「ガリ勉くんと裏アカさん 1 散々お世話になっているエロ系裏垢女子の正体がクラスのアイドルだった件」イキり中二病主人公を面白がれるかどうか

★★☆☆☆,HJ文庫現代,裏垢

あらすじ

彼女のえっちな裏垢を俺だけが知っている――

成績優秀だが、SNSでのエロ系裏垢漁りが密かな趣味の少年・勉。
ある日、クラスのアイドル・茉莉花を偶然助けて接点を持った彼は、最推しの裏垢女子・RIKAと茉莉花の共通点に気付く。
そして思わずカマをかけてしまったところ……本当に同一人物だと発覚!?

「ふたりだけの秘密にしてくれる? 私たち、ふたりだけの秘密」

利害関係の一致で秘密を共有した二人だが、接していくうちにむっつりスケベなお互いの相性がバッチリだと分かり……?
画面越しだと大胆なのに対面だと健全な純愛ラブコメ、開幕!

私は全く面白がれなかった!!!

割とというかもはやテンプレとしてよくある『カースト上位のヒロインの本当の顔や秘密を俺だけが知っていてそれによって仲良くなるぜ』モノ。秘密の部分が彼女がエロ系(とはいえ下着姿までで中身と顔は見せていない)裏垢女子だったという内容。
ちょっとした流れから主人公が彼女の秘密を知ったり、彼女を助けたりして、徐々に距離が近づいていく物語。
というかラブコメのつもりだったんだ? 『画面越しだと大胆なのに対面だと健全な純愛ラブコメ、開幕!』というあらすじをコピペしていて初めて気づいた。ラブの欠片もない。
主人公がヒロインに対して持っているのは脱いだ姿がエロいなという肉欲だけだし、ヒロインが主人公に対してどういう感情を持っているかは正直薄っすらとしかわからないんだよね。自分がピンチのときに口でどうにかしてくれた相手で自分のファンとして認識しているのはわかるんだけど、友人より上の特別な感情を抱いているとは思えなかった。

物語の流れはそれこそテンプレ通りで、主人公がヒロインの秘密を知ったり助けたりすることで進んでいく。
ただ、こういうテンプレの話だからこそ、主人公の性格が読者である自分と合うかどうかってものすごく大事だなと思った。今回の場合はマジで合わなかった。主人公がイキり中二病野郎にしか思えない。

主人公のイキりがきつい

メイクをしているヒロインが職員室に呼び出されて注意を受けているときに主人公は「確かに校則に化粧は駄目と書かれているが、生徒が見本とする教員は化粧をしている。ヒロインは尊敬すべき教師のマネをしているだけ」と屁理屈をこねる。
いやいやいや教師と生徒は違うしTPOがあるし、同じ学校に通うものとしても社会人と学生ではするべき格好も何もかも違うだろうが。
これだけの屁理屈だというのに、周囲の教師陣は何故か注意していた教師へと何故流れ弾をこちらに向けさせるのだと不快感をあらわにする。ここには馬鹿しかいないのか。

 理屈をこねようが情に訴えようが、校内の権力を握る教師を翻意 させるのは至難の業。
 生徒の立場で教師に立ち向かうのは非効率。
 だから、教師たちが相争う展開に仕向けた。

いや争わねえわ……。主人公、学年首位という設定のはずなのに、バカなのかな……。それで実際争う教師たちがもっと馬鹿だけれども……。
これ以外も主人公のセリフや思考の大半がイキり中二病にしか感じられないために、読んでいてひたすら醒めていた。

「てゆーか、職員室の時も気になってたんだけど……狩谷君って何かにつけてイチイチ悪者ぶるところがあるよね」

ヒロインから主人公への評価はこれだけれども、悪者ぶるというよりも、中二病でイキっているのでああいう台詞が出てくるんだろうなとしか思えなかった。読んでてとにかく痒くなる。

終盤でヒロインのピンチに助太刀に入った主人公が、これ以上ぐだぐだ抜かすならば主人公のノートをもう誰にもコピーさせない(=この場にいる人間全員、これ以降主人公のノートの恩恵を受けられなく成り、テストの点数が危うくなる)と言い放ったときの反応もまた、職員室の教師陣たちを彷彿とさせた。
主人公が元気にイキってそれで周りがひえー主人公様!となるシーンがちょいちょい挟まれることで、主人公のうざさが増す。すごい。

主人公、ヒロイン自体を見ているわけじゃないよね?

主人公がヒロインを庇ったり助けたりしているのも、彼女の裏垢のファンだからなんだろうな、肉欲が原動力なんだろうなと思えてしまってだいたい引いてた。
一応『あまり他人にかかわることのない主人公』という設定だからこのぐらいの距離感で描写しているんだろうな、という意図は読めるものの、主人公がちょくちょくヒロインの胸を凝視し、ヒロイン側から指摘されている描写があるので肉欲目当てにしか思えない。ヒロインはそれを嫌がるでもなく受け入れているのでセクハラじゃないけど、主人公の目的としてはうーん。

主人公が興味があるのが『茉莉花』という個人とは最後の最後まで認識できなかったんだよね。『裏垢のRIKAさん』の肉体は好きだけれども、イコール『茉莉花の内面』ではないというか。
いちおう最後の最後で『茉莉花と付き合った男たちは誰も彼女の内面を見ていなかったからこそ、別れてから彼女の欠点についてあげつらったりネタにすることが出来ない』という描写はいれてきたので、あえてヒロインが自分の内面を見せないようにしているからこそ主人公も彼女の肉体にしか目を向けていない――という落ちもできるかもなんだけど、どうもそうとは思えないんだよね。事前に冒頭で言われている内容的に。

  あくまでインターネットで集めた情報に過ぎないが、裏垢でエロ写真を放流している人間は、孤独感に苛まれていたり承認欲求に振り回されがちと記されていた。

この説明を何度か入れていることからして、物語的にはヒロインは誰も自分の内面を見てくれない孤独感に苛まれているからこそ自分の肉体を晒していると思えた。
でも主人公すら彼女の内面に目を向けていない。ならばやっぱりヒロインは自主的にそうしているのか、それとも主人公すら他の面々と同じに過ぎないのか。

どれにしてもなんかすげー微妙な主人公だな……。

口調でのキャラ付けが古臭い

じゃあ主人公が残念な分、悪役令嬢が人気になりすぎる乙女ゲーや主人公が転生する脇役のほうが人気が出過ぎる転生系のゲームのように他のキャラが魅力的かというと、そういうこともないんだよね。
他のキャラは、主人公の友人である天草史郎以外は全て名前すらないモブ。その天草も台詞がなんかすげー微妙……。現代日本設定で特に古風な喋りというキャラ付けがされているわけでもないキャラなのに、二人称が「お前さん」なキャラを見るとは思わなかったわ。確かに主人公と彼の台詞が並んでいてもどれがどっちの台詞かわかるけど古臭いわ。そのうち一人称がわっちになりそう。
でも主人公も「うむ」とか言うタイプだし、単純にこの作者さんによる口調でのキャラ付けが、数十年前の漫画のキャラっぽさがあるだけなのかもしれない。

なんというか、とにかく微妙で面白くなく、最初から最後まで主人公のイキりきっついなと思う本だった。

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