「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?~好きになったJKは27でした~ (GA文庫)望 公太」シリーズ 面白すぎて年末一気読みしちゃった
あらすじ
27歳のお姉さん×男子高校生の甘々ラブコメ、開幕!!
「私とデートしてくれませんか?」
男子高校生・桃田薫はある日、電車で痴漢に遭っていた女子高生・織原姫を助ける。
二人は互いに惹かれあい恋に落ちていくのだが、彼女には人に言えない秘密があった。
「……私、本当は、27歳なの」
好きになったJKの正体はアラサーのOLだった!?
秘密がバレた織原は桃田の元を去ろうとするが――
「――好きです、織原さん。本当のあなたが大好きです」
「いいの……? 本当に、私で」
平日OL→週末JK!?
可愛すぎる奇跡のアラサーとまっすぐな男子高校生による
年の差・純愛・甘々ラブコメディ、堂々開幕!
年末に全巻一気読みした!!
年末年始の休みにゆっくり読むつもりが、途中から読む手が止まらなくなって3冊だか4冊一気読みしてしまい、あっという間に何もかもがおわった。年末年始って今年は9連休だったらしいですよ……?
恋愛方面は不慣れな27歳と一種のスパダリ15歳の恋愛模様が読んでて可愛い
メインカップルが応援できて可愛いラブコメラノベは最高!!
何巻かのあとがきで書かれていたけれども、織原さんって恋愛方面かなりポンコツなんですよね。なのにあんまりポンコツの印象ないのなんでだろうって考えてたら、この人大人としての責務を果たそうとする人だからなんじゃないかなと。
27歳が15歳との恋愛はありえないから一回はちゃんと断ろうとする、デートの場所も二人が合わない場所にする、彼と自分の年の差を考えてやっぱりやめようと逃げようとする、大人としてキャンプの付き添いを頼まれたら受け入れる。
同時に社会人としては頑張っている部分も見える(割となんだその落ちは!ではあるけれども)ところも良かった。
でも一番好きなところは、自認が大人になりきれていないしいつのまにか大人という年齢になってしまった大人という部分かもしれない。
わたしも織原さんと同年代だからわかるんですけど、いつの間にか年を取ってしまっていつの間にか年齢で言えば大人と言われる年齢になっているのに、精神としては全然大人になれた気がしないんですよね。織原さんの言うとおり、昔から見ていた仮面ライダーは見る。でも本物の子供は高岩さんに興味がないが、わたしたちはある。本当に子供のままではいられなくて、でも精神的には大人になったっていう認識もない。
そういう部分を織原さんはきちんと認識していて、カナに訊かれたときも説明できる人、っていう部分が一番好き。
そして織原さんってあまり頼れる彼女ではないどころか、むしろいい年して面倒くさい彼女でもある。
本当は振られたくないのにモモが指宿との関係を話したときは「自分より若い子のほうが良いんでしょ?」みたいなことを言い出しながらも、姉に言われたとおり実際は自分が傷つきたくなくて逃げているだけでしかない。
モモに「勉強おしえてあげる♡」みたいなことを言っておいて、高校生の勉強なんて完全に頭から抜け落ちている。しかも彼氏が頑張ってテスト勉強してる横で大人しくしていられなくてじゃれついて邪魔をする。
疲れているとき頭ぽんぽんしてもらいたがったりと、そういう甘やかしてもらいたがるタイプ。
……っていうめちゃくちゃ面倒くさい女ではあるんだけど、そんな織原さん視点が丁寧に描かれているので、読者側としても面倒くさいけどモモのこと大好きで悩んでて可愛い……!になるんですよ。とはいえかなりギリギリのラインで、人によっては全然面倒な女にみえると思う。すげえ綱渡りみたいなキャラクターデザインの女だな、こいつ。
しかも高校生男子という彼氏がいながら、恋愛的にはかなりポンコツ。彼氏をお泊りに誘っておいてガチで徹夜でゲームする気だったり、負けたほうが脱衣のルールで下手に脱いでノーブラニットになったりもする。ヤる気もないのに無自覚思わせぶりな行動多すぎ。
……なのにめちゃくちゃ可愛いのが不思議なんだよなあ……。
なんだろう、少年ラノベの無自覚ヒロインよりも、少女漫画の無自覚ヒロインのほうが近い気がする。なぜだろう。メンタルがエロいこと知らない!じゃなくて、エロいことも知ってるし興味もあるけれどもそこに思考が行かないというタイプだからかも。少年ラノベの無自覚ヒロインはTSF系と近くてそもそもエロいこと自体が脳みそにインストールされていないイメージ(あくまでわたしのイメージです)。
大親友が女の子だと思春期に困るのヒロインがかなりその枠で、あの子の場合はエロいことをエロいと認識できてないからこそ、主人公の頭をシャツのなかに突っ込んだりしてた。織原さんの場合ってそうじゃなくて、でっかいおっぱい押し付けたらエロいということはわかりつつ、嬉しかったらそういうの考えずに抱きついちゃってから照れたりするタイプ。
織原さん視点のシーンって、うじうじ悩んだりしつつも等身大の女性っていう雰囲気がどこか残っていて、それが女性視点で読むのがメインである少女漫画の主人公っていう雰囲気があるのかもしれない。そりゃあ物語のキャラクターなんだからぶっ飛んだところは多いんですけど、でもどこか「ああ、こういう子いるよね」のギリギリなリアリティラインが残ってるんですよね。
そんな彼女のシーンがすごく少女漫画的な雰囲気だからこそ、挿絵が入るとおっぱいでっかい!おっぱいバーン!みたいな女が出てきてビビる。なんやこれ。毎度ビビる。
対してその相手役たるモモ、かなりのスパダリだからこそ、こんな織原さんと付き合えてるところがあるんだよな~。
織原さんに対して怒るのって自分の感情からの八つ当たりなどじゃなくて織原さんがやらかしたことに対してだし、それはご尤もです!みたいなのが多い。良くも悪くもすごく正しくて優しいヒーローなんですよね。全巻読んだうえで織原さんのよくないシーンを上げろと言われたら上記のように無数に出るが、モモのよくないシーンってあんまり出てこない。
テスト勉強してる最中にいたずらされて集中できなかったらもっと怒っていいし、いたずらされてコーヒーこぼれる自体になったのももっと怒っていいし、そもそも勉強おしえてあげる♡って言われて教師コスプレまでされたのにまるで先生にならなかったのは本当にもっと怒っていいよ。そこで怒らないってお前は聖人か?
作中モモ視点だとカナが聖人とか達観してる印象抱かれてるけれども、モモもかなり達観・人が良い・まともすぎるぐらいまとも・スーパーダーリンなんですよ。
万が一織原さんの相手がカナだったらもっとそうそうに織原さんは恋愛面で満足出来なくて別れていただろうし、ウラだったらあいつは最初27歳はババア扱いしてたので論外として、やっぱりモモじゃなきゃ織原さんの相手は出来なかったんだよね。
考えてみれば望公太先生の他作品であるアイサレワールドの主人公も、相当スパダリだったような覚えがある。あれやこれやと世話を焼く。
しかしあれはスパダリを発揮してる相手が男なので、世話焼きヒーローが上手いのかな。
年の差だから発生する問題
そんな二人のジェネレーションギャップも織り交ぜたやりとりも、本当にずっと面白かった。
モモが最初に触ったのが3DSでポケモンの最初の世代を聞いてジェネギャにむせび泣いてる織原さん、最高。わかるよ。ゲームボーイになんかライトつけるグッズあったよね……。
シリーズものだとかなり明確にジェネレーションギャップが発生するんだよね。ロックマンのジェネレーションギャップも笑ってしまった。
しかし、こういうエンタメ面でのジェネレーションギャップって大きいし、同じものの会話をしているつもりになって突如ぶち当たってかなりダメージ食らうよな。
これはかなり余談なのだけれども、10年でエンタメ系の倫理観だとかそういうものってかなり変わったよね。
それこそ12年前に放送していた番組のDVDを見た時、当時はオカマとかそういう発言も気軽に出てたんだけれども、最近じゃオカマなんてワード、テレビでほとんど聞くことがない。そういうタイプのジェネレーションギャップも発生しそうだな、二人。
「織原さんってブルマ穿いてたんですか」から始まる、本当に男子高校生が12年前の高校生というものを知らないからこそ出てきた純粋な疑問が織原さんの心を叩きのめすのも笑ってしまった。穿いてねえよ!だし、織原さんの自分がそんな年代の人だと思われていたということにショックを覚えるのもわかる。わかっちゃう。
からの、「主人公の父親とヒロインの姉が結婚する」という問題が発生すると思わんだろうが。しかもまさかの年齢差で言えば全然主人公カップルのほうが大問題みたいな状況。さすがに笑った。笑うしかなかった。
ウラと指宿の恋愛模様がずーっとニヤニヤしてた
好き! 最高に好きなカップル!! ツンデレ口悪い仲間内にはいくらでも強気に出る陰キャと、面倒見が良くて元気なギャル!!
ツンデレという属性の何が面倒くさいって、口から出る言葉がツンツンしていて場合によっては(そしてたいていの場合)相手への悪口になることだと思うんですよ。嬉しいときにも素直に嬉しいと言えないし、悪口は何倍にもなって口から飛び出してくる。
幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたいのヒロインがかなりその傾向が強かった。ただし幼馴染に陰で~のヒロインは自分の行動で主人公にたちの悪い逃げ癖を発揮させてしまったのを後悔して言動を正そうとしていましたが。
このツンデレの行動って、相手への甘えの部分があるんですよね。「相手はこのぐらいなら自分を許してくれる」という試し行動。人間は成長していくうちにそういう試し行動や甘え行動を減らしていくものなのですが、ツンデレキャラというのはそれを未だに抜けきれない。
というのを明確に出されたキャラがウラだった。
実際作中で行動が幼いとか「好きな子いじめちゃうような行動って小学校のころで卒業しておくものじゃないの?」って言われたりだとかしている。そうなんだよねー! ツンデレってそれが許される子供の頃に卒業しておくものであって、いつまでも拗らせているやつはやべーのよ……。
最初織原さんについてモモから相談されたときも、27なんてババア!ラノベや漫画だったらそろそろ婚活しなきゃ~って言ってるキャラの年齢!とボロクソな言いようだったからな。っていうか、実際そういうラノベキャラってまだ見るので(両親が離婚したら、女社長になった幼馴染お姉ちゃんとの同棲が始まりましたみたいな)、よくよく考えると27歳ヒロインでそういう煽りと茶化しを1回やっておくのってメタ的な意味で大事だったのかもしれない。そういう視点のキャラはいますよ、しかしこの作中においてそういう見方をするのは悪いことだと言われますよ、というキャラクターの倫理観や認識の表現として。指宿も最初は相手が27歳っていうのに引いてたしな。
閑話休題。
そのツンデレのツン言動がまるでダメージ入らないキャラとしてのギャルの指宿、めっちゃ最高に相性が良くて良かった。
ウラがどんだけツンツンというより性格悪い発言しても、全くダメージ入らないどころか投げ返したボールが毎回ウラのみぞおち抉ってるような状況で、読んでてこんな子だったらツンデレとこんなに合うのかってちょっと感動してしまった。
わたしはキャラの好みとしてはツンデレは素直になれなくて可愛い~となりがちでかなり好きなほうではあるんだけど、ツンケンした発言された相手のキャラがそれをド直球でまっすぐ受け取ってしまったり真に受けてしまったりすると、完全にディスコミュニケーションにしかならないからね……。
そのためツンデレはツンデレの性格を理解していて発言意図を受け止めてニヤニヤと眺めてくれるキャラに相手になってほしいと思っていましたが、こういうパターンもありだね。全然あり。
うっすらとニヤニヤする感じで続いていた二人が、最終巻でかなりメインになったのも嬉しかった!! 最高!!
このウラをもとにしたキャラがキミすきなのを知り、あ~だからわたしはあんなにキミすきの主人公が好きなのか……と納得してしまったり。
おわりに
途中から本当に読む手が止まらないぐらいに面白かった!! 読んで良かったです。
望公太先生の他作品も全巻一気読みしてえ~。積んでるママ好きも読みます。