「白百合さんかく語りき。」カプ厨少女二人のナマモノ幻覚カプ語りから突然忍者が出てくる。何だこの話は（困惑）
あらすじ
自他共に認めるコミュ障な永遠。誰からも愛される向日葵みたいなリリ。正反対だけどいつも一緒な、大親友の二人にはある秘密が。それは「カプ厨」なこと。
「メルベイユ！」「尊すぎます！」
今日も放課後の空き教室で、様々なカップリングへの愛と妄想を語リ合う日々。
そしてリリには、永遠にも言えないもう一つの秘密が――本当は、永遠が好き。
永遠との語らい、見つめ合い、笑い合う放課後。大好きな人を独り占めできる最高に幸せな時間。のはずが……近頃、続々と乱入者が現れて！？
華ざかり。最強に可愛い女子高生の秘密がつまった放課後ガールズラブ。
女子高生二人が、男女も百合も問わずカプ語りするお話であり、同時に片方の女子がもう片方の子に片思いしている百合小説でもある。とはいえ、なんか途中からすげー変な話になったな……？
前半と後半でまるで違う話が展開
前半は女子高生の永遠とリリがカプ厨として他人を眺める物語。周囲にいる人の関係性や仲良している男女、女女を勝手にカップリング妄想して設定を付け加えて語り合う。第三者視点から他人の恋愛模様を見るというよりも、そこに勝手に妄想したりアテレコしたり幻覚を見出したり勝手に三角関係設定を付け加えて語り合うあたり、ゆりでなる♡えすぽわーると若干近さがある物語。
こういうの、可愛い女子高生だから許されるやりとりだよな。これが舞台を会社に、キャラクターの年齢を＋30ぐらいすると、社内の人間で勝手に誰それはくっついていて実は部長と三角関係で云々と語るやべー噂好きのおばちゃんですよ。女子高生だから許されるお遊び。
そんな第三者でカップリング遊びをして楽しむ二人（時々他人の恋愛相談に乗っかったりして他人の恋愛情報を仕入れる）という物語だったのが、後輩の月合が現れてから雰囲気が変わりだす。
永遠とリリは付き合っているのかと本人に直接妄想をぶつけたりする彼女は実は忍者検定の上級者で、共に恋愛撲滅委員会の志津蓮と戦ったり、リリから永遠への気付かれないし気付かれたくない片思いをじれったく見守ったりする。
なんで突然忍者出てきたんだよとか、後半あんまり恋愛観察関係なくない？とか、リリから永遠の恋愛模様と月合によるデバガメを出すなら今までの恋愛観察との対比とかじゃね？とか、とにかく後半と後半がまるで違いすぎて何がおきたかと思った。週刊連載漫画で読者アンケートがよろしく無くて突然テコ入れでもされたのか。
月合が出てきて以降、さっきとは違うもの読んでるのか？となった。
勝手に妄想恋愛談義してるカプ厨部分だったらそこそこおもしろかったんだけど、なんかよーわからん要素がすげえ勢いで盛られてよくわからん方向性に行くあたりからついていけなくなった。逆にカプ厨としての妄想カプ語りは全然ついていけたんだよ。相手が生身の人間というあたりはやべーなとは思いつつ、彼女たちは基本的にそれを本人に告げることはしない良識あるカプ厨なので。
ところでカップリングの組み合わせ、男女と女女もあるし彼女らは行けるっつってるんだから男男もいれたら良かったのに。そのほうがなんのカプでもいけるカプ厨っぽさが出るのに、なんで男男は絶妙に避けたんだ。ラノベってネタ枠以外での男男恋愛は避ける傾向にあるよね、百合は普通に出るのにね、っていうのを思い出した。
雑な鈍感主人公仕草
リリから永遠への恋愛感情に全く気付かない永遠っていう描写がすげー雑な鈍感主人公仕草だった！ おまえ！ おまえおまえおまえ！ 今までは他人の恋愛模様に気付いたり、すっごい希薄な恋愛フラグからでも妄想してたのに、自分へ向けられた恋愛感情は気付かないのかよ！ カプ厨だなんだ言って他人の行動の深読みしてるのに！ テンプレラノベ主人公的な鈍感主人公仕草なんだよそれ！！
と思ったんだけど、永遠は自己卑下が多いので、同性異性問わず自分が恋愛対象と思われるっていうことが想像できてなくて気付かないというのはありそう。
また、カプ厨の行動って、他人の行動と言動から都合よく妄想乗っけてお人形遊びしているだけであって、周囲の人間の感情を想像しているわけじゃない。途中でリリと永遠が他人にアテレコ遊びしているあたりが顕著で、どう思っているのだろうと想像してるわけじゃない。妄想お人形さん遊びなだけ。
だから他人が自分へどんな感情を向けているのか、その行動にどういう意味があるのか、自分に都合よくしか妄想できないのはある意味すごい納得が行くものなのかもしれない。
雑な鈍感主人公っていうか、他人の気持ちを考えられない鈍感主人公なオタク女と考えると、まあ。
……とはいえ、あんまりにもテンプレ的な、周囲の人間はみんなリリの感情に気付いているが永遠だけ気付かない！ リリのわかりやすい恋愛感情に周りは微笑ましく思っているが永遠だけ友情だと認識している！ 永遠だけ一部のセリフが都合よく理解できない！ という雑鈍感主人公仕草すぎるのはやっぱり気になる。
雑に気になると言えば、口絵の月合の説明部分で永遠×クロエであってほしいって書かれてるけどクロエって誰よ。たぶんリリのもともと設定上の名前がクロエで、途中から百合小説なので百合にまつわる名前にしよう→リリって決まる（もしくはタイトルが白百合さんになったのでキャラ名も百合にまつわるものにしようとする）などで変更があったにも関わらず口絵は修正されなかったとかなんだろうな。
そういう部分も中身の突然の方向転換と相まってなんだこれは……？感が増す。