「俺の幼馴染はメインヒロインらしい。 (角川スニーカー文庫)3pu」こんな読みづらい本あるんだ
あらすじ
水無月彩人の幼馴染・街鐘莉里は誰もが目を奪われる理想の美少女で、実はタイムリープして2度目の人生をやり直し中だ。
1周目の人生には出会ってなかったはずの彩人は、絶望していた莉里の心を無自覚に救って、その上共に進学した高校では起こっていたはずのトラブルや事件のフラグも無自覚に粉砕していく。
ラブコメハーレムの一員になるはずだった莉里の運命<シナリオ>はいつの間にか大きく変わっていた。
一向に始まらないラブコメを横目に、莉里はモブのはずの彩人の隣で嬉しそうに微笑む。
「だって私は彩人の幼馴染<メインヒロイン>になりたいから」
web小説の悪いところ詰め合わせみたいな本だった。
主人公のキャラクター性は嫌いじゃないんだけど、それ以外の部分でとにかく読むのがきつくて、最後まで読んだけれどもうーん……という気持ちが強すぎた。
個人的にweb小説の書籍化で発生しがちだなーと思っている合わない点っていくつかあって
- 1冊のなかで変化がろくにない
- 起承転結じゃなくて起承承承承承承……
- 編集入ってないのか文章が読みづらい
を、この本は見事にクリアしていた。
設定は結構おもしろいんだよ。主人公ではなくヒロインがタイムリープしていて2度目の人生を送っている。辛かった前回と違って今回は主人公に出会えたおかげで良い人生を送れるかもしれない。
でも、そのタイムリープ設定も設定倒れでしかなく事件が起きる直前にバタバタと突然動くぐらいでしかないので、そのぐらいなら前向きノンデリ鈍感小学生メンタル主人公(褒めてます)と出会って元気になったヒロインモノとして特化しちゃったほうが良いんじゃないのかな。世の悪役令嬢モノのほうがまだ自分の運命に抗おうとしているよ。
物語の大半が主人公とヒロインの学園生活でしかなく、また主人公とヒロインの関係性もすでに幼馴染として固定されているので変化がない。前世で色々あった高校時代になったからといってヒロインは主人公との関係性を変化させようとしたりはしないので、最初から最後まで主人公とヒロインの関係は固定のままで変化は何も無い。
じゃあタイムリープヒロインが前回おきたあれこれを回避するドタバタを見れば良いのかと思えば、前述の通りに回避が全て直前なのでそういう面白さもない。
なにより文章がとにかく読みづらい。なんで台詞で言ったものを必ず地の文で繰り返すんだ。
「大丈夫だとは思うけど、一応確認。待ち合わせ何時になってるの?」
「確か七時半にあっちの駅だよ」
山盛りのご飯がみるみるうちに減っていくのを横目に、千花は時間が大丈夫なのかと聞いた。
時間が大丈夫なのか訊いたのは会話を読めばわかるんだよ。こういうのが1回や2回じゃなく、会話3回したらそのうち1回はこれってぐらいに入ってる。『(行動)をしながら(会話の要約)と話した。』みたいなの。わかったよ。さっきの会話読んだからわかったよ。わざわざ会話をもう一度書かなくていいよ。
作者がプロットを書いてそれを地の文にしていき最後に台詞足すタイプなのかな。そんでもって消せばいいのに地の文のほう消してないのかな。編集これなにも言わなかったのか?
視点自体も固定されていなくて、主人公視点だった地の文が突然ヒロイン視点になったりしてわけわからなかった。
設定は面白いんだけど生きてないし、文章自体は読みづらいし、起承転結になってなくて無理矢理最後に適当にオチつけた感じあるしで、面白くない本だった。