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「旺華国後宮の薬師 3 (富士見L文庫)甲斐田 紫乃」ここでも英鈴を野放しにしてくれる朱心の信頼が好き

旺華国後宮の薬師 3 (富士見L文庫)甲斐田 紫乃

旺華国後宮の薬師 3 (富士見L文庫)甲斐田 紫乃

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あらすじ

不苦の”良薬”VS不苦の”猛毒”。『おいしい』薬で毒に立ち向かう――!

皇帝・朱心に才能を見出され、貴妃の位を賜り専属のお薬係になった英鈴。
『安眠茶』騒動が収まり平穏が戻ったと思いきや、今度は英鈴の菓子から毒が見つかった。
命を狙われ恐ろしく思うも、苦い毒を相手にわからず食べさせる手法は、自分が作る『不苦の良薬』に似ていると気づく。
手がかりの薬包紙を元に対策を練るが毒は次々に仕込まれていき、さらには『手を引け』と朱心からも突き放されてしまう。
それでも次は皇帝や妃嬪が狙われる可能性があると思った英鈴は、皆を守るために良薬で毒を不能にする賭けに出て……?

シリーズ: 旺華国後宮の薬師

毒に巻き込まれる英鈴

不苦の良薬ならぬ、不苦の毒薬が英鈴に向けられるこの巻。
今まで朱心に「苦くなく食べやすい薬ならば、薬の苦みが苦手な朱心でも食べやすい」とやってきた英鈴に向けられる「苦くなく食べやすい毒ならば、毒の苦みで気づく人間でも難なく食べてしまう」という牙が向けられるの、おもしろー!
前の巻の「皆が英鈴の薬学の知識を信頼している」というのをひっくり返して英鈴がやり返したのも面白かったけれども、こういう今まで提示されているものを別のアプローチでやってくるお話大好き。そう来るか!という面白さがある。

前巻の終盤で朱心に恋心をうっすら抱いた英鈴がどことなく挙動不審になるのがまあ可愛いし微笑ましいんだよ。1巻の頃から少しずつあったものがとうとう芽吹いたな、という感じ。
そりゃあ自分が今まで持っていた夢を誰からも否定されていたのが突然肯定してくれる皇帝が出たら惚れますよ。というところからの、その後も少しずつ野放しという名の信頼を与えてくれていたのを見せられたら、好きになっても当然というか。
そのタイミングで相手が何故か自分に対して絶妙に冷たくなり距離を置いてきたら不安になっても仕方ない。このタイミングの最悪さがおもしれえ~~~!!となる。

今回のラストで朱心が少し英鈴に本心を明かしてくれたのが好き。
少なくとも1巻の朱心だったらここまで見せてくれないとは思うんですよ。でもここで開示してくれたのはやっぱり信頼関係が出来たのもあり、朱心にとってそれだけ英鈴が大事な存在になったからっていうのもあると思うんですよね。
2巻ラストの時点では謀略の一種の味が強そうだった正妃への格上げも、このまま巻を進めていけばマジのマジでになるかもしれん。
そのためには二人が互いに感情を吐露しあったり好きだと言う必要があるんですが、そ、想像つかねえ~~~!!

現在の朱心と英鈴の関係性ってどことなくバディというのが近い気がするんですよ。
上下関係はあるし朱心が主に英鈴の能力を利用している形ではあるが、目的に向かって二人三脚で走っていくような関係性。朱心にとっては燕志とは違う意味で信頼のおける戦友みたいな。そういう男女の関係性が好きなので、読んでいてニヤニヤしてしまうし、これに恋愛要素が入ったらどうなるんだろうな。ちょっと好みとはずれる可能性が……ある!!

ラストのラストに正体がわかった花売りは、死体見つかってないので普通に続刊で元気に敵として動き回るやつだ。

ここでも英鈴を野放しにしてくれる朱心の信頼が好き

溺愛モノを最近読んだからこそ特に思うんだけれども、溺愛と自力でやろうとする主人公ってすごく相性が悪いと思うんですよ。
溺愛した結果、たいていのキャラクターって相手がやろうとしていることを肩代わりする。
街を滅ぼすのは代わりにやってくれるし、性格の悪い親類もだいたい対応(処罰・処刑・排除)してくれる。なにか復興策をやりたい主人公の場合は主人公にやり方を考えさせるのではなく代わりにやってくれる。主人公に花を持たせたい場合はお膳立てをほぼ完全にやってくれて、あとは主人公が最後の美味しいところをやるだけという状態まで持ってきてくれる。
そういうのって自主的に何かをしようとする主人公とものすごく相性が悪くて、そして私は自分で何かをしようとする主人公が好きなのでものすごく私とも相性が悪いというのに最近まともに気付きました。

どちらかというと、溺愛はしててもしてなくてもいいんだけど、例えば主人公が食料の貧しい村を救いたいと言ったときに「君が開墾する土地はここだ!」とくっそ死んだ近隣の土地を与えてくれる相手のが好きなんですよね。それに対して主人公が「この野郎!出来ないと思ってんの!?絶対見返してやる!」と息巻くようなのが好き。
うーん、これはケンカップル好きの部分もあるのでは? それはそう……。
そこで「なんて素晴らしい心がけだ!うちの備蓄を全部その村へ送ろう!」とか言ってる男は嫌い。なおかつそういうやつ、たいてい「この案を言い出したのは彼女だ!」と丁寧な主人公ageも入ってくるので、いや~~~金とものを出したのはお前では? と思っちゃうから嫌い。お膳立てして美味しいところだけ主人公に手渡すな。

主人公が努力し、失敗しようとしてもそれでもどうにかこうにかやり遂げる、というのが好きなんですよね。そしてヒーロー側も好きな子のポテンシャルを見たいという強い思いがあってほしい
そのあたりをうまく任せるのって、本人の度量と、根底にある相手への信頼だと思うんですよ。彼女だったらこの問題を片付けられるという信頼があるからこそ任せられる。そういう信頼関係が二人の間にあってほしい。
同時に、主人公は苦しんで苦しんだ上で困難を乗り越えてほしい。

って書いていて思ったんだけど、わたしが悪ラスのリリアが好きなのがかなりこれなんですよね。彼女はアイリーンに対してかなりトラブルや問題をぶつけてくるけれども、巻を進めるごとに根底にあるのはアイリーンならこの問題を最高の形で乗り越えてくれる!私の推しだもの!もっとピンチを乗り越え格好良いところを見せて! という信頼じゃないですか。その信頼を向けられているほうは最悪ですけれども。
そういうお前だったら乗り越えられるという信頼を向けてくれるのって良いなって思います。
他作品だと蠱愛づる姫君の結婚もちょっと近いかも知れない。あれはほっといても彼女だったらなんとかするだろう(そして被害はどでかいだろう)という信頼。アレは同時に溺愛も入っているので出てくる人間の頭が皆おかしい。

これは後宮モノへの文句というか私の頭が悪いアレなんですが

妃の上下と位がどうやっても覚えられねえ。

旺華国後宮の薬師 3 (富士見L文庫)甲斐田 紫乃

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