「きみって私のこと好きなんでしょ? とりあえずお試しで付き合ってみる?」自分を好きかわからない先輩とのお付き合いラブコメ

★★★★☆,GA文庫両思い,先輩後輩,恋愛,片思い,現代

あらすじ

「ねえ黒矢くん、きみって私のこと好きなんでしょ?」
「な、なんでわかったんですか!?」

片想いを見抜かれること。それは陰キャ高校生――黒矢にとって死にも等しい恥辱だった。
相手は文芸部の先輩で超絶美少女、白森霞。二人きりの部で過ごす中、この気持ちはずっと隠してきたはずなのに……!
絶望する黒矢に、先輩は告げる。

「じゃあ――とりあえずお試しで付き合ってみる?」

まさか両想いでお付き合い成立!?
いや待って、こんなはずじゃ――
付き合ってるのにからかわれる、憧れの先輩からの悶絶イチャイチャ満載な両想い&激甘青春ラブコメ!

こんな人におすすめ
  • じれったいラブコメが好きな人
  • お付き合いしてるけど相手が自分を好きかわからないという恋のもだもだが好きな人

かわいいなー!!!!

これもまた「私以外とのラブコメは許さないんだからね」と同じくお付き合いから始まるお話のラブコメ。
主人公は部活の先輩であり学校の4大美人である先輩に片思い中。しかしある日先輩から「君って私のこと好きなんでしょ?とりあえずお試しで付き合ってみる?」といわれてお付き合いが始まる。
ことあるごとに、主人公が彼女のことを好きとわかっていてからかい気味の発言を繰り返してくる先輩。でも好き!となる主人公の、どうにももどかしいお話。

これうまいと思うの、「私以外との~」と違って先輩が主人公を好きなのかどうか、主人公自身には全然わかんないとこだよなー。
おかげで読者としてはいつ先輩→主人公への好意がバレるのか、からかいは、先輩優位の状態はいつまで続くのかという面白さと主人公が気付かないことでのじれったさが楽しめる。えーーー面白い。

挿絵がめちゃくちゃに可愛いの。
主人公に強気でからかってみた直後の挿絵で主人公には見えない場所で照れてる先輩の挿絵。こんなん好きになるしサイコーってなる。まだ先輩視点がほぼ入ってない時期の挿絵なんだけど、こんなん見た瞬間にあーーーー尊い……しか言えなくなるもん最高。
おまけに先輩→主人公の好意がわかっているから、からかってくる先輩への面倒くせえ女的な感じはなく、ああじれったい! かわいい! だけ残るのマジですごいし楽しい。読んでてかわいい。

主人公をからかって、好意を確認して、弄んでいるように見える先輩は、主人公の知らないところで照れまくっているし恥ずかしがりまくってる。いやいやほんとこんなの最高じゃん……尊いとしか言いようがない。

主人公が彼女を好きになったきっかけも、自分の過去のトラウマを自分と彼女の共通点が作用して救ってくれたっていうのもなー。本当に……。
こういう恋愛ものの、気付いたら好きになっていたとかも好きなんだけど、この人が自分を救ってくれたんだのものってホント最高だよ。愛おしい。読んでて最高としか言いようがなくなる。

最後の最後で先輩が主人公の告白練習を全部聞いていて、好きだと知った上でお試しお付き合いを言い出したってわかるシーンがものすごく好き。
ここ、すごくずるいわけじゃん。相手が自分を好きとわかってからの告白なんて、勝確イベントでしかないわけじゃん。少しでも描写をミスったら先輩にたいしてこの女ずるいなと思うようなシーンなわけじゃん。
でも、いままで作中であなたからの好意なんてずーっと気付いてたんだからねって顔してた先輩が実はそこまで自信満々だったわけじゃなくてあの瞬間まではそうだと思いきれていなかったっていうのも可愛いし、自分をずるいと自覚した上であの「お試しで付き合ってみる?」につながったとわかると、なんかもう可愛いなこの人……としかならなくなるんだよなあ。ホントに可愛いよこの人……。

この先ハッピーしかないカップルだよな!
こっちはそれこそ格差カップルなわけで、今後主人公が周囲からどういう目を向けられるか、そのときに先輩がどう動くか楽しみ。

これは作者さんの話になるけど、望公太先生の本って思想とか的にすげー読みやすいんだよな。
差別している場合は差別してますよって結構明確に出してたり、それはよろしくないことだと作中どこかしらから突っ込みを受けたりするので、読んでて作者の人間性にドン引きするっていうのがあんまりない。
前にどっかで言われてたけど、倫理観がない人の倫理のない話と、倫理観がある人があえて書いてる倫理のない話って別だよね。

 夕海。梨乃。
 美少女四天王、残りの二人の名前だ。
『正統派黒髪ロン毛』――上代夕海。
『ツインテールロリ』――左近梨乃。
 ……『人妻』といい『黒ギャル』といい、女子の尊厳を無視したような酷いネーミングだと思う。大層業の深い陰キャがネーミングしたんだろうなあ。

ここちょっと笑ってしまった。主人公が自分のポジションを陰キャに置いている部分も含めて。
確かにこういうののってだいたい言われる側の尊厳を無視しまくったひでえネーミングだよな。外見に関して言うのはやめましょうって言われてるでしょう。さりげない地の文突っ込みが入るので有り難い。

ついでにいうならこの作家さん、少年同士の感情が割と強めというか、しっかりと、都合の良い友人じゃない友人ポジが出てくるのめっちゃ好きだし美味しいなーって毎回思っていますありがとうございます。

「総吉みたいな恋愛経験皆無の陰キャ童貞をからかうのなんて、あんたぐらいの美人なら簡単でしょうからね。もしあんたがこいつの純情を弄んでるだけなら――」
 見下ろす目に一瞬鋭利な輝きが宿る。
 しかしそれは、本当に一瞬のことだった。
 刻也はすぐ、くしゃりと表情を歪めて笑う。
「――俺にはこっそり教えといてくださいね。どうせなら一緒にこいつをからかって遊びたいんで」

こういう友人キャラ、下手に「こいつのこと弄んでるんならやめろ」っていってくるキャラより刺さるとこない? 私はある。
ほんと……この……毎回この作家さん確実にツボを付くタイプの男出してくるな……。年カノもなんだけど……。刺さっちゃいけないとこに刺さる……。

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