「EAT 悪魔捜査顧問ティモシー・デイモン」そうだよこれだよバディの醍醐味
あらすじ
仲間全員を喪った捜査官。彼の新たな相棒は、悪魔の連続殺人犯だった――。
NY市警急襲部隊所属のミキオは人ではない何かに仲間を殺された。自らの証言を誰にも信じて貰えずにいた時、ミキオはFBIに呼び出される。そこで出会ったのは“ニューヨークの人喰い悪魔”として世を震撼させた死刑囚、ティモシー・デイモン。なんと彼は人ではない本物の怪物(ノンヒューマン)で、怪物絡みの事件が専門の極秘ユニット“EAT”(特殊事件捜査班)の捜査顧問らしい。
半ば脅される形で“EAT”の勧誘を受け、見張り役兼バディとしてティモシーと共に過ごすことになるミキオ。食習慣も価値観も違い衝突する二人だが、街では臓器を喰われた警察官が発見されて……。
そうだよこれだよバディの醍醐味。
反発しあう二人が事件を通して次第に距離を縮めていき、相手への理解を深め、最終的には息が合った相棒となる。そうだよこれ。これだよバディの醍醐味は。
そういう意味で100点満点、マジ最高の物語だった。
警察官であった主人公は、怪物じみたなにかに襲われて自分以外が全滅、自分も大怪我を負ってかろうじて回復した状況。そんな彼は当然、面倒を見ることを認めさせられたとは言え、人食いの怪物なんて全くもって認めようとしていない。
最初のうちは自分が喰われるのではないかと警戒し怯えて銃を突きつけるときもあるし、彼の食事が人肉なので一緒に飯を食うのは拒否る時期もある。
怪物が飄々としていてお喋りで人好きのする性格であるとわかっても、当然ながら主人公は全く気を許していない。
自分以外の仲間が全員殺されるような状況に陥ったらと考えると主人公の反応は当然だし、そもそも自分らより圧倒的な強さを持つ生き物と共存するのは難しい。
ごくごく最近仮面ライダーBLACK SUNを見たのだけれども、あれも人間と人外が共存するか? 出来ないか? という部分がある物語だった。あれも人間よりも強い能力を持った怪人を差別している。それと同じで、いくら人間とごくごく近しい外見を持とうとも、なにかあったときに自分を殺すだけの暴力を持った相手とは、人はそう簡単に仲良くはなれない。だって怖いじゃん。
相手そのものを知れば仲良くなれるかもしれないが、種族自体はめっちゃ怖いよ。常時ナイフを持って自分を突きつけている相手と一緒に暮らすようなものだから。
とはいえ、冷蔵庫を開けたら死体が入ってたり、真横で腕喰われてたりしたら、そりゃビビるわ。それもともとは人間だよ。怪物が親しくしている主人公と同族だよ。ビビるわ。
けれども、共に怪物絡みの事件を解決し、同居生活が続いていくうちに、相手について知ることで少しずつ主人公も怪物への態度を変えていく。
最初は怪物の前ではろくに寝なかった主人公が怪物の横でうたた寝をするようになったり、知識ある怪物に頼るようになったり、最終的には一緒に飯を食うのを許容したりとなんかもうその変化がめっちゃいい……。警戒し怯えていたのが少しずつ相手を受け入れていくっていうのが最高だった。最後の共闘も息がばっちり合ってるわ信頼してるわでめちゃくちゃ格好良かった。
最初に「ティムと呼んで欲しい」と言う怪物を頑なにそうは呼ばなかった主人公が、最後の最後ではすごくナチュラルに「ティム」と呼び、そこについて怪物側もなにかからかったり言及したりなどせず、ただ普通に日々が続いていくのがもうめっちゃ良かった。
雰囲気が洋画とかそっち系で、小粋な雰囲気を出そうとした感じの会話だとか描写だとか、全体的にアメドラでありそうだなと感じた。