食と異世界転生はどこでも人気なのか「異世界にドラゴンを添えて (Atom Harako)」CHIKOTO
あらすじ
定番の異世界転生と思いきや、俺はニートのおまけ───?!
台湾の高校生・慕飛は、成績優秀・容姿バツグン、おまけに世界的に有名なコックを父親に持ち、高校卒業後は自動的に事業を継ぐことが決まっている、正に非の打ちどころのない生活を送っていたが、トラックに轢かれそうになっていたニートを助けてやったために、ニートに巻き込まれるようにして異世界に転生してしまう。
けれど“ニート主人公でないとチート能力を授かれない”という慣例によって、異世界転生の主人公になれず、何の能力も与えられなかった慕飛は、初心者向けの村・バニータ村で雑用として働き始める。
異常にケチ臭いハーフエルフによって支配された閉鎖的な村での生活は苦しく、助けてやったはずのニートは『天選之子』として祀り上げられたことですっかり舞い上がり、慕飛のことを奴隷のように扱うのだった。
それでも自分の身を守る術も持たない慕飛には村から出て行くという選択肢はなかった。
しかしそんな彼の住む村を、突然一匹のドラゴンが襲ったことで、村での生活が一変してしまう。
果たして彼は異世界での生活を変えられるのか、そして再び台湾に戻ることができるのだろうか───
台湾角川新人賞でデビューして以来、予測不能な展開で台湾のライトノベルファンを翻弄して来た作者が贈る、今までにない異世界転生ラノベ。
台湾発の異世界転生ラノベ
台湾のものの翻訳ラノベという部分が面白そうで手にとったものの、うーん……としか言いようがない。
基本的に異世界転生の部分は日本のラノベと同じだ。事故って異世界に連れて行かれることなる。
更に、テンプレ一捻りというすでにその時点でテンプレ化している気がするもののまあそこはおいといて一捻りがあり、主人公はチート能力を持っているわけではなく、一緒に来たやつがチート能力持ちだった。
というだけなんだよな。
どこまでも、物語の基礎がよくある異世界ラノベといった気分だった。お食事物は日本でも人気だしね。世界各国どこでも人気なのか、日本で人気だからこそウケると思って出されたのかどっちなのだろうとはちょっと気になった。
ただ、そこから少し味付けが変わる。
台湾ものの翻訳ラノベのため、出てくる食べ物などが日本のものじゃない。使われている慣用句なども日本のものではなく台湾のスラング。
一部は注釈がつけられているものの、そのせいで物語自体のテンポが悪くなる。
時事ネタやスラングって日本のものでも数年前のを読むとなんだこれってなることが多いのだけれども、それがかなりでかく出てきてしまった感じがあった。
美味しい方に味付けされてるなら良いけれど、うーんそっちかあ……という気分。
ヒロインが『ドラゴンの肉を食べたい!』という欲望でドラゴンスレイヤーをしている少女で彼女自体は可愛い。可愛いんだけど、別にその食料ドラゴンである必要がないよなあ……。
これは何を食っても良いのでは?というわけではなく、食材とされているドラゴンが『鶏のようなドラゴン』『羊のようなドラゴン』などと、なんでもかんでもドラゴン扱いされているから。
羊のような外見で羊のような味のするドラゴンなんてもう羊でいいじゃん。それドラゴンである必要ある? と思ってしまった。
1冊ですべてを判断するのもどうかと思うので他の翻訳ラノベも読むべきだなあと思った1冊だった。