「ギルド最強VSクールな受付嬢 あなたを攻略できるクエストはありますか?」一途主人公がクールツンデレヒロインを落とすのは最高
あらすじ
超難度SSS級クエスト! 初恋のあの人を攻略せよ!!
「アリサさん、俺とデートしましょう!!」「お断りします!」
圧倒的クエスト受注数と驚異の達成率100%でギルド《最強》を誇る少年・レイジ。そんな彼が唯一攻略できずにいる存在、それは――ギルドの高嶺の花・受付嬢のアリサさん。
レイジの熱烈アタックを華麗にスルーし、その想いを頑なに拒否するアリサ。実は、かつてレイジと同じ冒険者だった彼女の心には、恋より先に倒さねばならない仇敵の存在があり……。
「そんな奴、俺がぶっ飛ばしてやりますよ!!」
アリサのため、《最強》の真価を問われるレイジ。そんな彼の姿に、難攻不落なアリサの心も少しずつデレていく!?
そうだよ! こういうの!! こういうのが好きなんだよ!!! って全力で言える物語だった。
なにかのために頑張る主人公が大好き! 最高!!
一途な主人公と、変わってしまったヒロイン
助けてくれた女性に憧れて魔法を勉強し始め、そしていなくなってしまった彼女を探し、彼女がいるとの噂を聞きつけたギルドへ行って冒険者になってしまった主人公。しかし優しかった彼女はずいぶんと雰囲気が変わってしまっていてあの頃のように笑ってくれない。それでも自分が好きになった彼女だからと全力で好き好き大好きと求愛し続け、結婚してくださいと事あるごとに言いまくる主人公がめっちゃ好感度高い。しかもその一目惚れは5歳。思いが長い。
主人公レイジは結構ぐいぐい行くけれども、ヒロインであるアリサが本気で怒るなというタイミングではおふざけ止めるし、空気は読む。会話内容自体はギリギリ、本当にギリッギリ求愛……というラインではあるんだけれども、二人の会話の軽妙さやレイジの引き際の良さがあったので、無理矢理という雰囲気もなく良かった。
ギルドの雰囲気的にも本気でアリサさんが嫌がってたら誰かしらがレイジを止めそうではあるんだよね。にもかかわらずバーサーカーなんてあだ名つけられてアリサさんへの求愛を面白そうに眺められてるあたり、面白い日常風景っていう雰囲気扱いされているのかも。
主人公が自分に惚れてもらおうとぐいぐい行く話が好きなので、この話はレイジがアリサさんに好きになってもらおう! 愛してもらおう! ずっと好きな憧れのお姉さんであり初恋の女性に結婚してもらおう! と全力で行くところが読んでて楽しかった。
異世界種付けおじさんなんかもそうだけど、自分から目的のために全力で好きになってもらおうとする人に弱い。いや、ハーレム狙い種付けおじさんとアリサさんに全力なレイジを並べるのは問題あるかもだけど、誰かに好きになってもらおうと全力で動く人って、やっぱり読んでてすごく格好良く見えるし、メタ的な方向なんだけど目的が定められているのでこうなれば物語はハッピーっていうのがわかってストレスが薄い。
レイジのアリサさん好きはいろんなセリフで出てるんだけど、一番好きなのが
「……言いましたよね。あなたとは打算的な関係だと」
「たとえそうだとしても、アリサさんの役に立てるなら俺は嬉しいですし。アリサさんの言うことならなんでも聞くぐらい好きですし」
昨晩にあらためて考えてみたのだが、利用されているから何が問題なのか。
俺はアリサさんの好感度を稼げるし、彼女は喜ぶし。両者とも得をしている。
これがさらっと出てきちゃう主人公怖いよー、怖いけどそういうやり方でもいいから一緒にいたいし必要とされたいっていうのがすごい伝わってきた。このあたりは一回アリサさんが目の前からいなくなっちゃったからっていうのもでかいだろうな。
やーっぱ目的のために頑張る主人公は最高よ……。
レイジ・ガレットの人生からはどうやってもアリサ・ヴェローチェは切り離せない。
アリサさんがいたから魔法学校を目指して、アリサさんに近づきたくて勉学に励み、アリサさんを幸せにしたくて冒険者になった。
これ重たくもあるんだけれども、同時にレイジがどれだけアリサさんで出来上がっているかっていうのがすごく端的に描かれてて胸が締め付けられた。そんな少年なら間違いなく上記の通り利用されてるだけでも嬉しいなんて言う。そしてアリサさんはそんな利用するだけでオッケーとなる性格じゃないからこそそういうの重たいけれどもレイジの純真さがぶっ刺さるんだろうなー。わかるよ……。
ツンデレだけど魅力的なアリサさんがとにかく可愛い
ツンデレではあるしセリフも結構きついこと言ってるんだけどレイジがそれを一切ダメージ受けてないどころか会話ができると喜んでるっていうのが、最も彼女のきつさを薄めてるのかもしれない。それはすごく感じる。これでいちいちレイジが彼女のツンデレでダメージ受けてたらかなりきついな……。
でもアリサさん自体はレイジがダメージ受けないのがわかってるからこその物言いっていう様子を見せているし、レイジの実力もちゃんと理解しているのが良い。愛も嬉しさも、ついでにレイジの強さも全部理解した上だから、本当に一種の痴話喧嘩にしかならないんだよなあ。そんなんみんな面白がって眺めますわ。
アリサさんがレイジからの求愛を断っているのは、彼女が『自分は幸せになってはいけない』と思っているから、というのは断る理由としてはありがちながらも自分に厳しいアリサさんらしくてすごい良かった。
そして、その理由があるからこそ、最後の最後でレイジがその宿敵を打ち破ったときにレイジの愛を受け入れるのを自分に許すのがさーーーー本当に良い。こういうの、みんな好き。本人1人でも仕事も有能だし戦闘能力もある人が、愛を受け入れて誰かと一緒にいることを選べるようになる、最高に良かった。
このアリサさんの仲間の敵を倒す、新旧師弟コンビの戦闘が凄い格好良かった。
そもそもレイジがフィナに対して良き師匠であろうとするの、もともとのレイジの素質もありつつも、レイジがアリサさんにしてもらったことを他人に返しているところもあるんだと思う。だからこそ、この新旧師弟コンビってある意味アリサさんがレイジにしてあげたことが返ってきた形になるわけで、そういう継承の物語に弱いのでぶっ刺さってしまった。
多様なサブ(負け)ヒロインたちも可愛い
出番はあるとはいえじゃれ合いと賑やかしがメインの、魔法学校をレイジに続いて次席で卒業したミリア。
そして、レイジの師匠っぽさを出すのに一役買った、ぼっちウィッチことフィナ。
この二人のサブヒロインもそれぞれ魅力的で可愛かった。特にミリアはアリサさんとは違うタイプのツンデレ(好きな人にツンツンしちゃうタイプ)(アリサさんはツンツンしてる人が好きになって心を許してくれたらデレるタイプ)ですごく可愛かった。
でもレイジがアリサさん以外に対しては感度が死んでいる鈍感系主人公なのでまるでミリも意識してないの、かわいそうだけど面白い。アリサさんと出かけるのはデートだけどミリアと服買いに行ったり飯に行ってもそれは同期との遊び。この野郎。
フィナは抱っこして運んだり気軽に頭触ったりしちゃうけど、アリサさん相手だと手つなぎでも意識しちゃう。
でもここでもしかしてミリアは俺のこと……!?なんて思うようなやつだったり、フィナが俺に惚れるかもなんて想像するようなやつだったら、アリサさんへの一途な思いっぷりが減っちゃうし魅力も減っちゃうもんな。アリサさん相手だけ高感度でそれ以外は低感度どころか感度が死んでる鈍感系主人公で良かったです。
主人公が全力一途で、冷嬢といわれるヒロインが徐々に心ほどけていくさまが最高に良かった!