「型破り傭兵の天空遺跡攻略」最後までめっっっちゃ面白いファンタジー
あらすじ
百戦錬磨の傭兵が空を翔ける!!第25回スニーカー小説大賞受賞作!
空に浮かぶ遺跡、それは神が残したものだといわれている――。遺跡を攻略する騎士団に臨時で雇われた"歴戦の傭兵"アインハルト・ウィラーは、その名に恥じぬ経験と知恵でどんな罠や強敵をもねじ伏せていく!
いやーーーーーめっっっちゃ面白かった。これで新人賞受賞作? このレベルで? すっっっご……、めっちゃおもしろ……。
とってもカワイイ私と付き合ってよ!シリーズがめちゃくちゃ面白かったため、同じ作者さんの別作品が読みたくなってBW読み放題で開いてみたら大当たりだった。めっっっちゃ面白かった。
わくわくするダンジョン攻略
同時攻略をしないとクリアできない双子ダンジョン。その戦力を同じくするため雇われた、型破りな強さを持つ奔放な傭兵である主人公。その彼を指揮下に置く騎士団の副団長のヒロインが中心に物語が回っていく。
同時に攻略しないと行けない双子ダンジョンっていうのが面白かったな。というかダンジョンのギミック自体が面白くて、RPGであったらクリアしたくなりそうなやつ。
また、このダンジョンを攻略するパーティのうちメインで一緒に行動するメンバーも魅力的。ヒロインに片思いっぽい何かをしていたものの開始1/4ぐらいでさくっと吹っ切る騎士と、ヒロインと同年代の魔術師。この騎士がいい味出している。主人公に軽口に絡まれて茶化されたりしつつ、成長してんだなーという魅力があった。マジでいい子。
ダンジョン攻略は途中事故もありつつ順調だったが、途中ででかい罠が発動しやべえモンスターが現れる。主人公はこういうときに騎士団の皆を助けるために自分は雇われた、使い捨ての道具だと思って使えと言って、自分だけ残って戦いに残る。
彼を残してしまったことを悔やむヒロインらが骨を拾うために再突撃したら、まさかの主人公はいまだ生きていて未だにモンスターと戦い続けていた。
このあたりで想定外すぎてビビった。たしかに普通に考えて主人公死ぬわけはないんだけど、いやいやいや普通一端引いて隠れていて、皆がピンチになったところで現れると思うじゃん……。なんか普通に戦っててめちゃくちゃびっくりしてしまったし、どんだけ強いんだよと思った。
そこからの明かされる主人公の過去で、ああ~~確かに戦い続けられるかもしれんが……いや化け物か……となるとこまでめちゃくちゃ面白かった。
この中盤以降完全に物語の予想がつかなくなってどんどん面白くなっていく。
ダンジョンのギミック自体も面白いし、世界観や魔法の理屈(?)も含めてめちゃくちゃ魅力的だった。
クライマックスでヒロインが気付いた主人公が傭兵をやっている理由などが全部ひとつに収束していくあたりが本当に最高。
きちんと最後に向けて収束する物語
主人公は宵越しの金を持たないような金の使い方で、騎士団からもらった金も速攻で酒にして使い果たす。ただし戦闘時に自分一人で敵を集めて戦えば騎士団の人間が皆逃げられるようなときには自分の命を気にせず突撃する。そのくせどこかの騎士団に所属するわけではなく単体で傭兵としてあちこちに参加する。
そのあたりの今まで出てきた主人公の性格が、彼の過去が原因であるという部分からひとつに収束していくのがもうめっちゃ美しかった。
『それでも生き延びた』から『本当は死に場所を探していた』となり、それからの『ひどい人間であるように見せかけることで自分がいつ死んでも他者が気に負わないようにしていた』まで展開するのマジで話の流れとして美しいしめっちゃ良かったし面白かった。主人公の独白とヒロインが気付いたあたりで、主人公の内面の物語が綺麗に収束するのが本当に良かった。こういう話に弱いんですよ。
それにしても、てっきり発売日からして、こちらが先に出てとってもカワイイ~があとから出した本なのかなと思ったら、まさかの同時受賞って書いててびっくりした。
ええー……どっちもめっちゃ面白いんですけど……なんだこれ……。マジで面白かったぞ……。ページ繰る手がとまんない(ただし電子)。本当にめっちゃ面白かった。