「愛され天使なクラスメイトが、俺にだけいたずらに微笑む 1」周囲に溺愛されながらも自立したいヒロインめちゃ可愛い

★★★★☆,HJ文庫学園,恋愛,料理,溺愛,現代

あらすじ

愛されキャラな天使すぎる彼女の意外なギャップにときめく甘々ラブコメ!!

安らぎの天使と呼ばれる愛され美少女・里見千佳。お菓子作りガチ勢の市瀬颯真は、お菓子の差し入れをきっかけに、千佳に放課後、試食係をお願いすることに。代わりに、颯真も「色んなことをやってみたいんです」と言う千佳を見守ることになって――

「……市瀬さんの恥ずかしがる顔って、すごく可愛いんですね」

普段は受け身なのに、なぜか颯真にだけはSな笑顔を見せてからかってくる千佳のせいで、颯真の放課後はどんどん甘いものに!?
お菓子が結ぶいたずらな天使との甘くて刺激的なラブコメ開幕!

面白かった!!!

正直に言うと同じ作者さんのボロ屋リメイクラノベが絶妙な片手落ち感があったので、読む前はどうかなーと思ってたんだけれども、二人が徐々に近づいていくあたりや、ヒロインが頑張ろうとする描写が可愛くて読んでいてものすごく楽しかった。

すげーどうでもいいんだけど、ヒロインの『安らぎの天使』という若干アレめなニックネームについて、作中冒頭でツッコミが入り、しかもつけた張本人が自分だと名乗るの笑ってしまった。そういうの好きだよ。

協力関係という名目でデートするのが可愛い

溺愛されまくりながらも独り立ちしたいヒロインと、パティシエ志望主人公が、ともに協力関係という名目でイチャイチャしまくるのが最高に可愛かった。

ヒロイン的に主人公ぐらいの立ち位置がやりやすいっていうのが読んでてわかるわかるーーーと。なんでもかんでも手出ししてくれる友人たちは、悪い人じゃないから嫌いじゃないんだけれども、けれども自分では何もさせてくれないのがちょっと不満。求められたらその役割を演じてしまう部分があるヒロインだからこそ全力で拒否れず、受け入れてなんでもさせてあげてしまう。けれども本人は独り立ちしたいという自立心が強いがミスってしまうのは怖いという思い故に、本当に危険だったら手を出してくれるだろうが基本的にはほっといてくれそうな主人公にお願いするという流れがめっちゃ良かった。人を見る目がある。

最初はヒロインの観察眼(観察舌?)目的でのお願いだったけれども、頑張って一人でなんとかしようとするヒロインをほっとけ無くて、けれども適度に放置して頑張れ頑張れしてくれる主人公の立ち位置がすごく良かった。このぐらいの距離でいてくれたらヒロインが安心できるのもわかる。

主人公の好きなものがお菓子でパティシエ志望だからこそ二人で行く場所がどこもかしこもデートみたいなのも最高に可愛かった。ふとした瞬間にヒロインが魅せる蠱惑的な表情でドキッとしつつも手を出したりはしきれない主人公の理性や立ち位置もめっちゃ好き。

この物語で好きなの、主人公とヒロインのパーソナルスペースや距離感への感覚かもしれない。

ヒロインは意図的に主人公に触ってみたりじゃれついてみたりするんだけど、明確に恋愛感情というわけじゃない。そういうことをしたときの主人公が可愛くて面白いからという理由が強い。じゃれ合いとかSっ気とかそこらへん。対して主人公は、ヒロインが自分だけに見せるそういう姿に独占欲を感じつつも弄られるのは照れる。この距離感よ。冒頭からヒロインが主人公に好感度MAX恋愛感情マシマシで押せ押せしてくるよりも、こういうからかい風味混じりの可愛いっていう感情で迫ってくるの、めっちゃ可愛いな……。それに主人公が自分だけのものって思って独占欲感じちゃうの、本当にめちゃくちゃ可愛いな……。

最後の最後に主人公がヒロイン親友に言われていたけれども、やってることは本当にデートだよ。イチャイチャだよ。無自覚イチャイチャバカップルだよ。安心してくれ。

主人公もヒロインもめちゃくちゃ好感が持てる

これだけ周囲から溺愛されちやほやされながらも独り立ち思考があるヒロインがめっちゃ良かった。

してくれるならしてもらえばいいじゃなくて、自分でもなにかしたい! と思えるの、精神的にはめっちゃ独り立ち出来てるよ!! やりたいことが一人で映画予約や一人で服を選ぶなあたり、まーーーじで周囲、なんにもさせてくれなかったんだな……感があった。一人で服を選ぶのレベルだぞ。それに甘えず独り立ちを選ぶヒロイン、本当にすごいし偉い。

自立心がありながらも、周囲が溺愛してなんにもさせてくれないって、本人的にはきっとめっちゃきつかっただろうな。友人に親など周りの人ほぼ全部すべて。その溺愛に甘えられるような精神性なら楽だったかも知れないけれどもヒロインはそうじゃなかった。でも、周りの人の厚意は無駄にしたくない。そういうところが読んでてすごく愛おしかった。

ヒロインが主人公の照れた表情でやべえ性癖開花させちゃったけどこれは将来的に大丈夫なんだろうか。大丈夫じゃない気がするな……。なんか……責任取って結婚してくださいね……という気分になった。この二面性がすごく良いんだよね。わざとらしさや二重人格じゃないですかというほどのギャップはなく、本人もどうして!?となっているのだけれども、でも蠱惑的な雰囲気はある。これが本当にめちゃくちゃ良いのよ……。可愛い……。

主人公も向上心ありありで、ヒロインに目をつけたのもそれでなんだけど、ヒロインだけに食わせてる描写がちょいちょいあったのが気になった。パフェとかパウンドケーキとか。お前も食えよ。己の舌にもっと叩き込めよ。

溺愛ヒロイン・溺愛ヒーロー系が流行りかなと思うぐらい出てくる中で、ヒロインの独り立ちを見守りながらも互いに溺愛というほどの近さはなく、恋愛感情も現状ではそれほどなくて、でもこれから自覚して芽吹きそうという雰囲気がものすごく良かった。

関係の亀裂もないのに面白い

これはさすがウェブ小説家じゃなくて書き下ろしもやってきた小説家だなーと思うんだけど、ちゃんと盛り上がりポイントがあってよかったです。最近盛り上がりポイントが無みたいな小説数本あたったからな……。出会いとしてお菓子の批評、ヒロインのやりたかったことに付き合うという形で二人だけの関係を築き上げて少しずつ近づいていく距離、ヒロインのお宅訪問でご家族とのご対面、ボスであるヒロイン親友の試験。二人のプライドがぶつかるだとか関係に亀裂が入るだとかいうイベントなしでここまで面白くなるんだなーと思った。

ヒロインも主人公も好みで、この二人の無自覚イチャイチャをもっと見たい! と思わされた。

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