「金星特急 1」壮大なプロローグ巻なのに不思議と面白い

★★★★☆

あらすじ

絶世の美女『金星』の花婿に選ばれれば、この世の栄華は思いのまま。だが花婿候補を運ぶ特別列車『金星特急』に乗って、帰ってきた者は一人もいない――。一目惚れした『金星』に会うため、入ったばかりの高校を中退して『金星特急』に乗り込んだ錆丸(さびまる)。やたらと腕の立つ正体不明の無愛想男・砂鉄(さてつ)と、天然大喰らいの美貌の騎士・ユースタスを仲間に、錆丸の途方もない旅が幕を開ける。胸躍る本格冒険活劇スタート!!

基本的に、そこそこ有名作家のシリーズ2作目以降に発生しがちな壮大なプロローグ巻もとい『どうせ2巻目も確約されてるんだからいい感じに謎ばらまいてキャラ設定だけ散りばめておこう、どうせ2巻も確定してるんだしこの1巻がそこまで売れなくても大丈夫』みたいなのが透けて見える本って好きじゃないんだよね。その1冊で面白くないので。
という人間が「いやこれ完全にプロローグ巻でしかないしキャラ設定とシステム設定をしているだけ、しかもまだ説明がされきれてないのに不思議と面白いな?」と思った。いやなにこれ。不思議な本だな。

この1巻において描かれている内容はたったこれだけ。

  • 主人公錆丸は、美貌の王子様っぽい騎士っぽい青年ユースタスと、ぶっきらぼうで粗野な青年砂鉄と共に、金星特急という謎の列車に乗る
  • 金星特急は『金星』という少女が『花婿候補』を選ぶために突如地球のどこかの駅に現れる――とされているが、本当に金星という少女が存在するのか、本当に花婿候補を選ぶためなのかは不明であり、乗ったらその後は行方不明。
  • 金星特急に乗ると突然客車が潰れたりする。
  • 錆丸は花魁の母から生まれ、育ての親は違う
  • ユースタスは大食いでめっちゃ強い
  • 砂鉄はめっちゃ強い

びっくりすることに本当にこれしかないのに不思議に読ませる面白さがあった。なんなんだろうなこれ。

金星特急という列車自体の謎は全く解き明かされていないし、なんなら主人公錆丸も何か隠し事がありそう。砂鉄は言わずもがなだし、ユースタスも本当に男なのか?という部分で不思議さを出している。あれだけ厳重なチェックの上乗る列車なので男だとは思うんだけど確定とは言えないし……。
本当にただのプロローグ、壮大なる序章。キャラクターは不思議と愛嬌があって面白いけれども会話が軽妙というわけでもないし、なんだろ、なのに不思議に読ませる勢いがあった。へんな本。

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