「浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。」浅草を舞台にした、家族のような元夫婦のゆるめのお話
あらすじ
鬼姫"茨木童子"を前世に持つ浅草の女子高生・真紀。今は人間の身でありながら、前世の「夫」である"酒呑童子"を(無理矢理)引き連れ、あやかしたちの厄介ごとに首を突っ込む「最強の鬼嫁」の物語、ここに開幕!
面白かったー! 前世が酒呑童子と茨木童子の高校生二人が、浅草であやかしと共存している物語。姉さんっぷり発揮してあやかしに力を貸してしまう真紀も、真紀にそういうのあまりするなと言いつつも結局巻き込まれている馨も、そんな二人を微笑ましく見守っている由里もみんな可愛かった。
真紀と馨の関係性がすごく好き。
熟年夫婦っぽいというのかな。恋愛的なドキドキは互いに前世に経験してその後はとうに過ぎ去ってしまってほとんど家族のような関係になっている。だからこそ真紀は馨が告られるってときでも全く動じてない。自分のところに戻ってくるっていうか、『自分たちは夫婦である』っていう認識がすごく強いからこそ他人に告られたぐらいじゃなんにもなくない?って思ってるっていうか。この揺らがなさ、二人の絆の強さがちょいちょい見えるのが良かった。
家族家族って連呼してるが、実際すごく家族っぽいんだよな。「旦那なんだからそこのところよろしく」的な発言はあるし馨は「まだ結婚してない」(この先結婚するんだろうな)みたいな発言が多発してるけど、そこに恋愛系の甘酸っぱさはまるでない。この旦那の部分なんかを姉や弟に入れ替えてもあんまり違和感ない。真紀が両親がおらず、馨が両親不仲といいう状況で、前世の夫婦である互い以外家族といえる関係性の人間がいないんだろうなというのをすごく感じた。
ラブはラブなんだけど恋愛的なラブじゃなくて家族の親愛的なラブ。ラブコメというかファミリーコメディというか、そういう感じ。
ついでになんとなく良いなーと思うの、真紀は燃費の悪い腹ペコ少女なので馨にそこらへんで浅草フードたかるけど、晩飯作って食わせるのは真紀なんだなってところ。そんでもって晩飯の食費のやりとりはあるところ。ここが一番「この二人夫婦じゃん……」って感じたかもしれない。
浅草で生きるあやかしたちの現代っぽさが面白かった。食品サンプル製造させられている河童めちゃくちゃ笑った。一回あのあたり行ったことがあって食品サンプルのお店いろいろあるなーと思ったのを思い出した。
百鬼夜行が情報交換出会い系パーティ扱いされてるのウケ。そんなひでえ言い草あるかと思いつつ、確かに沢山集まったらそこで行われるのは情報交換だよなと妙な納得をさせられてしまった。
ちょいちょい気になったのはこういう描写古いなーってのだけど、2016年てことは10年近く前に出た本だったらこんなものか。
学校で目立っている人に張り付いて情報を収集して勝手に校内新聞にする評判の悪い新聞部、という描写が流石に古臭くない?いっそ懐かしアイテムだな?と感じた。
こういう、捏造上等!話題にさえなればOK!スクープ撮るためなら他人の迷惑関係なし!仕込みもなんでもしたろうじゃないか!っていうの、今ならどっちかっていうと迷惑系YouTuberを感じる。っていうか主に二次元の存在が現実に出てきたようなもんだな、迷惑系YouTuberと評判の悪い新聞部。
面白かったので続きも読みたい。