「とってもカワイイ私と付き合ってよ!」人間関係を破壊しないための偽装お付き合い

★★★★☆,角川スニーカー文庫三角関係,学園,恋愛,片思い,現代

こんな人におすすめ
  • 計算高い男女が一つの目的のために共闘する話が読みたい
  • 人間関係がぐちゃぐちゃなのを一歩引いて眺めたい
  • 友人関係ぐらいの二人が色々言い合いしてじゃれてるのが見たい
  • 主人公が恋愛関係からは外れた立場で他人の恋愛関係の後押ししているのが見たい

かわいい! これはカワイイ!

主人公がある日付き合ってほしいと言われたのは、ろくに会話もしたことのないクラスメイト。
彼女いわく、彼女がクラスで所属しているスクールカースト高めの男女2人ずつ合計4人のグループでは現在三角関係が発生している。彼女←スクールカースト高い男子←彼女の友達でありスクールカースト高い女子。
これを穏便に収めるには自分が誰でもいいから嘘で付き合ってくれる相手をみつけるしかない。彼氏がいるなら同グループ男子も諦めるだろう。しかしその場合、マジで自分に恋をするような相手では駄目だ。だから私に全く興味のないあなたに付き合ってもらおうと思う、とものすごい発言をし始める彼女。
結局探していたゲームを譲ってもらう対価に彼女に協力をすると決めた主人公と自分の友人関係を崩したくないヒロインによる偽装カップルの、人間関係崩壊回避ラノベ。

なんか最近お付き合いや告白から始まるラノベばっかり読んでるなあ、と思いつつもこれはかなり面白かった。えーーーすごい良い。
恋愛が主軸の物語であれど、この話において主人公とヒロインが協力して行う目標は『友人二人をくっつけること』。そのために偽装カップルするし、偽装デートもする。そうすることで、結果的に主人公はずっとやりたかったゲームを、ヒロインは安寧の人間関係を得られる。互いに欲しい物はばらばらながらもひとつの目標に向かって突き進む物語だった。

一応偽装カップルをしていた間に二人は良い雰囲気になりはするんだけど、結局最終的に恋愛関係といえるポジションまでは到達しないのも良かったな。あくまで戦友のポジションというか、協力者というか。
遊園地デートでイチャイチャが始まるか――と思いきや、始まるのは相手の苦手なアトラクションに乗りまくって相手にダメージを与える戦争のような遊び方。最終的にどちらも怖くない観覧車に乗ってやっと一息つくというのも可愛い。カップルモノの定番なのに休戦協定の場所になっちゃってるよ。

ヒロインが、計算できて頭がよく、人間関係を打算で考えられるくせに友人のために立ち回る少女ですごく好感度高い。
主人公を選ぶ理由も打算ならば、人間関係崩壊回避のために動く理由すらも打算。なのに可愛いんだよなあ。あざといとも言えるんだけど。私って可愛いでしょ? こんな可愛い彼女が出来て嬉しいでしょ? とぐいぐい言ってくる彼女に、ドキドキはしないものの友人として居心地良く思い始めている主人公の関係性がすごく好きだった。

主人公も、現在ぼっちだけど会話のコミュ力高くて、こいつ別に陰キャじゃないなーと思ってたんだけど、終盤出てきた事実にそういうことかーと納得。
そりゃ人間性出来ててコミュ力あってリア充との会話も軽妙ですわ。
個人的には最後の最後でかましてくるラスボスムーブがすっごく格好良かったよ。

好きなシーンは、主人公が友人ズをくっつけるために国語準備室に集めて手伝いをさせるところ。あそこで初めて主人公がすごい自主的に動いたなーと思った。惚気が聞きたくなるヒロインもすごい可愛い。

読んでてテンポ良くて楽しかったし、恋愛というよりひとつの目標に向けて突き進むという雰囲気なのもすごく好きなお話だった。

Kindle Unlimitedへ登録

スポンサーリンク