クラスメイト・ゲーム 殺人者の教室 勅使河原 あねも
あらすじ
≪主人公≫に課せられた使命は、≪殺人者≫を救うことだった——
突如学校に集められた三十人の見ず知らずの高校生達。彼らはゲームマスターという謎の存在によって、≪クラスメイトゲーム≫へ強制的に参加させられてしまった。クラスメイトにはそれぞれ≪配役≫が与えられ、それに沿って三十日間を生き残ることでゲームから解放されるという。しかし各人にはそれぞれ「消すことのできる」対象が設定されており、「一日一人クラスメイトを消さなければならない」≪殺人者≫が混じっているのだった! そして≪殺人者≫から身を守るためには、消されるよりも先に他の誰かを消さなければならない!! あまりに非情な説明に彼らが疑心暗鬼に陥る中、集められた生徒の一人である相浦に与えられたのは「誰も消せず誰からも消される」≪主人公≫の配役で——。
- デスゲームが好きな人
クラスでの配役を課されたルール付きデスゲーム
とでも言えば良いんだろうか。
《主人公》《学級委員》《保健委員》など様々な役柄を配され、配役を演じていく。
配役に反する出来事を行った場合はペナルティが発生し、盛大な頭痛を食らうことになる。
死なずに、この突然放り込まれた謎のゲームから脱出できるか――という物語。
この配役制というのが面白かった。
まず、配役にはルールがある。
《殺人者》 生徒を誰でも消すことが出来る
《学級委員》 優等生を消すことが出来る
《優等生》 不良を消すことが出来る
《不良》 傍観者を消すことが出来る ※校則に縛られない
《傍観者》 何も出来ない
《オタク》 いじめっ子を消すことが出来る
《いじめっ子》 いじめられっ子を消すことが出来る
《いじめられっ子》 陰キャを消すことが出来る
《陰キャ》 陽キャを消すことが出来る
《陽キャ》 リア充を消すことが出来る
《リア充》 ひきこもりを消すことが出来る
《ひきこもり》 幼なじみを消すことが出来る
《幼なじみ》 親友を消すことが出来る ※秘密を共有出来る
《親友》 ライバルを消すことが出来る ※能力を共有出来る
《ライバル》 風紀委員を消すことが出来る ※能力を奪取出来る
《風紀委員》 放送委員を消すことが出来る
《放送委員》 体育委員を消すことが出来る
《体育委員》 保健委員を消すことが出来る
《保健委員》 給食委員を消すことが出来る
《給食委員》 図書委員を消すことが出来る
《図書委員》 書記を消すことが出来る
《書記》 霊感体質を消すことが出来る
《霊感体質》 生き物係を消すことが出来る
《生き物係》 ガリ勉を消すことが出来る
《ガリ勉》 花係を消すことが出来る
《花係》 掃除係を消すことが出来る ※花を移動出来る
《掃除係》 エロマスターを消すことが出来る
《エロマスター》 高嶺の花を消すことが出来る
《高嶺の花》 学級委員を消すことが出来る
《主人公》 誰からも消される存在 ※殺人者を傍観者に変更出来る(他言不可)
上記のような、AはBを消せる、BはCを消せるというルールがある。
そして、誰かを消した人は殺人鬼には消されなくなる。
そのため、殺人鬼に消されたくなければ自分で消せる相手を消さなければならない。だが、殺人鬼に消されなくなっただけで、自分を消すことができる一般人には消去される可能性がある。
ただし、それぞれがなんの配役がされているかは、その人が発言しなければわからない。
なので自分が消せる相手が誰なのかわからない。
しかし、判別する方法はある。
配役に反する行動をした場合はペナルティを与えられる。
例えば《ひきこもり》に配役された生徒は1時間目が始まるときに教室にいるとペナルティを受けるし、《優等生》があらっぽく汚い行動をした場合はペナルティを受ける。
ペナルティを起こさないためにそれぞれが行っている行動から生徒たちの配役を推理し、自分の動きを見定める必要と、《殺人鬼》を見つける必要がある。
という状況下で、2人の視点から物語が進められていく。
物語は、《主人公》の相浦と、《殺人鬼》の明日夢の視点から進められてく。
ルールは面白いがノリきれなかった
最初、読んでいて相浦と明日夢どちらの視点で物語が進められているのか分かりづらかった。
相浦と明日夢は同一人物で、描かれているのは相浦(主人公)は過去のゲームで明日夢(殺人鬼)は現在のゲーム。同じゲームの主人公と殺人鬼ではない。
同一人物のためにどちらの視点なのか分かりづらい。
ただ、丁寧に読むとわかるような作りにもなっている。
ということで、落ちの仕掛けも面白かったんだけれども、なんとなくそこまで乗り切れなかった。
相浦と咲の微妙なラブコメ展開が微妙すぎてついていけなかったんだけど、もしかしてこれ《幼馴染》の脳内操作とかされて記憶を植え付けられてるのかな。
それと、このゲームのゲームマスターが雑魚キャラ過ぎたのと、ゲームの仕掛け人の登場があまりに突然過ぎたのでうーん……?となった。
デスゲームの作りや配役の隠し方、出し方としては非常に面白かった。