「君が、仲間を殺した数 -魔塔に挑む者たちの咎-」主人公のメンタルがざくざく傷つけられまくるダークファンタジー

★★★★☆,電撃文庫お仕事,ファンタジー,家族

あらすじ

最高の仲間。絆と友情、そして愛。彼は失った。その全てを。

その日、ある少年が死んだ。
仲間思いで心優しい、少しだけ照れ屋な……そんな彼はいなくなり、瞳に仄暗い光を宿した狂戦士のような男が、ただ一人立っていた。
少年の名はスカイツ。彼は、幼馴染たちで構成されたパーティである《塔》を攻略するさなかに、魔の祝福を受けてしまう。
「自分が死ぬと、その場に居合わせた仲間の“能力”と――“存在そのもの”を吸収して、時間を戻し復活する」能力。
親しい友を意図せず自らの力で「喰らい」、失意の彼は次第に心を擦り減らしていく。そして、その身を削る苦しみの果て、彼は【鬼】へとその身を堕とす。
《塔》に挑む者たちの異常な日々と、彼らの罪と咎を描くダークファンタジー。

えっっっぐ!!!そして良良良良~~~~~~~~!! めちゃくちゃ好みのお話だった。

カテゴリ的にはダークラノベ、ダークファンタジーに入るのかな。ただしエロとかグロの方面じゃなくて精神を削っていくタイプのダーク。とにかく主人公の精神がガツガツと削られていく。

設定としてはかなりわかりやすく、世界樹の塔に登ろう的なラノベ。これはわたしが最近世界樹をプレイしているから連想したのもあるかも。塔に挑む冒険者たちは、それぞれ職種があり、なんらかのスキルを持っている。
仲間たちとパーティを組んでいる主人公は、ある日ひょんなことが起きて、自分が死ぬたびに自分の代わりに仲間が消失、そして仲間のスキルを得るという特殊なスキルを手に入れてしまう。

この死ぬたびに能力獲得システムって、ゲームで言えばそこそこ強い仲間を手に入れて一緒に潜って売れるアイテム集めて売って仲間がジョブごと特殊スキルを手に入れたあたりで自分が死んで仲間を犠牲にスキルゲット、というプレイスタイルが想像付くんだけど、これは物語のなかで生きてる彼らの選択なのでそうはいかないところがつらい。

彼にとって死んだ仲間たちは、孤児院育ちの大事な仲間。そんな彼らを死なせ自分だけ生き残ってしまった絶望が刺さった。
傷ついたりつらい目に遭う主人公が好きなんだよな……曇らせというか、曇らせた上で上げてくれたら嬉しいんですが、まあ最高でした。

ていうか、主人公にスキルを与えたこの存在がもう悪辣。人の心がない。いや有りすぎるからこその行為ではあるんだけど。
主人公は、自分が死んだら周囲にいた仲間が消失してしまうのだからと塔にのぼること自体を拒否しだす。けれどもこの人外的存在は、「クリアしたらお前が今まで犠牲にした仲間をすべて蘇らえてやる」と伝える。

元々の孤児院仲間でまだ消失していない女子2人とパーティを組んで登ることになるけれども、このヒロイン2人がどちらも魅力的で可愛いからこそこの先に恐怖を覚えるし、本の冒頭で主人公が治癒魔術を使っていたために、片方のヒロインの死がほぼ確定なのがページを進めることへの恐怖すら覚えさせてくる。
主人公がこの先ずっと引きこもりで塔を登らなくなってもヒモとして養おうと覚悟キメてくれるぐらいに家族として愛してくれてる2人、そりゃミスって自分が死んで無くしたくない。でも本来は6人ぐらいのパーティで登らないとクリアできない塔なんだから2人だけで登って死なれたくもない。このあたりの塩梅のうまさが本当にすごかった。

冒頭で主人公が治癒魔法を使ったからこそ、ヒロインの片方はほぼ確実に死ぬことが示唆されている。そのうえで一体物語はどう転ぶのか、どこでヒロインが死ぬのかと不安になりまくりながら読んでいた。いやほんとこれ性質が悪い!! たちが悪い!! 最高に面白かった!!!
冒頭で主人公が治癒魔法を使ったからこそ、ヒロインの片方はほぼ確実に死ぬことが示唆されている。そのうえで一体物語はどう転ぶのか、どこでヒロインが死ぬのかと不安になりまくりながら読んでいた。いやほんとこれ性質が悪い!! たちが悪い!! 最高に面白かった!!!

にしてもこれ、あの噂のシコルスキーの人の本なの!? まじで!? 嘘でしょ!? シコルスキー、噂にだけは無限に聞いてたのでちゃんと読もうと思いました。

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