝説のハッピーエンドラブコメ!

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王道。ベタ。だからこそ良い。

いじめられっ子の主人公が次のいじめゲームとして言われたのが、嫌われ者の男子に告って彼女になって、相手が本気になったところでこっぴどく振るという最悪のゲーム。
キモオタ、デブ、おおっぴらにエロゲの話をする白饅頭。そんな男子に告らせられ、いじめっ子の命令通りにデートをしたり手作りお弁当を作ったり。
そうしているうちに、いつも朗らかで笑顔、話し上手に聞き上手と良いところばかりの彼がだんだん好きになっていって――というお話。

ベタと言えばとてもベタなんだよね、嘘告白から始まるお付き合いでマジになっちゃった話。
騙されて喜んでいる相手を笑いながら、もしくはありえないとキモがりながら、理由あって相手が喜ぶような内容をし続ける。
自分のすることに純粋に喜んでくれる相手の姿を見ているうちに、この人は私を本当に好きなんだなと思って次第に相手を好きになっていくタイプのお話。

でも、ベタって良いじゃん。
王道って良いじゃん。

そんな良いところばかりが詰め込まれたような話だった。ああもう可愛い……。

相手を知って徐々に変わっていく心情

っていうのがこういうパターンの醍醐味だよねーーーーー!!!

最初のうちは命令で嫌々やっていたデートや一緒に下校やお弁当作り。
でも、相手は毎回主人公の話を楽しげに聞いてくれて、うまく楽しい話をしてくれて、笑顔でいてくれる。
作ったお弁当をなんでも美味しい美味しいと食べてくれているし、映画のチケットも率先して買いに行ってくれる。
何をしても笑顔でいてくれてる男子といるうちに、次第に話すこと自体が楽しくなっていくし、明日会えるのも嬉しくなっていく。

エピソード自体はどれもこれもありきたりでよくあるタイプのものだ。
ああ、ラブコメだとあるよね、こういうの。どのエピソードも、エピソード単位で抜き出すとそう思う。
でも、この、『明日会えるのが嬉しくなっていく』っていうのが変化が大きくて。

主人公はいじめられっ子だから、今まではずっと学校に行くのは憂鬱だった。
でも男子と楽しくおしゃべりするようになって変わった、っていうのがすごく良かった。
相手によって変化していくのってすごく良いよね。世界が明るくなる瞬間。

今までいじめられっ子だった主人公は、次第に明るさを取り戻し、よく笑うようになっていく。
こういう鮮やかな変化は読んでいてとても楽しい。

男子は確かにエロゲの話を大声でするしアニメや漫画の話も大声でするオタクなんだけど、どことなくカラッとした朗らかさがあるんだよね。
だから全然嫌な感じがしない。
口調も古のオタク口調としか表現しようのないものなんだけど、じっとりとした湿っぽさがどこにもなく、カラッと乾いていて爽やかというか。
全体的に読んで心地よかった。

こういう部分で一番刺さったの、やっぱりキスのシーンかな。
キスしたくない、だからデートが中止だったら良いと思っていた主人公が、最終的には自主的に男子にキスをするわけで。
この心境の変化が、ああ本当に好きになったんだなと思えて微笑ましくなってしまった。

とはいえ、お付き合いは嘘から始まっている

その時点で、このお付き合いは全てが嘘だし、嘘はいつかバラさなければならない日が来る。
いくら今は本当に好きでも、告白の瞬間は、それは完全に嘘なんだから。

徐々に本当に好きになり、そして終盤に近づくにつれて主人公の頭がどんどんぶっ壊れていき、なんで好きになったんだっけ? そうそう、彼の人柄を見ているうちにだんだんだよ。馴れ初め? 私から告白したんだよ。いじめっ子で前は絡んできた女子が話しかけてきたよ? ああ私と彼氏の話が聞きたいの? とどんどんおかしくなっていく。
不穏さを大量にばらまいていくラストなので読んでいて不安があったし、ラストのラストで予想されていたやばい展開が現れたので、続刊でどうなるか不安だし不穏。

読書メーター見てみたら、これやる夫スレ出身なんだね。
そう言われてみるとあー……なるほど……と思う点もいくつか。
とはいえ、最後の最後まで面白かった。

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