
あらすじ
不安そうに「私で良いの?」と君は言う。そんな君だからこそ、傍にいたい。
いいヤツだけど地味すぎる男子・福助は、クラス1の美少女・結愛にひと目ぼれする。
しかし結愛と噂になっているのは、福助の親友・バスケ部エースの勇星。叶わぬ恋とため息をつく。
そんなある日、福助は見つけてしまう。結愛の陰に隠れて目立たない、もうひとりの超可愛い女の子・薄葉あまりを。
「わ、わたしと、おともだちになってくれませんか?」
恥ずかしがり屋な彼女と一緒に“ふつうになる”練習を始めるけれど――。
「あまりちゃんが憧れてるのは、勇星だよね?」
「…………」
「ど、どうしてそんな顔が赤いの?」
僕だけが知ってる隠れ美少女と、友達から始めるラブコメ。
隣にいる「あまりもの」なヒロインが、最高に可愛い!
あまりちゃんがめちゃくちゃ可愛かった〜〜!
イケメンで性格も良くて人気者な親友の隣にいる主人公が、ふとクラスのアイドル的存在な女子の隣にいる、引っ込み思案だけど心優しく可愛いヒロイン・あまりちゃんを気になったことから始まるお話。
キラキラした存在の隣にいてあまり目立たない余り物同士の二人が、自分たちって似てるねと少しずつ仲良くなってくのが自然で応援したくなった。とはいえ主人公が好きなのはクラスのアイドルのほうだが。このもどかしさとすれ違いがたまらない。
やっぱさー、恋愛ものは主人公かヒロイン、最低でもどっちかを好きになった上で読みたいじゃん……。その点、この話はどっちもいいやつでどっちも好きになって読めて良かった!!
全体的に起承転結がそこまで激しくなく、穏やかでゆったりしてる話だった。球技大会や遊園地デートなどベタな青春イベントもこなしてるんだけどそこまで熱い雰囲気がないのは、主人公とヒロインが穏やかな性格だからなせる技かも。そしてそこまでどでかい起承転結や破滅的な山場が無くとも面白いなと感じられたのも、この二人の性格のなせる技なんだろうな。
もちろんラストは熱いし見せ場として良かったんだけど、全体に流れる穏やかな雰囲気が良かった。
応援したくなる主人公と、最高の親友たち
あまりちゃんがめちゃくちゃ可愛いんだよ〜〜……。
引っ込み思案だけれども好きな人と近づける機会があったら頑張ってて、でも主人公から好きな人を勘違いされているのを正せない。けれども主人公と一緒にいる時間は楽しくて嬉しい。
素直で素朴で可愛くて、見てるだけでニコニコしちゃう。
そんな可愛い可愛い、けれども目立つ人の隣にいるからこそ目立たないあまりちゃんちゃんだけじゃなく、他の登場人物もみんな可愛い。
主人公はちょっとあざといぐらいに良いやつ。他の人たちの細やかな気遣いにも気づけるし気配り上手。あまりちゃんが惚れるのも納得。
ついでに、自分からあまりちゃんに声をかけてみたり、気になる女子にゆっくりと存在を主張してみたりと、ちゃんと自分から動けるタイプの主人公。わたしは自分から動ける主人公が大好き。
主人公の親友であり、イケメンでバスケ部な男子も、カラッとした性格ですっごく良いやつ。キラキラしているし主人公が影に隠れちゃうというときの光側なんだけれども、でも憎めないというか、いいヤツなんでお前も幸せになれよ~~! と思っちゃう。読みながら全然卑屈になる気が起きない。
主人公が可愛いなと思っているクラスのアイドルポジションでありあまりちゃんの親友の子も可愛い。性格がこちらもカラッとしていて雰囲気が良い。
更には級友たちも嫌なやつが全然いなくて、完璧主義者を名乗る男子(完璧主義者なので主人公が球技大会で突然バスケをやると言い出すと文句をつけるし、主人公が圧倒的にバスケが上手いところを見せれば完璧主義者なので一緒に頑張ろぜ!と握手をしてくる)やよくわかんないが愛嬌ある男子など、個性的ながらもいいやつが多すぎる。
主人公もヒロインも含めて作中に明確に嫌なやつってのがいないのってノーストレス。ときにはそういう作風で山場もなくてつまんねーってなるのもあるのに、でもこの話はそれでも面白いと思えるの、なんなんだろうな……。なんだかんだで主人公が自主的に動こうとしているからだろうか。
そんな穏やかな世界だけれども、終盤主人公はあまりちゃんを勇気づけるために大きく動くのが熱い。展開的にはベタではあるけれども、なんか妙にそういうベタが合うんだよな、この話。
ワクワクというよりも穏やか二人の進展を見守る雰囲気。平和で読みやすいラブコメで良かった。
