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雨森潤奈は湿度が高い2 (MF文庫J) 水城 水城

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あらすじ

距離感は、もっともっと近くなる──。

雨の日限定の交流を経て、やたらと距離感が近く、積極的な女子生徒・雨森潤奈と仲を深めた栗本詩暮。
潤奈は普通に登校を果たし、謎の美少女の登場に校内は盛り上がる。しかし、慣れない人との交流でストレスが溜まった潤奈は、詩暮への「求愛」をエスカレートさせて――。

「……落ち着く。詩暮の匂い」
「手離れてる。撫で撫でやめないで」
「あと、同棲に必要なのは――」

注ぐ嫉妬の視線に構わず、欲望のまま、もはや見せつけにいっているのか? という猛アタックを続ける潤奈に、詩暮の理性は決壊寸前……!?
球技大会、お家デート、花火大会。距離はもっともっと近く、想いは深くなる夏の第2巻。

前の巻であれこれあって、結局付き合ってそうな雰囲気だけれども付き合ってない状態になった二人のイチャイチャがメインの巻。
1巻の異様な鬱ロックのタイトルやバンド名が繰り広げられる部分や潤奈のバンド人としての悩みや才能の話は落ち着いて主人公である詩暮の話になったものの、ごくごく普通な一般的なラノベになったなって印象が強いかも。

雨森潤奈は湿度が高い

湿度が高いっていうか、べっちょりってレベルでべたべたしてくるな~~~!! 確かに湿度が高い!!
詩暮の横を絶対にキープするあたりは変わらないと言えば変わらないものの、それ以外にも会話での下ネタ率をあげてきたり、色んな意味で湿度が高いなこの子。

下ネタを結構ぶっこんで詩暮を照れさせておきながら、それを通りすがりの人に聞かれてあらあらうふふ的な反応をされると照れるののニヤニヤしてしまった。好きな人以外に聞かれて恥ずかしいっていうのもあるけれども、陰キャによる陽キャに話を聞かれて純粋に笑われると恥ずかしいムーブだ……仲間内の冗談を他人に聞かれると途端居た堪れなくなる陰キャムーブだ……という謎の親近感。
今回の巻では山田や陽次郎とは完全に関係性が出来上がって(特に山田)潤奈が怯えたり警戒したりすることはなかったので、陰キャムーブを見られるところは若干貴重。

下ネタぶっこんでそういうネタに強いよ私はムーブをしているくせに、詩暮のほうから明確に「可愛いよ」と言われるとめちゃくちゃ照れちゃうあたりもすごく人慣れしていないというか、陰キャムーブなんだよなあ……。強気内弁慶陰キャムーブ……。湿度が高い……。

好きな子の隣に立つために

この巻で突然発覚する、潤奈は真面目に勉強すればめっちゃ勉強できるし体育祭では詩暮が応援さえしてくれればめちゃスゴ身体能力を発揮できる超チート人間という設定。そのため詩暮は、また果たして自分は潤奈にふさわしい人間なのかとかなんとか悩み始め、自分は特別なものがないからこそなにか得たいと藻掻く。潤奈と出会ったきっかけである小説に目をつけ、自分も小説を書いて、潤奈に読んでもらう。

その小説がめっっっっっっちゃおもんなくて、基本的には詩暮全肯定botの潤奈からすらNOを突きつけられるレベルなのに笑ってしまった。
スキルなし男子高校生が何者かになりたいと考えたときにやってみるのが小説っていうのが、なんとなくすごくわかる~~~なんだよね。これはインターネット字書き人間の愚痴で、字っていう小学校から作文も欠かされてある程度やり方を習っているものなら誰でも書けるだろうと思い込んでしまいがちな媒体であるために気軽に手を出されるし下に見られやすいよねというやつです。
特に詩暮は自分でもそれなりに読んでいるからこそ、読んでいるなら書けるのではと考えてしまうのもわかる。
そして自分の処女作がなんかめちゃくちゃすげーやつに感じられ、これだったら最高傑作なのでは!? アニメ化して潤奈が主題歌作ってくれちゃうのでは!? ぐらいに思い込んでしまうのも、ああ……あるよね……わかる……ってなる。やめろ人の黒歴史を掘り返すな

でも実際のところ、完全なる初心者が書いた小説なんて面白くない。詩暮はなにか特別な才能を持っていて何かを作れる人にはなれない。
そもそも詩暮はものすごく小説が書きたいと思って書き始めたのではない。小説は目的ではなく手段に過ぎず、目的にしている人たちばかりのこの作品のなかでは当然レベルとしてめっちゃ低い。
けれど、潤奈はそれで良いと詩暮を肯定する。詩暮の書く小説が面白くなくても良い、それでも自分の隣にいる大事な特別な人であり、詩暮がくれた感情で潤奈の新曲は出来た。

これ、とりあえず現状はいい感じにまとまっているけれども、詩暮のなかの『潤奈の隣にいられるだけの何かを持つ人間になりたい』っていう欲求が『自分が自分を認めるため』ならそれでいいが、『周囲からもそれを認められるため』だったら全然なんの解決にもなってないよな。
現状周囲にいる山田や陽次郎、先生らは認めてくれているが、よくラノベであるスクールカースト上位の女子とくっついたために『なんであんなやつが』と噂される主人公(死ぬほどよく見る)みたいなのには全く対策出来ないし、実際そこに対する答えって、潤奈の好きな鬱ロックが好きだったからでしかない。そこから潤奈が距離なし陰キャムーブで異様に距離詰めしてきて一気に懐いただけでしかない。
ここから詩暮がなにか手に入れるのか、それとも潤奈が言うならそれで良いやで認められるかだよな。


陽次郎が陽キャとして結構好きなんだけど、周囲からの扱いが『雑に扱って良いキャラ』『どう扱ったって良い』『可哀想な扱いをされるためのキャラ』って雰囲気で、仲良いにしてももうちょい扱いがあるでしょうがと感じるターンが多かったため、次の巻では見せ場がありそうで楽しみ。
山田による潤奈の大事なものをぶち壊して好きな曲作ってもらおう願望、これ潤奈より潤奈の作る曲のほうが比重高めなんだけど、そんだけ山田は潤奈自身はどうでもいいのかな。だとしたらひでーやつだな……。高校生にして教え子に脅迫されるのは犯罪ですかシリーズの、才能の奴隷編集並の思考になってるじゃん。友達としては普通に最悪。

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