「その色の帽子を取れ -Hackers’ Ulster Cycle-」評価難しいハッカー小説

★★★☆☆

あらすじ

彼らが選ぶのは秩序を守る白の帽子か、それとも混沌をもたらす黒の帽子か。

東京オリンピックを控え、加速するサイバー犯罪に対抗するため、高度な知的人材が求められる東京にて。クー・フーリンというサイバーセキュリティ製品をあつかうショウは、かつて同僚だったサクを探していた。
サクは優秀な開発エンジニアだったが、彼の失踪により会社は解散し、残された仲間も違う道へ進んでいた。ある日、ショウは知人に紹介された仕事を進める中、仮面に義手と義足という異様な姿の女性からサクの情報を得ることに。
廃屋に住む闇医者、落ちぶれたかつての上司、新型の拳銃をあつかう非合法員、さまざまな仲間に支えられ、ショウはサクに再会する。しかし、彼は――。
職業を決めることは人生を決めること。そう信じた親友同士の別離は、やがて大きな悲劇へつながっていく。
情報処理安全確保支援士、JNSAメンバーの現役サイバーセキュリティエンジニアによる、既存技術のみで描いたハッカーたちのドラマ。

このポストは約 3 分で読めます。

過去に親友であり失踪した今でも探している男の起こした犯罪をどうにか止めようとしたりその姉に懸想したりしている、周囲に変人しかいない主人公の物語。
ちなみに読んだ理由はこちらです。男同士の強感情が読みたかったんだ。

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すげー評価にこまる話だな、というのが読後の第一印象。

青春アミーゴみたいな男二人が破滅して云々みたいな話。
物語は現代軸と過去軸がだいたい半々ぐらい?で、この過去話部分が、元々パソコンなんて興味なかった主人公が親友に出会いどのようにプログラミングやセキュリティ関連の事情を愛していくかという物語。
そして現代話が、失踪以後探していた親友も主人公もどのように変わってしまって、どのように世界を破壊していくかという物語。
冒頭に現代軸、中盤に過去話、終盤に再度現代軸に戻り、物語に興味をわかせてから過去に戻って彼らの過去を語りだすというのは話として面白かったしするする読めた。

防御プログラム関連の話も面白くて、専門用語を多彩に使いながら、どこまでが現実に存在するものか、どこからが存在しないものなのか描かれていくのがすごい興味深かった。
終盤でITに接続されたものがバカスカハッキングされて信号はおかしくなり電車は高架橋から落下しろくに制御など無くなりエレベーターすら動かない世界っていうのは、実際こうなりそうとうリアリティもあってものすごく興味深かった。
終盤に行くに従って、前半の軽妙なテンションやキャラクターの語り口からはどんどん逸脱してダークで重苦しい物語にいくのは完全に予想外だった。出てくるキャラ半分以上死んでるじゃねーか。

目的としていた男同士の強感情部分もすごく良かった。天才肌の親友を補うことをまるで当然の物事のように行う主人公。補うということはそれだけ自分のほうが突出している点があるってことで。
英語は苦手な親友に変わって突然出てきた怪しげな外国人の英語での語りを対応したり、どういうものを顧客が欲しがっているのか噛み砕いて技術者である親友に伝えたりしている。こういう人が側にいたら天才肌の人もやっていきやすいんだろうな。途中でハサウェイに言われた「二人で一人」というのがしっくりくる。

知らん技術用語も解説が最低限のまま進んでいく。個人的にはこれがすごい好きで、ファンタジーのよくわからん理論が語られているみたいな、流し読みも出来るけれどもわかったらきっとすごいんだろうな!みたいな爽快感にも近いものがある。

ここまで書いてて思ったんだけれども、基本的に『面白い』より『興味深い』のほうが先立つ感情になる話なんだな。
面白そうな雰囲気はずっとある。好きな技術者について語るキャラたちもいきいきしていて楽しそう。主人公が「こういう設計にしたい」と話して親友がどういうプログラミングをすればよいか考えているシーンも想像がついてめっちゃ興味深い。
ただ、興味深いであっておもしれーのとこまで到達しないまま進んでいく物語だった、という印象。すげえ変な印象の本だった。

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