「革命は恋のはじまりシリーズ」個々人が自らの立場を理解した上でより良い道を選ぶ物語
それぞれの立場を理解した物語
これで読んだ後に全巻読みきったので感想。
主人公が最初から最後まで自らの立場(後宮で囲われていた女として他人からどう見られるか、現在立ち位置だと周囲からどう思われるか、大統領の息子と結ばれる女として後宮の女というのはふさわしくないと周囲から思われる)を理解した上で動いているのがひたすらに良かった。
適当に周囲の人間が「でもあなたはあなたという人だから」といった逃げ口上を口にせず、好きな相手の両親やそれ以外の第三者含めた人間へ引け目を感じず隣に建てる人間になるために動く主人公、好感が持てる。
また、彼女を自信を持って紹介できるように自分の立ち位置を強固なものにしようとするリュステムも非常に好感度が高かった。
最終巻の、吹雪の中襲われている人を見つけた時の二人の行動が秀逸。
リュステムはナクシュデルに100数えてから生徒を連れて逃げろと告げる。リュステムは軍人だから国民を守る責任がある、ナクシュデルは教師だから生徒を守る責任がある。そう言われたナクシュデルは、ちゃんと生徒を連れて逃走する。
ここがすごい好きで、下手にリュステムのいる場所に残って子供だけ逃がすのではなく自らのできる範囲でできる内容を全うするというのが読んでいてすごく心地よかった。
自らの手で自分たちの運命を切り開く二人は好感がモテた。
とはいえご都合主義だな~って場所が無いわけじゃなく、最終巻でいえば先生がそういうポジションの人なのは流石にご都合~~~~!と言ってしまった。
でも、そういう場所含めて読んでてめちゃくちゃおもしろいんだな……。
1巻あらすじに反して非鈍感主人公じゃねえか
むしろきっちり周囲からの向けられる感情を理解してるとこあるよね?
前述の通り、周囲からの目が厳しいのをきちんと理解している。
そのためにどうしたらいいのかもわかっている。
ナクシュデルがリュステムの感情に対してできる限り曖昧なままにとどめておこうとするのはリュステムの立場が悪くなるから。なるかもしれないというよくある自己犠牲ではなく、確実に悪くなる。そのために感情を気付かないようにしようとしているの、むしろめっちゃ他人の感情に対して敏感。
一応三角関係モノではあるんだけれど、もうひとりの相手役であるレオン王子については一応鈍感とは言えるのか。リュステムは気付いているけれどもナクシュデルは気付いていないという形だし。
しかし、気付かされたところで完全に袖にしているしナクシュデルはリュステムしか見えていないので清々しさすらあった。
主人公の性格含めて読みやすく、清々しく最後まで読める物語だった。