「幼馴染の自動販売機にプロポーズした経緯について。 (カドカワBOOKS) 二宮 酒匂」

★★★★☆

あらすじ

田舎町のおんぼろな自動販売機、そのそばにはいつも着物姿の女がいる。
軽やかに歌う彼女は「人ならぬもの」。なぜか“ぼく”にしか見えない女を幽霊と勘違いし、塩を投げつけた…それが、出会いだった。

年月が過ぎ、気がつけば“ぼく”は、大人な見た目に反して子どもっぽく純粋な「自動販売機の精」に、恋をしていた。
だけど“ぼく”は知らなかったんだ。彼女の本体であるおんぼろ自動販売機に「おしまいのとき」が迫っていることを――。

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タイトルに反してかなりまともに、人外との異種婚譚が好きな人に刺さりそうな物語

タイトルから色物だろとナメてたけど予想外に面白かった。いや、本当にガチの自動販売機に告白するんかなと思ってたせいなんだけど
。なろうだとありそうじゃん……。
どちらかというと、人外との異種婚譚が好きな人に刺さりそうなタイプだった。

小学生時代の主人公は、文具店の前を通ったときに、自動販売機の付喪神が見えてしまう。ひょんなことから付喪神である彼女と次第に交流をしはじめた主人公。
彼女との様々なふれあいを通していつのまにか主人公は自動販売機の精に恋をしてしまう。

この初恋っぷりがあーーーーもう! じれったい! 可愛い!
年上に恋してしまった思春期男子の、好きだけど素直に言えない、相手に子供として見られたくない、弟のように見られているのが嫌だ、でも距離感を変えたくない、相手が自分と同世代の女の子をお似合いじゃんみたいに言ってくるのがムカつくっていうあれこれが合わさってもう……本当に可愛らしかった……。

そして徐々に時間を経て、主人公は大人になっていく。
小学生から中学生へ、高校生へ、そして大学生、社会人になる。
けれども人外で付喪神の自動販売機の精は外見年齢も何も変化しない。自分より年下の外見になってしまっても、それでも彼女は主人公を「少年」と呼び続ける。主人公のほうが外見が大人になろうとも、彼女は主人公を弟として扱う――というのがもう。もう。
人ならざるものに恋した物語としてこういうシーンがあるともうグっとくる。エモい。好き。

いくら自分より外見上年上になろうとも、自動販売機の精にとって主人公は小さな頃から見てきた「少年」でしかないんだなあと思うと、人外と人との恋愛ってそういうとこがいいよねー! と思ってしまう。
不老不死の人外と人間のカップル好きの人、だいたいこういう描写めちゃくちゃ好きだと思う。

あらすじにある通り、自販機はそのうち耐用年数を越して稼働しているためにそのものがぶっ壊れかける。そうして二人は幸せになりましたとさめでたしめでたし物語ではあるんだけれど、そこを含めて面白かった。
全体的に駆け足ではあるんだけれど、それでも人外へ恋した物語としては本当にエモだった。すごかった。エモだった。

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