
あらすじ
「ねぇ、私の制服の下、見たくないんですか?好きにしていいんですよ?」
放課後、誰もいない空き教室。
制服をはだけさせた淫らな姿で自撮りをしているのは、清楚華憐な『学園のお姫さま』こと四ノ宮リノアだった。
普段の姿とは違った魅惑的な姿に、イケないことだと理解しながらも俺はシャッターを切ってしまう――カシャッ。
「庵野君、いい写真は撮れましたか?」
本人にバレた。これはもう社会的な死を覚悟するしか……。
「……私の恥ずかしい姿を写真に撮っていただけませんか?」
「……なんですって?」
なぜこうなったのか、リノアと秘密の撮影会をすることに!?
俺の部屋では制服生着替え、浴室で競泳水着、そして彼女の自宅で──。
1枚の写真から始まる秘密のドキドキラブコメ開幕!
読んでてずっと面白いと思えず、でも読んでればいつか面白いと思うかもしれないから……と思いながら読んでても結局ダメだった。
主人公もヒロインも好きになれず応援できないラブコメは読んでて面白くねえ。
逆に、難しいことを考えずに小悪魔ヒロインの痴女振る舞いでえっちな姿をサクッと楽しみたい人には向いてるのかもしれない。
何もかもが軽いお色気シチュエーションのための話
もともとカメラを趣味としていた主人公が、ある日偶然クラスメイトの美少女が微露出で自撮りしようとしているのを目撃する。カメラが好きなためについ写真を撮ってしまったが、その盗撮姿をネタに脅されて彼女の若干の露出やヘキ強めの写真を撮ることになるというお話。
もうこれは本当に何度も何度も繰り返している好みの話なんだけど、主人公もヒロインも好みじゃねえ話は読んでて面白くねえ……。
例えばこれがもっと主人公がカメラに執着していたり良い写真を撮ることに異様な情熱をかけていたら、理解できないまでも好きになったかも知れないんだよ。なのに絶妙に熱が感じられない。主人公がカメラ好き少年やってる理由が、ヒロインの着替えや絶妙に危うい写真を撮るための舞台装置にしかなっていない。そういうシチュエーションを作るための道具であって、主人公自身がカメラを好きそうには感じられなかった。
また、ヒロインの目的として際どい姿を撮ってほしいというものがあるとはいえ、あまりに傾向が下着や競泳水着、ほぼ脱いだような状態ばっかなのも……。そういうシチュエーションをするための道具としてのカメラであり、そういうシチュエーションを見せるための設定だなという感じしかしてこない。
そもそもヒロインの性格が好みじゃない。
主人公が盗撮していたからそれをネタに強請ってカメラマンをさせるという流れだけれども、これヒロインが完全に主人公舐めてかかってんだよな……。こういう「あなたがやらかしている写真を撮りました」というネタで強請れるのって、自分は身の潔白がある状態だけだと思うんだよ。この状況で主人公が「でも彼女も教室で露出しながら写真を撮ろうとしていました」と自分の持っている証拠写真とともに言えば、一気にヒロインも白眼視される存在になる。そういうの何も考えてない馬鹿なのか? それとも主人公だったらいくらでもいいようにできると思ってるのか? 多分いいようにできると思ってるほうなんだろうな……。
写真撮影中にどんどんと露出具合が進んでいき、主人公を挑発するような格好をして来るヒロイン。それだけのことをしても主人公が襲ったりしないと思っているからこそできる行動だよ。主人公を舐めてるんじゃないのかな、この子。
小悪魔めいた行動と見せたのかもしれないが、やってること的にはほぼ痴女振る舞い。最終的に明かされた撮影してほしい理由的にも露出ヘキへと進む理由もない。軽く色気ある展開にしたいがための理由としか思えない。
主人公がカメラが好き・ヒロインがコスプレなどが好きという設定自体は確かに着替えの衣擦れ音を聞く・過激なコスプレをするというネタにつながりやすいというのはあるだろうよ。直近で読んだ本でもラブコメ嫌いの俺が最高のヒロインにオトされるまではかなり系統が近かった。
でも、ラブコメ嫌いの~だと主人公はカメラに対する情熱があったし、コスプレを撮影するために作品を理解しようとする努力もあった。ヒロインはコスプレに対する情熱が強かったしそのための努力を惜しまなかった。コスプレと撮影っていう題材に対して、双方ともに真摯だし、そうでなければならないだけの理由と情熱があった。
でもこの作品だとエロいシチュエーションと恰好でなければならない必然性もないし、主人公が偶然覗いたから撮影を任せることになった。エロいシチュエーションを撮りたいっていうのがメインにしても、もうちょっと理由と情熱を作ってくれよ。
主人公を独占したいレイヤーのお姉さんも一方的に主人公に溺愛向けててなんだこいつはだったし、ヒロインのファンクラブもなんだかんだいいつつ主人公との関係性を秒で認めているし、全体的に都合の良い話すぎた。
結局、えろい構図と挑発的な痴女振る舞いするヒロインを見せたいだけで構築された話なんかなって感じ。あと別にヒロインは恥じらう姿を見せてくるわけではなく、本来ならば恥じらわなければならない姿をぐいぐいと強制的に見せつけてくるって感じなので、タイトルもまた詐欺である。
