
あらすじ
私無しじゃ生きられない身体にしてあげるから、覚悟しててね
校内一の美少女として有名な一つ年上の先輩――緋奈藍李。
俺、雅日柊真にとっては姉の友達だけど、まともな会話すらしたことがない顔見知り程度の関係……だったはずなのに。
「どうやら私、しゅうくんを甘やかすのが好きみたい」
先輩の家へお見舞いに行ったのをきっかけに、緋奈先輩の方から急接近してきて――。手作り料理に、デート、膝枕……
「ねぇ、もっと教えて欲しいな。私の身体が、キミで疼くわけを――」
俺にしか見せない先輩の素顔。気付けば恋人(仮)の関係に!?
「私無しじゃ生きられない身体にしてあげるから、覚悟しててね」
先輩に甘やかされて堕落させられるラブコメ!
読んでて何が無理だったか考えてると、とにかく主人公の良さがよくわからなかったのでヒロインがなんでこんなにもグイグイ来るのかわからなかったっていう部分に尽きるかも。
でもヒロインの台詞をあとから思い返してみると、これはS女がいたいけな年下男子をM男に養成する話なのかもしれない。たぶん違うけど。でもそのぐらいよくわかんねえな……のまま物語が進んでいった。
甘やかすというよりも肉食系でグイグイ来る系ヒロイン
横暴気味な姉に頼まれて、学園のアイドル的な憧れの先輩のお見舞いに行くことになった主人公・柊真。熱を出した緋奈先輩の見舞いに行った翌日から、柊真は先輩に手作りクッキーを貰ったり、その後緋奈先輩との約束をすっぽかした姉を待つ間に先輩からご飯を振る舞ってもらったりと接触が増えていく。
そんなこんなのうちに先輩から告白され、けれども自分じゃ先輩と付き合う視覚なんてないという柊真に先輩は仮のお付き合いでもいいから! とお願いしてくるという展開に。
冒頭にも書いたとおり、この主人公の良さが私にはわからないので、先輩随分グイグイ来るなって印象のが強かった。
熱が出て学校を休むほどの体調なのに、主人公が見舞いに来てくれたからといって翌日には手作りクッキーを渡したり(衛生状態大丈夫!?)(学校を休むほどの熱だったのに!?)(いくらお前の体調がいい感じに戻っていても感染性の病気の可能性は!?)、速攻でデートに誘ったり、デートの最中もまだ付き合っている関係ではないというのにかなり距離近めで意識させようとしてきたりとグイグイ来ている。
でも主人公が何しているかと言えば、特段特別なことをしているようには見えないんだよなあ。
校内一の美女ぐらいの扱いをされている人の見舞いを頼まれたら、大抵の人はたくさん買い込んで行くだろう。そんな彼女からお礼の品をもらったらおお喜びするだろう。料理を振る舞ってもらったら美味しい美味しいと食べるだろう。
どれもこれも、主人公だからっていう部分がまるでなく、なんでこいつなの? という思考のほうが先に立ってしまった。
言ってしまえば先輩と仲の良い主人公姉がいるからこそ降って湧いた僥倖に過ぎないし、なんなら姉が男だったら先輩は姉のほうに惚れてそう。
まで考えてて、もしかしてと思ったんだけど。
年下で自分がどうにでもできる男をM男育成したいタイプかな、先輩
いや……だって……。
主人公である柊真って、とにかく先輩をちやほやし、かなり肯定bot的で、令和の主人公らしく性的にグイグイ行ったりはせず、けれど先輩に惚れているので行動がわかりやすく好意滲ませてるんだよ。
なにかあっても襲ってこない、でも自分が襲いたいときには襲える、都合が良くて制御できる年下彼氏がほしいのかなと思えてしまった。
そんでもって途中で
「雅日くんは特に私の嗜虐心を煽ってくる。なんでだろ?」
だの
「あと、服従させたいって欲があるのも本当」
なんて言ってるしな……。
こじつけなのはわかってる、わかってるんだけど、惚れた理由が些細というか、柊真自身も言っているとおり「本当にそんなことで?」と思ってしまうような内容すぎて首を傾げてしまう。
年下で、自分に惚れきっていて、自分に手を出してこようとはしない草食系男子。そんな男子の首にキスマつけたりして煽りつつも本格的には手を出させないまま飼い殺しにする。そういう高度なプレイなのかもしれない、この先輩のしたいことは。
これで主人公が先輩に本気でグイグイ行ったらぬいペニ状態でドンビキされて逃げられたらそれはそれで面白いけど、ラブコメラノベなのでそういうことはないでしょう。
主人公である柊真があんまり先輩のために努力してるようには思えないのも、『なんでこんなやつ好きになったんだろ?』に拍車をかけているのかも。突然先輩に見合う男になるためにと掲げたものも、それ関係ある……? となっちゃったりもしたし。ムズカシイネ。
姉ちゃんとの関係性が良い
メインヒロインたる先輩との関係性は結構ボロクソに言ってしまったんだけど、その先輩の親友で柊真の姉と柊真の関係性はすごく良いんだよね!
読んでて、姉に迷惑かけられたりもするものの、基本的には悪くは思ってないし大事な姉ってのが細かい文面から伝わってくる。
互いにシスコンでもブラコンでもない適度な距離感を持ち、互いに恋人が出来たりしても「へー、すごいじゃん」ぐらいの距離感だろうなと思える姉弟の関係性、とても良かった!
ところで物語的には長年片思いしていたものの主人公に伝えなかった友人・柚葉が2巻以後当て馬として出張ってくるんだろうけれども、うーん……ちゃんと好きって言えた子無双の影響で「好きって言えるやつが無双する世界だからなあ……」と思ってしまうところがあるものの、でもちょっと不憫が勝ってしまう。なんだろう、この感覚。
