レフ、ずっとイリナのことばっか考えてるね「月とライカと吸血姫 2 (ガガガ文庫) 」牧野 圭祐

★★★☆☆,ガガガ文庫お仕事,ファンタジー,吸血鬼,時代物

あらすじ

高度百キロメートルの宙から君を想う。

『ノスフェラトゥ計画』の一件を評価されたレフ・レプス中尉は、晴れて念願の宇宙飛行士候補生に復帰する運びとなった。それに合わせて吸血鬼の少女イリナ・ルミネスクを監視する任務からも解かれることになる。昼を生きるレフと夜を生きるイリナ。ふたりは同じ基地内でもすれ違ってしまう、そんな生活が続いていた。

イリナの様子を気にかけつつも、レフは自身の夢を叶えるために「人類史上初」をかけた宇宙飛行士選抜試験に挑み、優秀なライバル達と鎬を削る。

その一方で、不穏な空気がイリナの周りを包もうとしていた。

「実験体が帰還したようです」
「……もう用済みだろう。廃棄処分を」

回り始めた運命の歯車は、果たしてどこに行き着くのか――。

世界に渦巻く巨大なうねり。一枚岩ではない共和国政府。追いつけ追い越せと躍起になっている連合王国。いまだ人類が宇宙に行くことが奇跡だと思われていた時代。様々な思惑に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を志すふたりがいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が織りなす、宙と青春のコスモノーツグラフィティ第二幕。

心に残る言葉を他人の心に残す

イリナが宇宙へ飛んだ前巻、レフが宇宙へ飛び立とうとする今巻。

レフが宇宙へと到達し交信するときに考えているのがひたすらイリナのことなのが、今までどれだけ彼女のことを想っていたか、どれだけ彼女が史上初にならなかったのが悔しいか溢れ出てきていてすごく好き。
レフにとって最初の宇宙飛行士というのはイリナでしかないって、ずっと決まってたんだろうな。

故に、宇宙から地球を表現する言葉や宇宙を表現する言葉が全てイリナの言葉になるレフがすごく好き。
ずっと自分の心に深く刻み込まれていた彼女の言葉を、自分の言葉としてではあるけれども全国民に伝えようとしていて、なんかもう愛だなとなってしまった。

レフとイリナの関係性がひたすら甘酸っぱいんだよなあ……。
血を吸われたいって要するにめっちゃ近くに行きたいって意味じゃん、キスをするより一種めちゃくちゃ近い位置に行くことになるよね。

めちゃくちゃきれいに終わった1巻からどうなるかと思った2巻、想像以上にきれいな物語だった。

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