映画化もした護られなかったものたちへの続編。
護られなかったものたちへが東日本大震災を下敷きにしつつそこまでメインでは持ってきていなかったのが、今度の話ではかなり核の部分に持ってこられている。
物語としてはすごく面白かった。
津波によって行方不明となった人は、もしかしたら帰ってこないだけでどこかで生きているかもしれない。そう願う人のもとへ『あなたの奥さんがこの場所で亡くなっていました』なんて連絡が来たら、どうして連絡をしなかった、生きていてくれたのか、なんで死んでしまったんだなどと様々な思いを抱きながらその場に向かうだろう。そして到着してまったくの別人の遺体があったら愕然とするだろう。
描かれていたのは、東日本大震災という多くの犠牲があった出来事だからこそ行える犯罪であり、その場にいまだ残されている人の悲しい物語だった。
んだけど、めっっっちゃ地元民なので、読んでいて「あーーー場所わかる!!」「ここ!!!この地名!!!これから行く先にいる人絶対家族持ちで一軒家に住んでる!!」「待って待ってこの出てきたコンビニ絶対高校生が学校サボってたむろったりしない」などと、完全に意図されていない場所を面白がってしまった。
仙台を舞台にした現代物の小説ってあんまりない。主に伊坂幸太郎。なので舞台にしている小説ですと言われると嬉々として読んでしまうし、知っている場所が出てくると大喜びしてしまう。
安養寺にあるコンビニって1軒しかないんだよ。おそらく地図を見て近くの高校生たちが学校サボってるだろうなと思ったのかもしれんが、あそこのコンビニ行くまででけえ坂を登らなきゃならないのであの山超えたらもう別の場所まで行くんじゃないのかな。
安養寺からの逃走ということは、おそらく与兵衛沼や枡江あたりの森に入り込んだら道覚えている人以外は面倒くさそう。
そんな地元民ならわかるあれこれを想像しながら読んでいた。もうめっちゃ楽しかった。まるで一ミリも正しくない楽しみ方をしている気がする。