「黒き英雄の一撃無双 1.受難の女騎士」10年前なら面白かったろう話も今読むと古臭いね

★★★☆☆,HJ文庫バトル,ファンタジー,転校生

あらすじ

対魔族用の魔法使いを育成する学園で序列一位を誇る才媛・久遠院雪羽は、圧倒的強さの『竜』を前に絶体絶命の危機に陥っていた。しかし颯爽と現れた見知らぬ男・麻上悠理が竜をたったの一撃で倒してしまう。
悠理が学園の転入生と知った雪羽は彼を追うが、そこで見たのは「D級」の烙印を押され、魔法の追試験で悪戦苦闘する悠理の姿だった。

一撃無双と書いてワンターンキル。タイトルの読ませ方がかっこいい。

最近ちょいちょい読んでる望公太先生の本が他にもKW読み放題にあったので読んでみた。発行は2013年なので約8年前、となると10年前ならというのはちょっと言いすぎかも。

なんというか、とにかく古い。
一昔前の流行りだなという印象がものすごく強い。

主人公は最弱ながらも最強というのは割と今でも通用するんだけど、同時に女好きですぐ尻などに手を出しかける、ハーレムを形成している、女好きだが実際は経験無しの耳年増、女は殴らない主義と、当時流行ったあれこれが詰まっているんだけどなんか絶妙に古い。
たぶん今の流行りだったら主人公が女だろうと殴ると思うんだよな。感覚的なものだけど。

同時に、この作者さんで最近読む現代恋愛ものにあった他人への尊重とかそこらへんが無いのと、惚れるまでの描写が秒速なのがすげー不思議な感じで……。最近のシリーズってなんかもっと丁寧じゃん。一目惚れだとしてもそれに至る文章がもっと丁寧じゃん。具体的には年カノなんだけど。

年カノはもろに一目惚れでの始まりだとしても、

 あの日、あの一瞬で、俺は一目惚れをした。
 いや。
 あるいは――一目惚れだったことにしたいのかもしれない。
 惚れてしまたからこそ、一目惚れだったことにした。好きになったからこそ、最初の出会いが特別なものだったと思い込みたい。運命のようなもの感じていたい。二人のなにもかもを神聖視してしまいたい――そんな脳内補正が働いている可能性も否めない。
 一目惚れの正体というのは、案外そんなものなのかもしれない。
 言ってみれば、恋愛脳が引き起こす自己洗脳。

とまあポエムかもしれないけどああ~~~うん、わかるね……となる文章で焚き付けてくるじゃん。
なのに今作は助けられた→そこからほぼ即惚れぐらいのチョロインじゃん。戦闘で助けられたら惚れるよね、というよくあるテンプレをそのまま利用しているだけで、そこに彼女ならではのものって全然感じられなかった。
メインヒロインだけじゃなく人造人間ヒロインだって『人間扱いしてくれた』→『だから好きになった』というテンプレすぎる状況。

この作家さんってそうじゃないじゃん……なんかもっと、そうじゃないじゃん!? と読みながら何回も思ってしまった。

言ってしまえば、当時の売れ線小説っていう感じ。この作家さんって現在この人ならではの部分があるんだけどそういうのが大半が消え去ってるというか……。なんていうか、ひたすら私が望んでいたものじゃなかったってかんじ。

今までの作品で真面目に読みだしたのがアイサレワールドあたりからなんだけど、このあたりからはふつーに面白いし好きだと思うんだけど、古いものだと雰囲気がぜんぜん違うんだね。
とはいえ終盤でヒロインが自分の弱さに絶望して魔化するあたりの個人と個人のぶつかり合いっていう雰囲気はすごい好きだったので、とにかく前半が合わなかったって感じなのかな。

この作者さんだと男女恋愛部分の少女漫画と少年ラブコメが見事悪魔合体したかのような部分がすごい好きだからそういうのもっと読みたいな。恋愛ものってラノベのプロとか以降なのかな。

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