「警視庁アウトサイダー3」見事大団円の完結

★★★★☆,角川文庫お仕事,映像化,現代,男性バディ,警察

あらすじ

桜町中央署管轄内で空き巣事件が発生。エース刑事の蓮見は、空き巣被害者の不審な動きから密造酒への関与を疑う。被害者が入っている会員制「日本酒サークル」の主催者が有名な女性インフルエンサーだったのだが、彼女に目をつけると、相棒の元マル暴刑事・架川とともに違法薬物捜査の手法を使って犯罪を暴こうと目論む。
蓮見の父親が被った冤罪事件でも新たな証拠が見つかる中、敵側の罠により架川に逮捕状が――。異色刑事バディは真相を掴み、捻じ曲げられた過去を取り戻せるのか。第1シーズン完結巻、感動のクライマックス!

シーズン1のクライマックスからの大団円。
今まで続いていた蓮見の父親の冤罪事件がこの話で片がついた。

窃盗からの日本酒サークル事件にて、マル暴の捜査方法でどぶろくのやり取りをうまく見つけて証拠を得るまでの架川のやり口が見事。
1巻からずっと所轄じゃやらないような思考や行動で証拠を見つけ、蓮見がそこから推理とひらめきで事件を解決するという流れが完全にテンプレート化しているものの、毎回やり方が変わるのでおもしれー!と思うのはさすがの流れだなこれ。
蓮見のほうも、3巻ともなると架川のマル暴仕込みの行動や思考に対してのツッコミがどんどん減っていってるのも面白い。

その蓮見だが、普段は冷静に思考しているというのに父親関連の出来事となると一気に『刑事』から『復讐者』になるのが、彼がここまでにかけた思い入れを見せているようですごくキた。
実際に、父親の冤罪を晴らすために、蓮見は他人になりすますなんて無茶含めてここまでやってきたんだよな。バレようものならなんだかんだの罪で一発終了みたいな綱渡りをずっと続けている。今回架川が別件で陥れられて逮捕されかけたシーンもあり、それだけ敵は強大。にも関わらず琢己ぐらいしか助けなしで戦ってきた蓮見は、そりゃ思い入れもあるよなと思わされた。
でも、どちらかというと冷静で何かあっても自制が効く蓮見が涼牙を殴るシーンがぐっと来た。同時に、冷静だからこそ立石は命までも奪われない、けれども自分の父が捕まる理由の一端だから怪我するぐらいは当然だと全て計算しているあたりが恐ろしかった。

「蓮見さんは、どんな刑事ですか?」
 投げかけられた問いに、架川は胸を突かれた。優人の目を覗き、架川は答えた。
「困っている人も、間違ったことをしているやつも放っておけない……つまり、あなた譲りの最高のデカで、僕の相棒です。(後略)」

2巻で架川にそう評させるような蓮見が一気に闇落ちダークサイドに行っててビビった。

架川がそんな『復讐者』になりかけてる蓮見を心配したり気にかけたりするのもわかるんだよね。だからこそ最後のシーンでまるで父親のように頭をくしゃっとやるところがキた。
架川は道を違えようとしている人をほっとけない、というのは1巻から圭市の説明や描写で出ているわけで、そりゃあ蓮見も見放せないよな。

その圭市は明確に架川側なので、今回みたいな事件を起こした蓮見を今後同じように付き合っていけるのかというと難しいかもなと思った。

割と警察なめてんな?と思うシーンも多々あったし、これでいいのかwwwと思う部分もあり、そして黒幕は逮捕されずこの先に続く!となっているのでマジかよwwwとなりつつも、いい感じに大団円になって良かった。

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