「奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター」仕事に矜持を持って働く二人の物語
あらすじ
「聞いている人を恥ずかしがらせるんだよ!」
BLを愛する""貴腐人""のゆりは、男前な性格の美人OL。半年前から同居する恋人の 曜(よう)は、いまいちブレイクできない声優で、ゆりに求婚するも拒まれてばかり ……。
そんな曜に十八禁の「BLノベルゲーム」の仕事が入る。が、ゆりは曜の声にダメ出しの連続。
ゆりが惚れ込む曜の本来の声の力を発揮させるため、貴腐人の個人レッスンが始まる!
ホワイトハート新人賞受賞作。
すっっごい面白かったーーーよかった!!!
BL好きでMRの仕事やってる嫁と、あんまり売れてない声優の旦那。旦那のところにある日BLゲーの仕事が入って、から始まる物語。
てっきり嫁がBL好きなのがメインに出てくる話なのかなーって思ってたんだけど(それもあるけど)そうじゃなく、旦那がBL声優仕事があまりうまくいかず壁にあたってしまったとき、嫁が腐女子だからこそ旦那の問題点を指摘しするのがすごく良かった。
嫁自身かなり働いている人で、なんなら旦那を養って生きていくことすら出来るぐらいに稼いでいる。
それってつまりそれだけ仕事に打ち込んでいるし、実際に作中では曖昧な内容で商品を選んでくれと言われたときに、候補となりうる商品を複数選び、業者に資料を取り寄せ、資料を丁寧にまとめる、というたいへん非常に面倒くさい仕事をこなすシーンがある。
やろうと思えば商品複数選んだりなどせず適当にも出来るのに、嫁は想定出来るものを選び、比較を行えるようにする。
それだけ自分の仕事に手間を掛けて、矜持を持って働いている人とわかっているからこそ、旦那に対して言う「矜持を持って働く」「下手な恥ずかしさを持つ必要はない」と言うのに説得力があるんだよなー面白!
旦那の練習している声について嫁がツッコミを入れ、旦那が「自分がプロだ」というも嫁が「プロの声を聞くユーザーの耳はもっとシビアだ」って答えるのも確かにだしなるほど。ユーザーの耳はそこらへんものすごくシビアだよね。このゲームのあえぎごえが雰囲気出てないとか叩かれてるの見るもん。
旦那の仕事に嫁の趣味がかち合っているっていう感じがすごかった。嫁が腐女子なのがキャラ付けじゃなくて物語にきっちり噛み合ってた。
と同時に(若干しょうもないがしょうがない理由で)二人が現状事実婚なことから、ワンチャンいけるのでは!?とおもう輩が出てくるのがうわーーーってなるし話うまいな面白いな。
二人は確かに書類上は結婚してないがどこからどうみても相思相愛だし相手を大事に思っている、でも確かに結婚はしてないからそう思うやつらが出てきても仕方ないんだよな。
そこらへん含めてもほんっと面白かった。
で、この続きは!? ここまで面白い流れだし続きあるんだよね!? ……と思ったら無い。ここで終わっていて、しかも刊行が10年前だった。嘘だろ……。
なにはともあれものすごく面白かった。続きが読みたい。