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世界の終わりと、憧れの女と、花嫁についての話「異世界拷問姫6 (MF文庫J)」綾里 けいし

世界の終わりと、憧れの女と、花嫁についての物語#

ええええ……。
神と悪魔がジャンヌとエリザベートを取り込んだことにより迫る世界の終わり。そして『狂王』となり世界を守るために戦うカイトとその周囲の人々の物語。

もう本当に、キャラクターたちはひたすらに精一杯生きていて楽しげで良い。だからこそ辛いとも言うけれども。
ヴラドがねー……本当に今回も良いキャラしていて。エリザベートを救うためには人手が必要だと理解したカイトが与えた体でとても楽しそうにいろいろしているヴラドが最高でした。
そして2巻からずっと仲が悪いのか良いのかといった雰囲気だった皇帝とのコンビも最高。最初に元とした体がヴラドなせいで、そこそこあいつと近い性格になってしまった皇帝は可哀想なのかなんなのか。
この二人(一人と一匹?)の性格の近さを見ていると、なるほど前前巻でエリザベートとカイトが何らかの状態で精神が繋がっていたのもありうるかもしれないなと思えてしまう。
ヒナは安定して可愛いなー! カイトの匂いがしたからと突っ込んでくるのがあまりに可愛すぎて最高すぎた。二人は末永く幸せに、とここで書いてしまうと本当に冗談にならないんだよな……。

そして、世界の終わりと、憧れの女と、花嫁について。

あらすじでも書かれている通り、カイトがエリザベートを見捨てる選択肢など取れるわけがない。だが同時に世界を救う術などあるわけが、と思ったけれどもそんなんがあったのかと。

憧れの女を見捨てる選択肢をカイトが取るわけがない。
けれど、カイトが心残りがあったとすれば、それは花嫁のことだった、ってあまりに美しすぎて切なすぎた。
カイトにとってヒナとエリザベートは完全に別ベクトルで大事な相手であり、同時に別ベクトルで絶対愛していた二人だった。どちらも愛した女ではあるが、ここまで綺麗に分離すると……すごいとしか言いようがないなあ……。

カイトが決めたこととは言え、ヒナはそれが悲しくないわけがない。けれどもカイトの選んだ道ならば、そして自分も大事な人を救うためならばとソレを迷うわず選ぶヒナが、愛で、どこまでも花嫁だった。

カイトは何も見捨てない。エリザベートを救い、同時に世界を救う選択肢を選ぶ。
そんな何もかもを救うことを選んだカイトが、自分と一緒に眠ることを選んだ相手がヒナだった――って、憧れと恋として本当に美しい決着であり、どこまでも残酷だなと思った。

そしてこの先、エリザベートは賑やかな従者とメイド、そして肉屋をなくし、救われてしまった世界でひとりきりで生きていくのだ――ってその後の!第二部!なにそれ、タイトルの使い方が最高。

あらためて表紙を見て、抱き合う二人の姿が幸せで切なくてひどいと思った。