「旺華国後宮の薬師 – 甲斐田 紫乃」目標に向かって努力していく主人公は格好いい
あらすじ
『不苦の良薬』――苦くない、誰でも飲みやすい良薬こそ至高。
後宮の官女・英鈴は、そう志して女だてらに薬師を目指している。
ある日、後宮で薬茶を売り始めると、珍しい処方に興味を持った皇帝から呼び出される。
すると、「甘党の余のために、苦い薬を飲みやすくしてほしい」と、皇帝専属のお薬係に任命された。
処方を気に入られた喜びも束の間、妃に昇格すると言われてしまい……?
「私が目指しているのは、妃ではなく薬師です!」
皇帝のお気に入りが「おいしい処方」を掲げて活躍する、中華おくすり物語!
目的に向かって頑張りつつ事件に巻き込まれて右往左往しつつ頑張る主人公は良いものだ。
主人公が好みの話はやっぱり読んでて楽しい
薬師になりたい主人公が、宮女から突然后にされてビビりつつも皇帝に頼まれた薬を作ったり、その薬の使用法が危ねえもんじゃねえかと疑ったり、また頑張って薬を作ったりするお話。
主人公がとにかく好感持てたなー! なにか目標に向かって頑張る主人公は大好きなので。
結構重たい理由があって、良薬口に苦しという言葉に真っ向から反対して飲みやすいおくすりを作りたい主人公。彼女の夢を持つに至った理由と、それに対しての努力の方向性が、わかりやすくなおかつ真っすぐで読んでてすごく好感が持てた。
後宮で効能のあるお茶を売るっていうのが、女はなれない薬師という職業に抵触しない程度に夢を叶えるやり方で、うまいなーと感じた。薬の調合自体は駄目でも、薬っぽい効果があるものをお茶の混ぜて、なおかつ飲みやすくして売りさばくのは全然セーフだろうしね。民間療法くらいの感覚。
そういう小細工をしながら自分のやりたいことを広めていき、出来ることを増やしていくっていう地道な手段を取れる主人公って、やっぱり良いよ。
そして、誰も認めてくれなかった夢を認めてくれた人に好感を持ってしまうの、わかる~~!そういうシーン大好き。
女はなれないと決まっている薬師という職業になりたいんだと勢いで話してしまって、でもそれを否定しないでいてくれる。それだけで、ぶっちゃけ表の顔と裏の顔があり信用できるかどうか不安な人であっても好意を抱いてしまうの、わかる。わかるよ。好意って信頼とはまたちょっとズレたところにある感情だもんな。
でも主人公のやってるのって薬師なのかな、というか薬師ってなんなんだろう。薬膳師ですって言われたらそれでもギリギリ納得しちゃいそうだな。
薬の効きが物語の都合上とはいえくっそはやい
物語の都合上しょうがないんだけど、病の進行が早ければ薬の効きも超高速なのちょっと面白い。全部5分ぐらいで効果が出る。
はちみつと混ぜた粉薬を犬に少しずつ飲ませれば、指定量飲み終わるころには表に出る症状はやわらぎ効能が目に見えてわかる。
薬の入ったものを食べさせるために一旦家に持って帰った人は、なんかどう見ても5分ぐらいで戻ってきて「うちの子の鼻水と咳が落ち着きました!」っていう。
感染症にかかった子はつい数時間前まで走り回るぐらい元気だったのがあっという間に薬すら飲み込めないぐらいの咳込み具合になり、けれども薬をどうにかこうにか指定量飲み終わる頃には喋れるぐらいに快癒する。
全体的に効果の出方があまりに早くてちょっと笑っちゃった。特に一旦家に持って帰った人の場合、効能を弱めた薬だったはずじゃん。流石に早すぎるんだよ。
物語の都合上仕方ないとはいえ、あまりの速度感にはっやwwって笑っちゃった。