「宮廷女官ミョンファ 太陽宮の影と運命の王妃」ヒーローは遅れてやってくる(そして到着が遅くてヒロイン怪我する)
あらすじ
宮廷女官のミョンファは出世を目指すも上官から目の敵にされていた。そんな時、宮中で出逢った美麗な青年武官に、奇妙な取引を持ちかけられると翌朝、王の寵愛を受ける""承恩尚宮""として王の側室候補を命じられ!?
面白かったー!
後宮モノ、の割に後宮内のドロドロは少なく、どちらかというとお仕事部分でのドロドロやカーストひっくり返り要素のほうが強いかな?
そういう部分も含めて面白かった。
到着が遅いヒーロー
個人的にこれめっちゃポイント高かった。
ヒロインが危険に突っ込んでいく→「きゃー!」→怪我をする寸前にヒーローが助ける!
というあるあるパターンではなく、この話はヒーローの登場が若干遅い。たぶん5分ぐらい遅い。
そのせいで、
ヒロインが危険に突っ込んでく→「やるならやれ!」→実際に怪我をする→致命傷になる寸前にヒーロー登場
ぐらいになっている。ヒーローは遅れてやってくる(正しく)。
おかげで物語の終了時には主人公の背はもう痣だのだらけでボッコボコだし、脚は下働きの頃についた怪我でミミズ腫れ天国になっている。
というか、全体的に少女小説にしてはリアルに想像できる範囲での痛そうな描写が多い。刀で切りつけられる、剣で刺殺されるぐらいの範囲だと全く想像がつかないのだけれども、しなる懲罰用の鞭でぴしゃりと叩かれるぐらいは誰だって想像できる範囲だ。できるよね? 出来なかったらどうしよう。
ともかく、そういったギリギリ想像できる範囲での痛い描写が結構な量出てくる。主人公jが下働き時代に脚をお仕置きとして鞭で打たれる描写、やらかした上司がその上の上司に鞭打ちされる描写など。その絶妙の範囲が良かった。
躊躇なく容赦なく主人公がボコボコになり、ヒーローが全然間に合ってない。でもちゃんと命に関わる場合にはギリギリで間に合っている。この絶妙なラインよ。もう5分遅かったら主人公は死んでるし、あと5分早かったら怪我すらしないのに。絶妙なタイミングすぎる。
ヒロインは面倒くさい自己犠牲タイプではなく、正義感が原因で動くとはいえ自己の倫理と論理に基づいて動くタイプなのでそのあたりも違和感や不快感が無くて読みやすかった。
お仕事モノ
お仕事モノとしても嫌なリアルで面白かった。
あるよね。仕事とは全く関係ないところで会社のお偉いさんに気に入られて、上昇志向の上司に嫌われるの。あるよね。最悪だな!
主人公のお針子という職業部分はピックアップされるシーン自体は少なかったけれど、仕事を愛しているのがわかったし、気合入ってるのが読んでて伝わってきてすごい好き。
私が少女小説だろうと主人公もガンガン怪我をするし危険に陥るタイプの本が好きなこともあり、とても好みの本だった。