「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない―自分の言葉でつくるオタク文章術」今の感情を保存せよ
推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない自分の言葉でつくるオタク文章術
あらすじ
推しを語るためには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。
必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。
そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で推しの素晴らしさを語れるようになるのです。
ここでは特別に、少しだけそのコツをお教えします!
コツ① 自分の感情を一番大切にする
コツ② 妄想をこねくり回して、感想を生みだす
コツ③ よかったところを細分化するだけでも、あなただけの言葉になる
これって一体、どういうことなんでしょう…?
本書では、特別な技術や才能がなくても、「推しが大好きだー!」という気持ちさえあれば、誰でも語れるように説明しています。
あんまり感想を書くのがうまくないので、そこらへんどうにかなんないかなーということで購入。
現在の感情を保存しろ
この本の中では色々と書き方やネタの出し方が書かれているんだけれども、それはそうとして一番刺さったのここかもしれない。
なにが起きても絶対に変わらず好き、なんてほとんど有りえません。
たとえば、あるアイドルがすごく好きでも、そのアイドルが自分の想像とはまったく違う好意をしていた。すると自分の「好き」がよくわからなくなってしまう、なんて体験もよく聞く話です。(中略)
だから、絶対的な「好き」なんてほぼアリエナイもの。そして「好き」が揺らいだとしても、それを嘆く必要はまったくありません。だって当たり前だから。むしろ揺らがない「好き」なんて、盲目的な執着であって、本当の意味で「好き」なわけじゃないのかもしれません。
(中略)
あなたは、そのアイドルを好きだったときに「好き」を言語化して、自分のスマホのメモ帳に残しておいた。スキャンダルから少し経って落ち着いて、そのメモを見返してみる。すると、もう存在しなくなった自分だけの「好き」が、そこに保存されているんです。
別に、それを読み返せばもう一度好きになることができる! と言いたいわけではありません。
ただそこに、「好き」があったことを思い出せる。今はもう好きじゃなくても、いつの間にか自分の一部になっていた「好き」の感情が保存されている。これって意外と大切なことじゃないでしょうか。
これめっっっちゃわかる、ものすごくよく分かる。
オタクだったらあるあるだと思うんだけど、当時熱狂的にハマったものでも数年経つと覚めたりする。あの頃グッズや公式ムックや同人誌をアホほど漁ったジャンルでも数年経過すると買わなくなったりなんてあるあるだ。
でもそれを悪いこととせずに、そのときの感情を保存しておけたらいいね、その時の「好き」をあとから読み返してそうだったなと思い返せたらいいね、と書かれているのがめっちゃ刺さった。誰だって思い当たることあるでしょ、これ。
感想の書き方
感想の書き方自体は前に見た増田とかなり近かった。
この増田は読みながら書き出してるけど、この本はライブが終わってから衣装が好きだったとかセトリのどの部分が好きだったかとか思い出し、何故好きだったかという自分の感情を深掘りしていく。
その感情の深掘り部分は誰かの目につく場所ではなく自分だけの見える場所で行い、全部さらけ出して書いていく。ひと目に見せるときはそのときに整えるから。このあたりもだいたい一緒で、わかる~~、取り繕わない言葉でごちゃごちゃ書いてからあとからまとめていくのが良いのだ……と思った。
このどこが好きだかをなるべく細かく(この曲の衣装が好き→赤い色が似合っていた、みたいに理由つきで詳しくしていく)していくことで、自分だけの感情と感想になるっていうのがわかりやすい。
終盤に、実際に他の作家さんのエッセイでどういう書き方があるのか参考になるのも面白い。
でも三浦しをんエッセイので実際自分がこの隣の女の子だったらたぶん死ぬ。ここまで詳しく見られて書かれたら死ぬ。現場が確実にLDHで、可能性が無ではないのでなおさらワァとなった。
推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない自分の言葉でつくるオタク文章術