「幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたい1」主人公の逃げ癖が酷いが幼馴染はめちゃくちゃ可愛い

★★★☆☆,HJ文庫ざまぁ,ツンデレ,三角関係,同級生,学園,幼馴染,恋愛,片思い,現代

幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたい1

幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたい1

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あらすじ

特殊な生い立ちから、人の心が理解できない少年・藤堂剛。友人の少女たちに裏切られた剛は、特殊な力で己を守ることにした。その力――『リセット』で彼女たちへの感情を全て消すことで。しかし、照れ隠しでついた嘘が原因で剛に『リセット』されたことに気付いた幼馴染の花園華は、素直になれない自分を反省し、剛との関係性を一から作り直すべくアプローチを始める。「普通」を希う不器用な少年が、少女たちと関係を「やりなおす」ことで青春を取り戻す物語。

うーん、幼馴染ヒロインの魅力のみで読んだような本だった。幼馴染ヒロインはものすごく健気で頑張ってて魅力的なんだけど、じゃあ対して主人公にどのぐらい魅力があるの?と考えたときにわかんないっすね……としか言いようがない。
タイトルに普通に青春を送りたいってあるけどこれただ読者を釣るためだけのタイトルで、主人公は一ミリもそんなん思ってないでしょ。基本的にそういう感情を持ったり考えたりして行動している人の動きじゃない。

これ主人公が相当特殊なんだよね。
他人の気持ちは理解できない、空気も読めない、仕草や表情や声音で何を考えているのかも想像できない。小説や映画を見ても登場人物の感情が一切理解できない。そのため空気を壊すし怒っている他者に「なんで怒っているのか」と訊くぐらいのおかしさがある。一種の特性持ちな気がする。
幼馴染は幼い頃からそんな主人公の手を引いて周囲からいじめられていたら庇って一緒にいてくれていた。照れ隠しにツンデレ発言が多いが、読者的には台詞から照れ隠しとわかるし可愛いなとおもえる程度の幼さ。いわゆるお世話係だったのかな。だからこそこいつには自分しかいないと思ってしまって無茶振りして、主人公が傍目からしたら都合の良い男になったわけだけど。

地の文が淡々としてるから勘違いしそうになるけれども、主人公は感情がないわけじゃないんだよね。ドキドキもするし裏切られたらかなり明確に怒る。でも他人の感情はろくに理解できない。感情がないわけじゃないけど無理して淡々とさせているようにも見えるので、なんとなく主人公に厨二病っぽさを感じてしまった。「俺は感情がない……(めっちゃある)」系の。
そして空気が読めないけれども自分の『気に食わない』『傷つけられた』『ひどい目にあった』の感情はあるからこそ、他人への感情をリセットする。

この他者との行動の思い出は残るけれどもその人への感情が消えるというリセットという行為、主人公の精神防衛の行為ではあるし、過去になにかしらあったからというのはわかるけれども、読み手としては逃げているだけにしか見えなかった。
過去にあった何かしらをある程度描写してくれたらいいのだけれども断片をバラバラ出していくだけで明確に何があったかはわからない。結果的に嫌なことがあったから相手と向き合ったり対話したり何が間違っていたか考えたり自分をどうにかしようとするのから逃げているだけにしか見えない。その逃げの行為によってヒロインたちが結果的にざまぁされた形になり後悔しているけれども、これ過去には主人公のクソ面倒くさい対応から逃れられて安堵した人もいるんだろうな。

ていうかこのリセット自体も完全に消去できるわけでもないので、とにかく「リセットしましたー俺はもうお前なんて好きじゃないですぅー」みたいな痛々しさに拍車をかけていく。関係性をちゃんと築くのからも、相手からも、とにかく逃げ回っているだけにしか見えなかった
更に主人公は頭脳も超天才、体力身体能力も化物。これに感情がありませんを乗っけた場合、もう正直、うーん……(作者か主人公が)中二病だなあ……という枠組みに入ってしまった。

これだけ文句を言い続けても読めたのは、冒頭に書いたとおり幼馴染ヒロインがとにかく可愛かったから。
自分のツンデレ発言で傷つけてしまったからこそ今度は主人公を傷つけないようにと頑張って行動しているのが健気で好感が持てた。照れ隠しでついキツめの発言をしてしまうことがあっても「これは本当は嬉しいの!」とつけ加えて主人公に本心を伝えようとしている。頑張ってる。可愛い。
そもそもツンデレってこういう他人の感情を読めない、言葉の裏側を理解できない、感情の機微を拾えない人間にとっては相性が悪すぎるんだよ。むしろ今までよくやっていけたよ。似たようなこと、絶対何度もあっただろうに。

でもこの子にとっては主人公と付き合ってるような気持ちだったんだろうなあ。放課後に主人公のおごりで飯食いに行ってたの、絶対デートのつもりだったでしょ。彼氏から奢ってもらう彼女のつもりだったでしょ。切ねえなあ。
でもなんで残念美少女と作中で言われるぐらいだから外見は美少女のこの子が主人公をそこまで好きなのかわからない。主人公、好きになる場所ねえんだよ。お世話係してて情が湧いたのかな。

他のヒロインだとバイト先の田中さんは可愛かった。陸上部所属の後輩や委員長に対してはかなり作中でざまぁ色が強いんだけど、リセットされて悔しいとか嫌とか思うぐらいに良いやつには思えない主人公なので、うーん……の気持ちのほうが強かった。
委員長としては自分を好きだと思ってて長時間一緒にいたから自分も薄っすらと好意を持ってた男子が拒否って来たからムカつくのと悲しいの、後輩からしたら一緒に走ってくれてて恋愛感情じゃないけど好感は持ってたしこのぐらいしても許してくれると思ってた人が許してくれなくて悲しいのというのはわかるんだけど、うーん……。
なんていうか、シンプルに気持ち悪い。

あとヒロイン、全員台詞で読み分けしやすいようになのか語尾の癖があるの雑い。田中さんのじゃんじゃん、普通に話し言葉としてもおかしいだろそれ。

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