勿論、慰謝料請求いたします! (ビーズログ文庫) soy

★★★☆☆

あらすじ

無実の罪で私が悪役令嬢に!? Web発スカッと痛快★婚約破棄ラブコメ!

お金儲けが大好きな伯爵令嬢の私、ユリアス。
結婚も商売(ビジネス)だと侯爵令息との婚約を決めたのに「絶対に婚約破棄してやる!」と言われた。
原因は最近転校してきた庶民上がりの令嬢。
なぜか彼女の行動に既視感が……って、巷で人気の恋愛小説の主人公(ヒロイン)になりきってない?
その上私を悪役令嬢に仕立て上げるつもり!? 上等です! それなら慰謝料いただきます!

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なりきり厨だ!!!こいつなりきり厨だぞ!!!!

なりきり厨や前世厨あたりのワードを聞いてなにか思い出すものがある人間は同じ壺出身のインターネット老人会だから仲良くしてください。

一応説明しておくと、その昔、ネットというか2ちゃんには、嘘か真かわからない(多分大半が嘘くさい)とある報告が上がっていた。それがなりきり厨。
自分を物語のキャラクターだと思い込み、彼女ないし彼イコール自分と言い切る人々Twitterの時代になるとほぼいないのでぶっちゃけネタだと思っているが、この本における主人公の敵キャラはそのポジションの人間だ。

この物語の主人公である伯爵令嬢はお金を稼ぐことが大好き。一族郎党お金稼ぎが大好きで、現在は異国で買付なども行っている。
彼女がとある作家に書いてもらっている小説は現在大流行。筋としては、庶民が貴族の子供だとわかり学校へ入りそこで貴族や王子様たちと恋愛をして――という物語。ちなみに実際の人物を若干元ネタとしている。
その小説を予言の書とし、自分をその物語の主人公と思い込んだ行動を繰り返し、日常会話に物語の主人公の台詞を織り交ぜてくるイタい少女が現れた。

物語の主人公になりきって行動するキャラクターというあたりで古のあれこれを思い出して頭が痛くなった。なりきり厨……お前、三次元に居場所がなくなったら二次元に行ったのか……。
周囲の人間に嫌がられたり拒否られているのをものともせず自分を主人公と思い込んで行動するヒロインちゃん、ぶっちゃけとても心が強い。男へ色目を使い、女には嫌われる行動ばかりを繰り返す彼女、お前は物語の主人公がそういうふうに見えているのか。それはそれで問題があるような……。

そして、物語のなかで伯爵令嬢は悪役令嬢ポジションで、ヒロインちゃんをいじめる役割。最終的には婚約破棄されてしまう役柄。しかし伯爵令嬢は自分の婚約者に興味などない。むしろ浮気婚約破棄だから慰謝料をぶんどってやると気合を入れる有様で!という物語。

主人公がお金稼ぎが好きというのがここで生きてきて強い。ぶんどるために着々と下準備をするところが好きだし好感持てるー!
やろうと思えば立場と権力がある王子に証言させて「この男は浮気をしていた!」とやることだって出来るんだよね。でもそうじゃなく証拠を積み立てるというのがすごく好き。着実である。

悪役令嬢テンプレである舞踏会での婚約破棄を逆転させ、証拠大披露の上での婚約破棄慰謝料回収。いっそ清々しかった。
一応ざまぁ系ではあるんだけど、主人公がそのために(証言ではなく)証拠を集め、証拠集めの最中に自分が不利になる出来事が発生仕掛けた場合は逆にそれを利用しとうまくやっていくところが好き。
こういうざまぁだとあんまり違和感も不快感もないんだな。

逆にちょっと気になったのは、エピソードはいいんだけどキャラがどうなのよと思ったとこ。
具体的に言うとみんな主人公好きすぎやしませんかね。最終的にはヒロインちゃんすら回収してる。まともな敵対キャラ、まともな対立キャラというのが全然いなかったので、あーーーーと流されるように物語が進んでいった。最終的には王様すら味方につけちゃうもんな。はいはい逆ハー。みんな主人公大好き! はいはい。
対立するキャラはどうせこいつ簡単にやられるんだろうなと思うようなしょぼい婚約者殿ぐらいだし、ヒロインちゃんもなんかいい感じに改心しました~~はーいみたいなノリばっか。
キャラ立ての部分が面白くなかった。

また、主人公の微妙な世間知らず設定。うーん……恋愛方面だけ鈍いというのはありがちだけれど、これだけ行動はキレモノの主人公がそんなアホか?と思ってしまった。
キャラの個々の造形は読んでてうーん……?と思う場所が多いし、思考回路もなんだこいつら……と思うんだけど、起きたイベント単位で見ると面白いんだよね。ただキャラがハァ?となるような人ばかりなだけで。

最終的に「過去に似たような経歴の人間に小説を書かせて成功した過去があるからヒロインちゃん気取り女にも小説を書かせる」「そのために弱みを作っておいた」などの行動も、こいつうまいな!と思ったんだけど、それに至る感情の流れがどうにもなんだこいつと思ってしまった。
ひたすら行動と正確と感情がちぐはぐ。物語だけ追いかけると面白いんだけどね。不思議な小説だった。

ちょっと思ったんだけど、作中で出版された本、元ネタの人間たちが即座にわかるレベルってこれ大丈夫なのかなあ。例えば芸能人クラスの遠い人なら(それも全然良くないし場合によっては訴訟沙汰だったりもしそうだけど)まだわかるんだけど、完全に身近な人ってどうなんだろう。
こないだ読んだ出口ゼロのおまけマンガやわたしのおおかみさんのおまけマンガもそうだけど、腐女子主人公で身近にいる人を題材に本を出しました!ってあるけれど、あれも物語のテンプレパターンであって実際に本を出すレベルまでやる人ってあんまいないか、いたとしても明言してないんで、実際どんなもんだろうと思った。 バレたら即刻大炎上しそう。ネタと言われればそれまでだが。

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