「日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)岬 鷺宮」読み返しても5年前と同じ感想出てきて笑った
あらすじ
まるで、世界が終わりたがっているみたい――それは。最後の恋物語。
「――わたしのお願いは、絶対なの」
どんな「お願い」でも叶えられる葉群日和。始まるはずじゃなかった彼女との恋は、俺の人生を、世界すべてを、決定的に変えていく――。
ほんわかしていて、かわいくて、どこかちょっと流されがちで。
それなのに、聞いてしまえば誰も逆らう気になどなれない「お願い」の力を持つ日和と、ただの一般人なのにその運命に付き添うことになってしまった俺。
「――でも、もう忘れてください」
世界なんて案外簡単に壊れてしまうのに、俺たちの恋だけが、どうしても終わってくれない――。
これは終われないセカイの、もしかして、最後の恋物語。
読みたくなって再読。読書メーターに「最終兵器彼女だ!!」と感想を書こうとしたら、4年半前の自分も全く同じ発言をしていて笑ってしまった。そんなことある??
まともな感想は前回のブログ記事でしてるので、今回はかなり自分語り強めの感想。
読んで最初に出てくる感想がやっぱりどうしても「セカイ系だなあ」「最終兵器彼女だなあ」だったんですよね。
この「最終兵器彼女だ!」っていう感想って、わたしがほかにセカイ系やSFをあまり読んだことがない部分から来ている気がします。
彼女がセカイをどうこうするだけの能力を持っている(実際に行使しているところを主人公が目撃している)。主人公は何も出来ず、ただ日常の象徴として彼女の帰宅を待っているだけ。彼女がものすごい力を発揮している横で、主人公はただ彼女の無事を祈り、帰りを待っていることしか出来ない。
主人公はなんの能力も持たないただの一般人だからこそ、彼女の弱点になりえる。彼女の周囲の人々も、主人公をなにかあったときに彼女の弱点になりえるものかつ大事なものとして認識してくれている。
こういうあたりに最終兵器彼女をかんじるのかも。
わたしはあんまりSFやセカイ系を読んだことがないんですが、こういうのってセカイ系ないしはSFのテンプレなのかな。わからねえ……。
男女を逆にするとこれはこれでラノベでもよくある設定にも思えて来ます。待っている女、戦う男。
でも今作の場合は、特殊能力持ち彼女こと日和による《お願い》が誰もが拒否出来ない超常現象として現れていて、彼女はそれを利用してセカイをより良くしていこうとして、セカイを陰ながら牛耳っている。そのあたりがなんとなく違うくかんじるのかも。ううん、ファンタジーとSFの違いってなんだろうって思えてきた。
日和の行う《お願い》って、すごく日常的なものから非日常的なものまであるあたりが、日常と非日常の接触としてSFにかんじるのかも。
例えばお姉ちゃんが外出するときにお菓子を買ってきてほしいという《お願い》もとい強制。例えば、晩御飯が焼き肉になりますようにという《お願い》もとい強制。例えば、受験にかかる費用が大幅にあがる法案が可決されそうになり、それでは受験できない学生が出るからやっぱりやーめた!ってしてくれという《お願い》。戦争に突っ込んでいきそうな国にそれはやめてねという《お願い》。
日常的から非日常的なものまで出てくる《お願い》が、日常と非日常をくるくると混在させていって、わたしはSFに感じた……のかも。
主人公がすごく等身大の男子高校生っていう様相なのがかなり好きだな。
日和の行っている特殊能力を利用した秘密組織の行動に興味を持つの、高校生だったらそうだろうなー!ってすごく納得してしまう。納得してしまうと同時に、彼女が無事であるかどうかと心配になるのもわかる。そして彼女が異様な能力の使い方をしたときに怯えてしまうのも理解できる。
そういうすごく等身大な男子高校生の視点から描かれるからこそ、ファンタジーっていうよりSFなのかも。
うーん、うまく表現できないけれどもとにかく面白かった、もうめっちゃ面白かったんだ。