「優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫)海月くらげ」主人公かヒロインどっちかが合わないラブコメは読むのがきつい

★★★☆☆,GA文庫ラブコメ,同級生,恋愛,現代,裏垢

優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫)海月くらげ

優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫)海月くらげ

AmazonBookWalker
あらすじ

裏アカのこと秘密にしてくれたら、良いことしてあげるよ?
「9割不純、1割純愛」――これは二人だけの秘密の関係。

「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・間宮優が“裏アカ女子”だと偶然知ってしまった藍坂秋人。彼女に口封じをされる形で裏アカ写真の撮影に付き合うことに。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
他人には絶対言えないようなことにまで撮影は進んでいくが……。
戸惑いつつも増えていく二人きりの時間。こっそり逢って、撮って、一緒に寄り道して帰る。積み重なる時間が、彼女の素顔を写し出す。
秘密の共有から始まった不純な関係はやがて淡く甘い恋へと発展し――。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。

最近多い、他人には言えない秘密を共有してしまった系ラブコメ。
ラブコメって事件というより主人公とヒロインの関係性の成長が読みたいんだし、つまりは彼女と彼がある程度好きになるか二人の関係性がよっぽど興味深くないと読むのきついところある。この話の場合はヒロインの性格がうーん……だったので途中まで読むのかなりきつかった。途中からはなんでヒロインがそういう人間なのかというのが薄々見えてきて「それならしゃーない」と思えたんだけど、逆に言えば最後の最後にそれがわかるところまでずっと「うっわこの女やべーな」という認識でいてしまった。

ヒロインもインターネットの被害者だよ

ヒロイン・間宮が裏垢用の下着がちら見せされている写真を撮影しているところを目撃してしまった主人公の藍坂。彼女に口封じ用の写真を撮られ、それをもとに脅されて、彼女の裏垢撮影に付き合うようにさせられてしまう。
この間宮がどうにも好きになれなくて、というよりその異様に高い自己肯定感はなんなんだ……となってしまって、読み進めるのがきつかった。

比較的始めのうちに、藍坂は女性不信気味なので女子と一緒にいるのはあまり好まないという情報が出てくる。胸を触らされたりすれば当然思春期男子として緊張するし柔らかいと思うし反応してしまう部分はあるけれども、内心女子というものがあまり好きではないので間宮と行動するのは苦痛の部分もある。
でも間宮は、自分の下着を見せることは藍坂へのご褒美だと認識しているし、あまつさえ自分が下着を見せたり写真を撮らせたりしたときに、藍坂が自分に手を出してこないことを「男としてどうなんだろ」とまで言う。いやいやいや、それって流石にどうなんだよ!と間宮に引いた。

わかる、わかるんだよ。裏垢やってる子は自分の身体に自信があるだろうよ。写真についた評価が彼女の身体が外から見て魅力的だと示してくれているだろうよ。でも、だからといって全男が自分の身体に反応するものだし、下着を見ることができるのはご褒美!と思ってしまうのは、流石になあ……。彼女自体もインターネットとJKの身体に妙な評価をつける悪い大人たちの被害者……。SNSは悪い文明……。
主人公が彼女に下着を見せられることをご褒美と認識できていない以上、それはご褒美にはならないんだよ。
というか、相手が自分に手を出してこないのはおかしいと思うあたり、相手をすぐ理性をなくす人間だという侮辱的な認識しているっていうのもわかる。最悪。でもこれはインターネットのせいだよ。

こういうの、相手はなんだかんだ言いつつエロいこと大好き!というのをヒロインにも見える形で出しているからこそ、立場としてもWin-Winのご褒美になるんじゃないのかな。ヒロインが脅している関係だから対等にはならないというのはあるけれども、物語上主人公に餌をやる形にするんだったら、もうちょっと藍坂が喜んでいるように見えてくれないと、一方的に間宮が自分の身体はエロいものだから喜ばれるはず!と思い込んでるやべー女に思えてしまってキッツいんよ。
たぶん一昔と言わず5年ぐらいだったら藍坂もなんだかんだ言いつつ下着が見れて嬉しい!と分かる程度に見せてしまう系主人公だったかもしれない。ここ数年はそこまで性欲を顕にしない系主人公も台頭してきた。ヒロイン側から来てるんです、みたいな。
このあたり、暴力ヒロインの流れにも似てるかも。もともとは主人公がスケベを行うからこそその対抗として暴力で制裁していたのが、主人公のスケベがラッキースケベなどの偶然ないしは相手からやってくる主人公に責任のないものになっていったからこそ、暴力ヒロインが不条理に殴りつけてくる嫌な女と認識されるようになっていくかのような。

でも、裏垢という題材上、主人公が女体に興味津々になると今度はヒロインの人格どうでも良いのでは?お前が興味があるのは女体では?になっちゃうんだよね。ガリ勉くんと裏アカさんはかなり女体に興味!!!のほうが強すぎて人間みてねーなこいつって思っちゃった。うーん、人間ってめんどくせー。

脅迫、それはまんまお前らの関係性では

終盤、間宮は自分をストーカーしていた男子に裏垢がバレて、これを周囲にバラされたくなければ云々と脅され、あんなことやこんなことをされる――というところで藍坂登場、彼女を無事助ける、という王道展開が発生する。
ここ、王道展開ではあるんだけれども、すげーもやもやするんだよなあ。

脅すストーカー同級生男子、バラされたくなければと脅されて言うことを聞かされる間宮。
脅す間宮と、バラされたくなければと脅されていうことを聞かされる藍坂。

この部分、まんま対比になっているし、やっている行動としては同じ。途中から藍坂は人の良さと彼女へのなんらかの情っぽいもので手伝っていたり付き合っていたりしたものの、きっかけは全く同じ。
なんなら、ストーカーに脅されている最中に『藍坂くんを脅したのは私だ』と自覚までしてるのに、自分の行動とストーカーの行動が同じで、藍坂から自由意志を奪ってあれこれやらしていたっていう認識は完全に無い。
このストーカーのシーンでてっきり間宮のなかで自己反省会でも行われるのかなと思ってたから、なんだかなと肩透かしだった。

でもラストシーンで双方再度脅迫で絆を作ることを考えると、ここでまともに反省会してしまってもう脅迫しない!となるとそれはそれでうまく物語に落ちがつかないよな。でも、だったらストーカー男子は脅迫という行動に出なきゃよかったのに……と思ってしまう。しかもこのストーカー男子、諦めめっちゃ良いし。もうちょっと粘れよ。うーん。

全体的にヒロインである間宮に突っ込みというかうーん……ポイントが多いからこそ、ラブコメで特有の主人公かヒロインのどちらかが嫌いだと乗れないっていうのに綺麗に合致してしまって乗れなかった。

優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫)海月くらげ

優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫)海月くらげ

AmazonBookWalker

スポンサーリンク