スリルミー3ペア見た感想(2023最新版)

舞台

過去のはこっち。

見てきた人

  • スリルミーは2014から、おかき以外は見てる
  • 最初に見たペアが親とするならまつこにが親

各ペアの感想

尾上廣瀬ペア

見た回数は1回。

最も歌がうまいと感じたペア。二人の声の調和具合が最も良く、最も聞きやすかった。席の関係かなと思ったけれども、同じようにセンブロだった松山よりもずっと聞きやすかった。
声の強弱や抑揚、感情の込め方が最強。感情を込めまくる尾上私と、演じ方の関係で感情は薄いものの音圧と歌のうまさでぶん殴る廣瀬彼。兎にも角にも歌がうまく演技も強い。なんか一番圧倒されたペアかもしれない。
YouTubeのダイジェスト映像だとマイクの関係なのかあの歌のうまさが全然出て無くてとにかくもったいない!! この二人の歌を!! 聞いてくれ!!!

人の心なさそうな彼が、僕のメガネあたりから転落しはじめ、取調室でぼろぼろになり99年でトドメを刺される。とても好きな彼です。
というか親の小西彼がわたしが見た回がかなりこのパターンだったので見やすかったのがある。人の心うすそうな彼がぼろっぼろになり、99年で階段の上に追い詰められたときにはもう私を怯えきって完全にダメになってるの、最高に刺さった。
そもそも廣瀬彼ってあんまり尾上私を好きじゃなさそうだし、「いつかのように」のいつかは本当に存在するんですか? と思ってしまった。幼馴染というのすら詐称じゃないかと思うぐらいに幼馴染感がない。この彼自体お前と違って友達たくさんいるというのも嘘くさい。信奉者や信者はたくさんいそう。
態度がでかいというか、高圧的な彼なんだよね。取調室で私を懐柔する時、懐柔がうまくいかずそっぽ向かれたので「あ゛あ゛!?」と怒鳴ってめっちゃ怖かった。それは人にものを頼む時の態度ではない。普段からそうやって他人を意のままに動かすのに慣れていたし、その際たる相手が私だったんだろうな。
足がめちゃくちゃ長く、瞬きすらろくにせず前半は特に表情があまりにも変わらないので彫像のようだった。その状態の口から出てくる「ハ゛ン゛マ゛ー゛で゛頭゛を゛割゛る゛!」が怖すぎるし、そんな人の「怖いんだ」と口元に手をやりながらつぶやくようにいうの、まじでいい転落っぷりだった。

対して尾上私。
ライトの使い方が神がかり的にうまい。19歳と53歳の演じ分けがものすごかった。小太りの冴えないおっさんが小太りの冴えない少年となる。その冴えない雰囲気だった少年が99年で彼を食らうような化け物になる。スリルミーのめっちゃいいとこ全部特盛詰め合わせみたいなペアだな。
ただこの私が一番彼に対して持ってる感情がうまくつかめなかった。そこにあるのは愛なのか?と、前回の成福とは違う方向で何度も考えた。取調室でもしかしてこの私はとうに彼を見限ってるのでは?と思ったのは初めてだった。

最後の「待ってたよ」に対する「レイ」。
今までは過去にこんな声で呼ばれたことが有り、過去の経験から記憶に基づいて出てきた声だと思ってた。特に2021のペアはどれも作中で出してた声だったので。
でも尾廣で初めてこれは幻聴なのかもって思った。あんまりにも優しく甘くて、いやいやいやいや絶対こいつこんな声出したことないわーーーーー!?という声だった。怖かった。希望的幻聴だよそれは!!!

木村前田ペア

2回見た。2回で方向性がかなり変わってて驚いた。

1回目は彼がことあるごとにアヒャ笑いをし、私はすごい自信満々で「僕だけだ こんなにも強く強く君を求めているのは」と歌い上げ、歌詞の一部を台詞にしまくる。あまりにも知らんスリルミーで面白すぎた。
前田彼が時々笑い声をあげるんだけど、そのタイミングが感情が高ぶった時はわかるんだけどそれ以外も結構あげまくってたんだよね。脅迫状を書いている最中だとか。そのせいですごく不安定な奇人の印象を受けた。
その奇人をすごく大事で、自分こそが君に相応しい人間だよ! と強く高らかに歌う私、あんまりにも自信があって強くて笑っちゃった。
なんというか、君は僕のものだとでも言いたげな圧があったんだよね、木村私。だからこそ、もしかしてシャワー室で彼が死んだのも全部木村私の手のひらの上じゃないのか?とすら思ってしまった。
最後の「スリル、ミー!」で私が笑っていたのもあり、これは私からしたら間違いなくハッピーエンドだった。

https://lp.p.pia.jp/article/news/280834/index.html

木村 僕はハッピーエンドにしますよ!
前田 そうですよね! 今話したことが実現できるように頑張りますので、ぜひよろしくお願いします。
木村 素晴らしい〜、僕ももう一度言います。最高のハッピーエンドにします!

まじでハッピーエンドにしてきてた。

対して2回目に見たときには、彼のアヒャ笑いがほぼ消え去り(塩酸で顔を焼く云々話しているときぐらいかな?)、歌詞の一部を台詞にするのをやめ、私の自信が減っていて驚いた。同じペアで公演期間のなかでここまで変化するんだね。
代わりになんというか幼馴染感がすごく上がり、彼から私への好意もものすごく明確にわかる気がした。彼がことあるごとに私へ困ったやつだなあとでも言いたげな甘い笑みを向けだして、めっちゃ愛あるペアだ……とビビった。キス前にふっと笑ったりと彼が全体的に甘い。
でもこの彼が一番何があっても最後は殺人に向かうしかなかったのだなという印象を受けたかも知れない。上から荷物が落ちてきて走り回ったときにはすごく満面の楽しそうな笑みなのに、盗んだ荷物の検品作業に入るときにはもう楽しそうな色合いが完全に消え去っていた。この彼にとって事件を起こしているときしか興奮は出来ず、そのスリルにも慣れて目減りしていく以上、最終的に人を殺すのにたどり着いてたんだろうな。
そして私のほうも完全に彼に惚れきっているからこそ「絞首刑になるかもしれない」「それでもいい」みたいなやりとりのときの雰囲気からして、とうに腹をくくっていたのだろうなと思えた。1回目に見たときは「それもいい!(めっちゃいいじゃーん!一緒に死のうぜ!)」ぐらいだったのが随分と大人しくなっていた。
とはいえ、死にたくないでにやっと笑う瞬間あたりの強さは健在で、うわーーー成河私の系譜!?となるんだよね。あの手のひらの上の恐ろしさはその系譜。

今回見たのの中で最も彼から私に恋愛感情を感じたペアだったかも。廣瀬彼が尾上私に愛があるとはあまり思えなかったし、山崎彼が松岡私に持っているのは友情であって恋愛感情という雰囲気がなかった。
そういう部分も相まって、今回見た中で2回めに見た木前が最もスリルミー初心者に見て欲しさがあった。

そして今回見たのの中で最も彼が殺意が高いペアだった。殺人道具のチェックの念入り具合が一人だけおかしかった。お前マジで殺す気だったんだな。

彼のほうが背が低くて下からキスをするのが新鮮。ウィキやサイトを見るかぎり二人共身長180cmのはずなのだけれども、彼のほうが並んだとき小さく見えたのは猫背にでもしてるのか靴の関係か(2021松山は私が意図的に背を低く見せてるなと思う瞬間が多々あった)。そのため、彼のほうが下からちゅっとキスをする部分があり、おもしれーと。
こういうのを見ると2014おかき見ておくべきだったと思う。あそこは公称身長が彼<私のペア。

歌う時、わたしが見た回が運悪かったのかも知れないが、彼のほうがあまりミュージカルっぽくないというか声かっすかすになる瞬間があって気になった。時々ここ声量小さすぎない?と思う場所も。
でも声量全部小さいとかじゃなくて時々全然足りて無くなるっていう状況なのでわからねえ。演出的にここは声を小さくしておこうということなのか? 火の粉弾ける歌が聞いてて最も微妙だった。
下手側に座ってても彼が下手にいるのに声が小さいと思う瞬間が多くて、あれなんだったんだろうな。

松岡山崎ペア

3回見た。

3回全部雰囲気が違っていて、同じペアで公演中にここまで変えるのかとは思ったんだけれども、その中でも共通して『ノンセクなのかアセクなのか単純に性嫌悪なのかしらんが、私から性的な行為を求めるとしんどい様子を見せる彼と、性的行為をしたくて強要し結果的に性加害となる私』という印象だけは全く変わらないのが興味深かったペア。
最も身長差が大きく彼のほうが背が高いのに、ちょいちょいキスのときに押し負けたりスリルミー前のアレなどがあり、すごく私が積極的というか、無理やり感が強い。過去に見たペアたちって今度は僕の番だ抱きしめてほしいに関しては『面倒だけど付き合ってやるか』という雰囲気が強いのだけれども、このペアだけ明確に『ものすごく嫌だしやめてほしい』という雰囲気が出ている。
「今はまだダメだ」が本当にダメっぽいんだよね。前田彼は30分ぐらい待ってたら全然ダメじゃなくなりそうだし、廣瀬彼はそのまま騙して放置しそうだけどそういう意味のダメとは違う。このペアだけ明確に私から彼への性加害に見えた。

1回目に見た時はかなりスタンダード。99年するときに無理に子供が背伸びしているような必死さがあった。
このペアは全体的に会話のテンポ感が早めなんだけれども、初回に見たときが最も早く感じた。これリピーター以外台詞聞き取れるか? 大丈夫か?
彼がすごくにこやかで楽しげに笑うので、この彼友達多そうだし、だからこそ私も必死になるんだろうなと思えた。

2回目は全く知らないスリルミーが始まった。彼に対してポンポン文句つける皮肉屋の私とそれを特段気にしてない程度には友達関係が築けている彼、なんかマジで知らんものがあったんですが? 木前1回目並に知らんスリルミー始まったんですが……。
同じスクリプトでも全く別物になるというのは、スリルミーという演目自体でわかってた。今回も3ペア全部雰囲気違うし。でもここまで雰囲気違うの初めてだった。
「待ってたよ(遅刻なんだけど?)」「触ってください(これでいいだろ)」「契約法の勉強に役立つねェ!(僕はこんなことしたくないんだけどね!?)」という、言い方ひとつで言葉の裏に隠れた皮肉や不満が噴出しまくってた。まじで面白えなこの私。なんなんだお前のその強さ。
彼んちで「俺が寝てるところを見てればいい」からの、ニーチェの本渡されるときにはこいつ胡座かいてるよ。強すぎない? 態度がでけえ。
対して彼は、全体的にすごく幼く見えた。19歳ではあるんだけれども周囲に年かさの人間がいたせいでの幼さというか。このペアだけ、血のサインのあとに彼が私の持ってるハンカチで指を拭く。成福のようにハンカチを差し出されるのではなく、私が指を拭いたあとにぼんやり持ってるだけのハンカチで、子供が手を洗った後勝手に他の子のハンカチで手を拭くようにナチュラルに手を拭く。他にも取調室での私の懐柔のときにすごくしんどそうな顔でキスしながら私の胸元をぎゅっと手で掴む。他ペアが私の胸元弄るのに比べてすげえ幼く見える。
スリルミーって、今まで彼の言うこと聞いてひどい目に遭わされてばかりで言うこと聞いてもらえなくてな弱い私が彼を巻き込んで自爆した、と思わせて実は全部手のひらの上だったよってひっくり返すのが面白い舞台ではある。でもこの回の場合、力関係が最初から彼<<<私なのでひっくり返す面白は間違いなく半減してた。けど、リピーター的にはこんなスリルミーもあるんですか!?とめっちゃ面白かった。初見には絶対勧めない。

3回目は比較的スタンダードに寄せてるんだけど、スリルミー前あたり「今度は僕の番だ」あたりから声のトーンが突然下がり雰囲気が変化し突然ホラーになる。
というか、私がそういうことしたい!の圧がすごい。バードウォッチングのあとのキスするときに2回目は私からぐっと行くとか、「抱きしめてほしい」がどう聞いても呪いの言葉だとか。スリルミーの最後のスリルミーでオクターブ上げる(成河私と同じ)のが、時々声がひっくり返る松岡私のキャラにものすごく合ってるんだけど必死さの表現としてめっちゃ怖い。この声がオクターブあがるのは3回目だけで見れた。彼がボタンを外すのを仁王立ちして待っているの怖い。彼を押し倒すときの勢いがめっちゃ強い。

ちょいちょい、成河私みたいな強い私がしたいのかなと思う瞬間はあるんだけれども、あれは成河私の相手が「抱きしめてほしい」を面倒くせえな……という態度で流せる強強の福士彼だからこそ出来た所業だと思うんだよね。それに成河私は少なくとも前半は可愛らしく見せかけるだけの猫をかぶれた。
対して松岡私、特に2回目見たときには序盤からフルスロットルで圧倒的強さと強靭さと欲を表に出してくる。強い。可愛げというより小憎たらしげのほうが強かった。好き。そして相対する彼が、彼のなかでもかなり弱めの山崎彼。勝負が見えてるというかなんかもう可哀想になった。
皮肉屋の松岡私とこの世のすべてに意地悪な柿澤彼で組んでバトってほしい気がする。めっちゃ悪いコンビとして高校では名を馳せていそう。怖い。見たい。

松岡私が身長差を利用して山崎彼の顔を覗き込むことが多いのが印象深い。
「いちばん大切な僕の元へ」で顔を見ようとしたら煙草を吹きかけられる、スリルミー事後に虚ろな彼の顔を見ようとする、99年の「僕のものだ」で体をぐーっと横倒しにし、俯いた彼の顔を覗き込もうとする。そういう部分に執着が溢れてる。怖い。

2021のクロストークで、成河さんが自分たちは2日めのカレーだと話してたの思い出した。今回の松山はそれこそ2日めのカレーで、こう来るかというカレーの味わい。めっちゃ美味しかった。

どうでもいいペア差分

本当にどうでもいい。

殺害道具の検品方法

廣瀬彼:ロープを軽く→ハンマーの頭を掴んで抜けないか確認→塩酸さくっと→タオルは出してから空中でたたむ

前田彼:ロープは両手で引っ張ってから足に引っ掛けてクロスさせてちぎれないか確認→ハンマーは頭に柄の真ん中部分押し付け頭と端っこ掴んで押し付けて折れないか→塩酸は蓋を開けて手であおぐ→タオルはろくに確認せずさっさとハンマー包んで仕舞う→ロープを仕舞う前に再度確認

山崎彼:ロープは両手に巻き付け引っ張る→ハンマーは左手にぽんぽん叩く→塩酸は蓋を一度開けただけ→タオルは出してから立てていた片膝に乗っけて丁寧にたたむ→仕舞うときに再度塩酸の蓋がしっかり閉まっているか確認する

タオルの処理が彼ごとに違うの面白いね

盗んだものの検品

全員左手で確認して左側に置く。
2021のトーク配信で新納さんが「俺はこう置けって指示されたのに他の人たちは適当に置いてる」と言ってて、実際福士彼と山崎彼は右手で出して右側に適当に転がしてたはず

懐中時計の位置

松岡私だけ左ポケット、他2人は右ポケット

チケットに関して

通常の先行を終えてから、注釈付き席(前方Fより前の段差なし列でド上手と下手2席ずつ)、注釈付き補助席(更にそれより上手と下手に1席ずつ)の発売

以前は200人近く並んだという当日券。

今回からは当日引換券となり、立ち見(6席)は前日の18時からホリプロ公式にて発売。更にキャンセル待ちチケットが前日の18時半から発売。 当日引換券は立ち見オンリーっぽいけどキャンセル待ち(当日行って席があるかどうかわからない、ぶっちゃけ以前の当日券みたいなもん)は席ありも有り。ただし行ってみるまで席がわからず、9500円の椅子ありなのか6500円の立ち見なのかは不明。
立ち見は時間ジャストに入っても△だから10枚以下ぐらいは△なのかな? 10/01木前代替公演は席ありが◯表記立ち見△表記だった。
個人的には完全運勝負よりはずっと取りやすかったっすね。運勝負はまじで完全に運すぎるので。

平日の日中見てるとホリプロチケットセンターにてF列あたりがときどき発生してた。関係者席の開放かな

今回は9/21の木前が関係者体調不良で休止になった分、10/1に追加公演。前日の18時から当日引換券を販売してた。

今回は(も)どのペアも雰囲気がそれぞれ違っていて特色があって面白かった。個人的にスリルミーは2ペア見比べてからが本番と思い込んでる人間なので、見比べがすごく面白かった。
しかも同じペアでも日によって随分雰囲気が違うので、同じペア何度見ても面白い。2回めに見た松山の皮肉げ私なんて初回に見たときは絶対想像つかなかった。本当にものすごく面白かった。やっぱり3ペアかつ複数回みたいな、スリルミー。

弱っている友達につけこんでその時点でチケットとれるペア見てもらい、終了した後に友達に「おもしろかった?これ結構ペアごとに雰囲気違うんだよ、次の木前回のチケットあるけど見る?1万ある?ありがとう、譲ります」という形で強制的に2ペア観劇させ終了後に感想聞いたりもしました。突然1万カツアゲする女と友達やめないでくれて本当にありがとうございます。

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