「数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。」数学嫌いは魔法の説明として読め、戦記物として面白い。
あらすじ
小国ファヴェールの王女・ソアラは悩んでいた。
隣国との緊張が高まり、戦争の気配がちらつき始めた今、国力が低い自国を守るにはどうすればよいか。
父王は病に倒れ、頼みの綱の家臣たちも、前時代的な「戦いの栄誉」ばかりを重視し、国を守る具体案を誰も持たないまま。
このままファヴェールは滅ぶのか……。
しかし、そんな時、彼女の前にある人物が現れた。
《ナオキ》――後の歴史に《魔術師》の異名を残したその青年が扱う『数字』の理論と思考は、ソアラが求めた「国を救うための力」だった……!
異能ナシ、戦闘力ナシ、頼れるのは2人の頭脳だけ……!
理系青年と、敏腕王女が『戦争』という強敵に挑む『異世界数学戦記』、ここに登場!
数学は好きか
数学戦記モノ、というちょっと不思議なラインのお話。
数学大好き青年の主人公は、ある日突如異世界転移し、そこで出会った一国の王女(こちらも数学好き)とともに国を救うための数学をやっていく――という物語。
タイトルにもある通り、作中には数学がものっそ出てくる。すごいかず出てくる。
様々な数学の理論が山のように出まくって、図解付きで説明してくれるけれども、読んでいるほうは正直まったくもって理解できない。
主人公とヒロインは理解し合っているが、ちょっと待てこっちはただの一般人なんだ。なんか小難しい数学の理論だのシミュレーションだの言われてもわかるわけないだろう。速さは道のり割る時間まではわかっても、複素数だとかあのあたりはもう怪しいんだぞ。こちとらΣとCで精一杯だ。
――という数学が苦手な人種的には、この数学というものは魔術だと思えばいい。
読んでいるラノベで魔術の理論を丁寧に読み解くだろうか。否、読まない。少なくとも私は流し読みする。真面目になんざ読まない。わかんないし。され竜の咒式なんて最後に真面目に理解しようとしたのなんて中学生の頃だぞ。
というわけで、作中の理論に対しての理解度ほぼ0、主人公を魔術師と厭う他の貴族の皆々様型と同じぐらいの気分で読んでいたけれども、とても面白かった。
他人と理解しあうための方法
主人公は、数学を愛している。数学者である祖父に憧れ、祖父とおなじように数学を愛している。
こちらも数学モノ。
よくわからない数学という魔術を使って物語を鮮やかに進めていくのが読みたい人におすすめ。