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「今日も俺は暗黒幼馴染に立ち向かいます。 魔法使いたちの望みと願い (MF文庫J)葉村哲」ヒロインがツンデレというよりドS

今日も俺は暗黒幼馴染に立ち向かいます。 魔法使いたちの望みと願い (MF文庫J)葉村哲

今日も俺は暗黒幼馴染に立ち向かいます。 魔法使いたちの望みと願い (MF文庫J)葉村哲

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あらすじ

将来を嘱望される天才魔法使い『四大召喚士』近衛ミキヤは六年ぶりに帰国し転入した神智魔法学園で幼馴染と再会した。
「ごきげんよう――天才魔法使いの泣き虫ミーくん」
「うわああああああああああああああああああああああ!」
『武装召喚士』柊シガノ――幼いミキヤに数々のトラウマを植え付けた暗黒幼馴染にしてもう一人の天才魔法使い。
「あなたが生徒会長選挙に立候補すると聞いたから、私も立候補することにしてあげたの」
師の命令により生徒会長を目指すミキヤの前に、再びシガノが立ち塞がる!
前途洋々だった学園生活は何処へ。
クールな幼馴染の、ちょっぴり過激で意地悪な愛情表現に立ち向かえ……!!

ツンデレというよりドSの幼馴染と、リアクションどでかい主人公のラブコメ

師匠の命令で学園の生徒会長を目指すことになった主人公が、転校そうそう幼い頃自分をいじめていた幼馴染と再会し、生徒会長の座をかけて争うラブコメ。
結構明確にヒロインは主人公に好意を抱いているし本人に伝えているけれども、主人公は過去にヒロインにいじめられたトラウマがあり怯え続け、なおかつヒロイン側もいじめるの自体が楽しそうで主人公が怯え惑う様を楽しんでいるので、ラブコメではあるんだけれども……いやラブコメではあるが……という不思議な味わいの話になっていた。

物語の冒頭で、生徒会長戦は学園内のトラブルを解決して票を得るという方式だと伝えられ、あっちこっちのトラブルに奔走することとなる主人公。部活でノリで呼び出しちゃったドラゴンを片付けたり危険な魔獣を討伐したりというイベントが多々発生。相当やばい事件が起きているっぽいのに主人公以外は「うちの学園ってそうだからねー」な雰囲気で、この学校相当やばくありません……!? というのが十全に伝わってくるシステム。
そして主人公のそのリアクションもまた元気なんだよなあ。銀魂のオタクみたいなノリというか。うるさい、声がでかい、ツッコミ。そんなノリで頭が固いまっすぐな野郎が騒ぎ倒してくれるので、ヒロインが主人公を過去にいじめ倒していた理由もなんとなくわかってしまう。こんなわかりやすいリアクションしてくれる相手、楽しいことこの上ない。

終盤はシリアス展開が待っているものの、リア充を羨む男子生徒3人組のうち1人の闇落ちという文章だけで見たらカオス展開なので、そこまで強いシリアスではないかもしれない。
徹底してコメディ調を根底として進んでいく物語で良かった。

おもしれーラブコメ

ラブコメとして面白い作りをしてるな……。
わたしはキャラクターに否定的な感情が出ちゃうとそいつに対して心を閉ざしてしまうことが多く、そいつが何やっても「あーあーハイハイそうっすね」になりがち。例えばどう考えても性格悪いヒロインを何故か甘やかして何でも付き合ってやるとか。何故かじゃないなら良いし、途中でリベンジしてくれるならもっと良い。でもそれがざまぁの舞台装置だと萎えるという……人間面倒くさいな!!

この話のヒロインは主人公の幼馴染であり、幼い頃は主人公をいじめていたため主人公は彼女にトラウマを持っている。そのいじめたりする行動は幼い頃だけではなく、なんなら再会してからでもガンガン出てくる。暴力的な行動や主人公が怯えているのを見て楽しむ嗜虐的な言動も多い。
ただ同時に主人公を好きだっていうのも全面に出しまくっているので、照れ隠しだからそういう言動をしてしまうとかじゃなくてドS的っていうか。ツンデレでは全然ないんだよね、ツンとデレが同一なので。自分の言動で主人公が怯えた反応をするのを楽しんでいる。やってることはドS的発言や主人公の過剰な怯えによる被害妄想を全部差っ引くと、かなり素直に好意の発露だったりデートのお誘いだったりするからね。言い方と行動が全部悪いけど。主人公がダメージ受けてるのを楽しんでるし。
そして主人公がリアクション大きいタイプなので、まあそりゃあ……そんな反応をされたら楽しいよなあ……というのは薄々わかっちゃうんだよなあ~~~! こんなでっかいリアクションしてくれれば……。

とはいえ、毎回明確に主人公のメンタルを削ったり嫌がらせになる言葉を使用していてそれでも主人公に嫌われないと思っているのは傲慢だよ……。わたしはこういうタイプのヒロインはあまり好きじゃないところはある。
でも、主人公の性格的に融通が利かないタイプだから生徒会長戦のためにヒロインから距離を取れないし、ヒロインに依頼されたら性格的に受けてしまう。そういうキャラであるっていうのが随所から存分に溢れている。
やれやれ言いながらも距離を取れないタイプだとか振り回され嫌なのになぜかひっついてるタイプの主人公よりはずっとマシだなと思いながら読んでた。これがやれやれ以下略タイプたちだったら主人公にも嫌悪感持っちゃって読むのをやめる。そうじゃなく、堅物でやると決めたらやる性格をしているからこそ付き合ってるんだろうなと思って読んでいくうちに、徐々に主人公自体にも好感を持ち出す。

という状況で、終盤で主人公もヒロインへ好意があるのがわかった瞬間に、だったら今までのはただのラブコメのイチャつきじゃねえか! と納得してしまった。たぶん、これ序盤のうちにそれが明かされてたら主人公も嫌いになって読めなくなってたんだよな……。明かされるタイミングがめちゃ美味かった。

ヒロインを助けに行く主人公はそれこそ典型的なツンデレみたいな台詞を吐いてるのが良かったな。ヒロインがツンデレを通り越したただのドSだからこそ映える。


令和に読むにはヒロインのキャラ造形に些かきついところはあるものの、それでも悪くはなかった感じ。
ところでリーダーを闇落ちさせた犯人って明確になってたっけ? なってないなら続刊前提で打ち切りパターン?

今日も俺は暗黒幼馴染に立ち向かいます。 魔法使いたちの望みと願い (MF文庫J)葉村哲

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