「本物の聖女じゃないとバレたのに、王弟殿下に迫られています」聖女としての能力はないが、コールドリーディングでやってく強い主人公が格好良かった

★★★☆☆,ビーズログ文庫お仕事,デレデレ,ファンタジー,主従,恋愛,溺愛,片思い

あらすじ

嫌われてたはずなのにこんなに甘く口説かれるなんて計算外なんですけど!?

聖なる力を持たない聖女セルマ。公言する必要はないので周囲には秘密だ。
だがそんな彼女を怪しむ男がいた――王弟殿下のテオフィルスだ。
彼は信者として教団に入り、何かとセルマを疑ってくる。
ところが、やむにやまれぬ事情でついに本物じゃないとバレちゃった!!
なのに彼は「君を理解するのは俺だけでありたい」とむしろ迫ってくるようになり!?

タイトルから溺愛系かと思いきや、中盤までは対立している物語で良かった……と言おうとしたらいきなり惚れたのでびっくりした。どちらかというとわたしは対立している二人が理解し合って徐々に距離を詰めていくのが好きなので、いきなりばっと落ちるのはあまり刺さらないのでそのあたりが合わなかったかも。主人公が王弟殿下に惚れるのも、なんかすげーいきなりだったなという印象が強かったかも。
王弟殿下が主人公を好きになるのはわかるんだよね。悪いやつ、嘘つき、詐欺しだと思っていた相手が、実は他人を思いやり誰かのために動く人間だと知った。そんな彼女を守りたいと思ったしもっと知りたいと思い、それが恋に変わる。この部分、感情変化の初出が主人公側視点なのでちょっともったいないなにもなったけど、好きになって一気に転げ落ちてそこから超絶溺愛大好き大好きになるのは合わないまでも理解ができた。
でも主人公はずっと王弟殿下を軽くあしらっててキスも羞恥の具合はそこまで高くなかったのに、終盤で突然落ちたように見えて、感情がどう変化したのかよくわからなくてもったいなかった。

そもそも王弟殿下、自分が女性にぐいぐい来られて女性不信気味になった過去もあるしあれと同じことをしないようにしようと思うぐらいの理性を一度は出すのに、主人公に対しておんなじようなことしてるんだよね。自分の感情メインでぐいぐい迫って行って主人公に疎ましがられている。お前自分がやられて嫌なことそのままするんだ?となって王弟殿下への好感度が下がってしまった。

恋愛面以外はすごく面白かったな。
聖女とされているが聖女としての能力はなく、他人の心を読むと思われているが実はコールドリーディングなどの技術を駆使していくタイプの主人公。カウンセラー的に他人のメンタルを癒やしていくため、心を読むとか聖女とか言われている。
そうやって本当は能力なんてないのに技術でうまく世渡りしていくようなキャラクターってすごく好き。というか口がうまい人が好きなんだろうな。
そんな彼女を信じかけていたけれども本性を知って詐欺師だの嘘つきだの言う王弟殿下だが、けれども彼女はそんなの言われても虫の羽音ほども気にしてないのが強くて好き。

自分は悪魔祓いの能力が無いが、それを人の前で出すと聖女の能力が無いとバレてしまう。そのために悪魔祓いの能力持ちの王弟殿下をうまく動かすための行動もとにかく頭が良い。

また彼女、独善的なまでに自分でどうにかしようとするところもすごく強いんだよね。

テオはさぞかし私に幻滅しただろう。私に誤りを認めさせ、謝罪の言葉を引き出そうとしていた。他方で彼は、私の噓を見抜けなかった自分自身に失望している。
 ここで私が体よく謝ったとしても、テオが抱える自責の念はこの先ずっと残るだろう。
 私はテオに自分を責めないでほしかった。だからその気持ちを私への怒りに変えようと、あえて彼の神経を逆撫でする言葉を選んだのだ。

他人が何をどう考えるか、どうすれば最も良いかと考えながら発言して動いている。頭が良くて強いなと感じた。

全体的にすごく面白かったし、恋愛部分以外の、主に主人公の性格がすごく好みで良かった。だからこそ物語のメインを占める恋愛部分がうーん……となりまくって残念だった。

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