「あのね、じつは、はじめてなんだ。 ゆるそうでうぶな彼女との初体験まで、あと87日」慣れてるふりした二人の初々しいラブコメ

★★★★☆,ファンタジア文庫デレデレ,ラブコメ,両思い,付き合ってる,学園,恋愛,現代

あらすじ

「本当は処女だなんて言ったら……幻滅、するよね……?」

学校一モテると言われながらも、実は童貞という秘密を抱える少年・隼。
彼に初めてできた恋人――それは長い片想いの相手にして、学校一“ゆるい”と噂の少女・日和だった。
しかし――実は彼女も秘密を抱えていた……『未経験』なのである。
「あ、ブラのホック、外れちゃった……留めてくれる……?」
お互いに見栄を張ったデート中も、抑えられないドキドキ。
「え? ……ら、ラブホ? 行くの? べ、別にいいけどさ」
強がりやハプニングが、ふたりの心の距離を近づけていく。
「その、最中に……私の名前を呼んでほしいなって。駄目?」
これは、ふたりが『初体験』を迎えるまでの87日間の物語。

初恋同士は可愛い

あーーーもうこんなん可愛いに決まってるじゃん。

最強同士がお見合いをした結果の現代モノかつコメディ抜き版っていう感じ。というか、同じような題材(相手は恋愛慣れしている恋愛強者だ!という思い込みをした主人公とヒロインが、自分は恋愛弱者だとバレないように振る舞う物語)でここまで方向性が違う雰囲気になるのが面白い。

ちょっとしたシーンで、相手はこういうの慣れてるから!と勘違いし、自分もそれに合うように必死で慣れたふりする二人がものすごく可愛いんだよね。カラオケでブラのホック外れたヒロインが主人公になおしてもらうシーンで、がばっと服を捲り上げる。ヒロインはやっぱりこのぐらいのこと慣れてるのか!?と動揺しきりの主人公が見ていて応援したくなるし、童貞バレしたくないからと慣れたふりして直してあげてなおかつこのぐらい気にしてませんよと必死こいて平静を装うのが初々しくて可愛い。ヒロイン側もこのぐらいじゃ動揺しないってことは慣れてるの!?と勘違い誘発させちゃうし本当に可愛いかよ。

どっちかが陰キャだったりヤリチン/ビッチではないと認識していたらこうはならないが故のすれ違いと動揺、あまりに可愛い。

主人公の性格がとにかく良い

主人公がヤり慣れてると認識されてるの、女の子全体に対してそこそこ優しいからなんだろうなーっていうのが話の端々から感じられてすごく好き。

これ、そもそもの性格の優しさと物腰の柔らかさ、女子全体に対して傷つけるような発言をせず性欲を顕にせず、本命がいるがゆえにがっついてこないという丁寧さから、逆に女に頑張らなくても良さそう=ヤリ慣れてそうに見えるんだろうな。ヒロインに本気で惚れてるからこそぐいぐい来ないのって絶対他の女子からしたら安心できそう。プラスでヤリチン陽キャ軍団のなかにいるので当然そういう属性の人間と思われている、というのもあるだろうけれども。

バイト先の先輩とのやりとりも全然下心なく物腰柔らかく対応するんだよねー。自分に告白してきてくれた女の子への対応もめちゃくちゃいい。絶対に振り向かないとわかってても、こんな性格の良くてこちらを気遣ってくれる人、性別問わず意識してしまってもおかしくない。

これ、物語としてはヤりたいざかりの10代の高校生がヤれるまでの物語じゃん。章のラストに毎回初体験まであと◯日って出るし。死ぬワニかな。だとしてもかなり下品にならないのはこの主人公のがっつかなさがでかいんだろうな。ヒロインと2人でラブホに行ったシーンですらヤりたいキス気持ち良い好き大好き可愛いという感情はあるけれどもヒロインが怖くなって拒否したらそれを許容し一端引ける。でも不能系主人公とは違ってヒロインがめちゃくちゃ好きなのも伝わってくる。いやこの主人公、めちゃくちゃ推せるんよ。

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