「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」ファンタジーロミジュリモノ

★★★★☆,ファンタジア文庫ファンタジー,両片思い,恋愛,戦闘

あらすじ

終末の魔女と双剣の騎士が刃を交わすとき、物語は廻り出す――

「降伏しろ」
「降伏なさい」

帝国最強の剣士イスカ。
皇庁が誇る魔女アリス。

二大国が激突する戦場で二人は出会い、共鳴しながらも敵対する。
追い求める理想の世界のために。細音啓、渾身のヒロイックファンタジー!

こんな人におすすめ
  • ロミジュリが好きな人

敵国同士のロミジュリ

出会いは戦場。敵国の魔女を捕獲しろと言われたイスカと、敵国の動力炉の破壊をしに来た敵国の魔女たるアリスは顔を合わせる。
初めての戦闘、一瞬見えた顔。
出会うのは戦場だけでだったはずなのに、中立都市へ脚を運ぶたびに何故か顔を合わせ、そのたびに互いの趣味や好きなものが近いと知っていく二人、という物語。

あ~~~~めっちゃ良いロミジュリ! すっごく良いロミジュリ!!

出会いは最悪だったはずなのに、近いものを好きだと知ってどんどん距離が近づいていって相手への好感度を上がっていくというパターン、ありがちで王道で、だからこそものすごく良い。すっごく良い。
最初は偶然ハンカチを貸してくれたとかそういう程度のものだけど、パスタの茹で方がおんなじ具合が好きだったり、好きな絵画が同じだったり、そういうちょっとしたものから相手へ好意を持っていくの、超良い!!!!

出会いというか始まりというか、それが最初は一目惚れなのは、物語としてはわかりやすいなと。
だからこそ最初から好感度が敵国同士としてのマイナスじゃなく、若干高い30ぐらいから始まるんだし。
正直一目惚れって処理として雑だなあと思いがちなんだけれど、この話の場合はそこから好感度が積み上がっていく流れが可愛くてわかりやすくてただひたすらに最高。

「と、とにかく食事を……」
 テーブルの上のメニュー表へと手をのばす。その指先が、ちょうど同時にメニュー表を取ろうとしたイスカの指先に重なった。
「きゃっ!? ご、ごめんなさい!」
「……あ、い、いやこちらこそ……ごめん」
 萎縮した様子で手を引っ込めるイスカ。
「…………ど、どうぞお先に」
「…………あなたこそ先にお決めなさい。譲ってあげる。手、伸ばしてたじゃない」
「…………僕、ソッチに渡そうとして手を伸ばしたんだよ」
「…………わ、わたしだってそうよ!」

はい可愛い。
はいとても可愛い。
はい相手に渡したいけれども手がぶつかっちゃっただけで意識しちゃってるのとても可愛い。

これで敵同士だっていうのだから可愛い。
戦えない中立都市で偶然出会って相席の状況とはいえ、この可愛さは果てしなく可愛い。
最高にひたすら可愛い。

こんな可愛い距離感描写がひたすら続く。
相手は敵なのだと悩むシーンも当然ある。あるが、この両片思いのシーンがめちゃくちゃ続く。最高。かわいい。うれしい。ありがてえ。

オチは若干どうにも

ネタバレ。

純血の魔女が暴れて魔女人間関係なく襲ってくるのでイスカとアリスが共闘して純血の魔女を止める、という流れ。
二人の共闘はなかなかテンション上がるものがあったけれども、それでもうーんなかんじだった。

共闘させたかったんだろうな、ガチの敵対の決着を1巻でつけてはいけなかったんだろうなとは思うけれども、だとしてもこれから戦うぞ! というタイミングで第三勢力(?)が入ってきたのは若干興ざめだった。
二人がこれからバトってどうするか決着をつけるだろうなと期待していたからなおさらに。でも1巻でそのあたりの決着漬けちゃうと話を伸ばしづらくなるもんなー、しょうがないのか。

ふたりともが相手がどうしたいか離して理解した、今後はイスカがアリスに協力するパターンも、アリスがイスカに陰ながら協力するパターンもあるだろう。
イスカもアリスも自分の理解者である相手を一人つけた上での話し合いだから、その相手も必然的に内容に絡むこととなる。これから二人がどう動くのかも見もの。

ググってみたところ現在9巻まで進んでいるということで、なおさらこの状況ならば1巻で決着をつけないのは当然だろうなあというところ。

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