「自炊男子と女子高生」テンプレなぞる優しい世界

★★★☆☆,ファンタジア文庫料理,現代

自炊男子と女子高生

自炊男子と女子高生

AmazonBookWalker
あらすじ

両親からの仕送りで一人暮らし中の大学生・夜森夕(やもり ゆう)は、
食費節約のため面倒くさがりつつも自炊を勉強中。
 料理が趣味とか特技とか、そういったわけでもないのだけど、
ある日お隣に住む女子高生・旭日真昼(あさひ まひる)に、成り行きで
手料理を振る舞ってあげたところ、「お兄さん」と呼ばれ妙に懐かれることに。

 しかも
「私、あんなに“あったかいごはん”を食べたの、久し振りでした」と語る少女は、
普段スーパーの惣菜やコンビニ飯ばかりの何やら訳アリ食生活らしく……?

 時々、ただ一緒にごはんを作って、一緒に食べるだけ。
ほんの少しの日常の変化がゆっくり二人を変えていく
――このラブコメは、等身大の優しい味。

読み終えて、とりあえず「優しい世界だなあ」「起承転結はほぼ無いなあ」「誰かの悪意っつーものが何も無くてノートレスで読めるけど、その分おもしろ!っていう部分もないなあ」ってのが感想だった。

とにかく優しい世界だった。
鍵を落として困っている女子高生に声を掛ける主人公。ほとんど一人暮らし状態の女子高生を気にかけている親友。主人公と女子高生が仲が良いのを聞いてにこにこと見守っている主人公友人。自分の娘が隣の男子大学生の家に通っていると聞いて二人は良い仲なんでしょ!?と期待する母親。
全てにおいて優しい人しかいなくて、悪意を持っている人もいないし、困った勘違いというものすら発生せず、ひたすらほのぼの優しい世界過ぎた。
良い人だけで構成されている世界なので読んでて嫌なことは起きようがないし、地獄への道は善意で舗装されているといったこともない。男子大学生の家に女子高生が足繁く通っていることについて問題視する人すらいない。
本当にノーストレスで読めるご飯本で、それ以上でもそれ以下でもなかった。文章がめっちゃうまい!とかめっちゃ下手!とかあったらそのあたりで引っかかるかもしれないんだけど、そういう部分すら何もなく、ただただぬるぬる最後まで読める。

誰かが自分のために作ってくれたご飯はあったかい。そんなご飯を一緒に食べるのが幸せという話ではあるんだけれど、一緒に食べることによって二人が変化していくとかも全然無い。
例えば女子高生側が最初は同担OKだったのが、徐々にお兄さんにご飯を作ってもらえるのは自分だけ!みたいにベタな同担拒否になった、それはそれでベタすぎるけど物語の中で彼女が変わったなとは思うんだよ。
でもそういうの何もなしに、最初から好感度はかなり高い位置にあるまま、互いへの対応もほとんど変化なしに最後まで物語が進んでしまった。
こないだ読んだやさぐれ執事とポンコツネガティブ令嬢も、主人公であるやさぐれ執事はキャラクターとしての変化はほとんど無い。でもポンコツネガティブ令嬢になる引きこもり少女は、引きこもりだったのが前を向いて歩こうとするという物語として変化があった。あと会話も軽妙で面白かった。こっち会話別に軽妙とか言うわけでもないしな……。
同じく年下の子にご飯を食べさせる系だと、となりの彼女と夜ふかしごはんだと主人公の職場の業務改善がメインだったし。そういうなにかがないと本当に虚無すすってる感じ。

主人公は自分で食費を稼いでいるからお金がない、だから給料日前はもやしを主に食っているという描写があったのに、女子高生からお金をもらっている描写がほとんど無いのも気になった。
ただの女子高生ならわかるんだけど、ご飯三合や四合食べるしおかずも相当食べる子じゃん。主人公より食費が2倍3倍かかる。カッコつけてもらわないみたいなムーブしてたけど、その食費どうなってるんだ? 今までだって給料日前はもやしになってたし、普段の食生活も鶏の照焼+米程度だったのが副菜作るようになって1人分でも食費が上がるところを3人前程度作ってるのを考えると、食費もらわないとおかしくない?
都合が良いっていうよりも、色んな場所が雑に感じてしまった。まあ優しい世界なのできっと突然食料品が瀑下がりした可能性はある。

二人の関係性もラブコメ未満の兄と妹的な状態でそういう意味でのドキドキもないし、本当に頭空っぽにして読む的な話だった。

こういうただ御飯食べるモノ、二次創作だったらそれなりに面白いなーと思える。でもそれだってキャラクター自体が好きだからこそキャラがそうやってご飯食べてる姿も可愛いと思えるわけで、キャラに愛着も思い入れもない状態で、ちょっとしたご飯を美味しく食べてくれる料理下手ヒロインと彼女を餌付けする主人公っていう最近かなり増えてきてるネタされても面白みが無かった。

自炊男子と女子高生

自炊男子と女子高生

AmazonBookWalker

スポンサーリンク