重厚ファンタジー×甘酸っぱい恋愛「血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)」新八角

★★★☆☆,電撃文庫ファンタジー,恋愛,新人賞,片思い

あらすじ

第22回電撃小説大賞<銀賞>受賞作! 国を追われた王女と、血染めの護衛剣士の運命を描く珠玉のファンタジー

[私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの] ──この日、赤燕の国(レポルガ)の国史には第百三十二代王位継承者アルナリス=カイ=ベルヘスと、その護舞官ユウファ=ガルーテンが失踪したと記された。だが、それは嘘だと俺は知っている。太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけだった……。 突如国を追われた王女アルナ、刀を振るうしか能のない護衛剣士ユウファ、猫の血を身に宿した放浪娘イルナ、人語を解する燕のスゥと軍犬のベオル。森と獣に彩られた「赤燕の国」を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を前にして彼らが胸に宿した祈りとは――。 これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。

手と手で会話すればどこでも二人だけの世界になる

二人っきりの言葉で会話する二人がすごく可愛い。

王族は王歌という特殊な歌で魔法のようなものを使う。そのため、普段は声を出してはいけないという決まりがある。
そんな中で出会った主人公と王女、王女は主人公に手を使って会話をすることを教える。王族のみが使うその言語を使用し、主人公は王女と会話するようになる。

この会話が、他人は誰も理解できないっていうのが完全に二人っきりの世界ですごく可愛い……。
中盤から仲間に加わった少女は、二人っきりで行われる手での会話を理解できない。
主人公と王女が会話しているだけならば特段意味をもたなかった会話なのに、それが理解できない人がいるというだけで二人っきりの秘密感が一気に増す。
他人は理解できない二人っきりの言葉ってすごく良いよね。どれだけ周囲に人がいても、ここに二人っきりなのと同じだ。いつでもどこでも二人だけの世界を作り出せる主人公たちに一気に萌えてしまった。

物語半ばで王女は一般的に流通している手話を使用し、声のでない老人と話すシーンがある。
彼女の言葉が理解出来ない感覚に妬いちゃってる主人公がめちゃくちゃに可愛い……。最高。自分だけは彼女の言いたいことが理解できていたのに、っていうのがなくなってしまうの、そりゃむずむずするし落ち着かないよなー! めっちゃ良い。

主人公から王女への甘酸っぱい感情が、あ~~~青春!という雰囲気で最高。
無花果の実のシーンがひたすらたまらなかった。可愛い。
彼女のために強くなる、彼女といたいからどこまでも訓練を続けるってほんと最高だった。

内容的にてっきり逃避行が行われるのかと思いきや終盤めちゃくちゃびっくりしてしまったんですけど。
これこれからどうするの!?単巻完結なのかと思いきや今3巻まで出てるしどういうこと!?

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