「かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮」未来視で視た未来を回避するため頑張るおもしれー女

★★★★☆,集英社オレンジ文庫ファンタジー,三角関係,付き合ってる,恋愛,溺愛,逆行

かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮

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あらすじ

すっかり落ちぶれた華族に生まれた櫻子は、代わって権勢を誇る蛇神一族の御曹司と政略結婚するよう決められた。しかし結婚式当日、櫻子は夫である冬夜の手によって惨殺されてしまう……という未来を予知する。鳥神の守護を受ける櫻子は、「炭鉱のかなりや」のごとく危険な未来限定の予知能力に目覚めてしまったのだ。死を回避しようと決意した櫻子は、家族を巻き込み、婚約破棄から始まりあの手この手でフラグを折るが、「面白い女だ」と冬夜から溺愛されてしまい、何度やり直してもバッドエンド!? ハッピーエンドにたどり着くまでくり返す、蛇神に嫁いだ炭鉱のかなりや令嬢櫻子の“こんなはずでは”奮闘記!

夕鷺さんの小説(少女小説側)。少女小説側だと本当に可愛いんだよなあ! 一般小説だとあんなブラックなのに……。
これは自分で制御出来ないタイプの未来視能力を持った少女が、視えたものを口にしては行けないというルールを守りながらどうにか回避しようとするお話。

バタフライエフェクトが起きる逆行モノ

未来視で視えたものは必ずそうなるとは限らない、また本人はどのタイミングで未来視が発生するかわからないので、未来視というより死に戻り逆行っぽさがあった。というか物語としては、虐められている姉と、虐めている義母&義妹。姉が突然強い能力を手に入れる、溺愛相手に出会うという物語の、この虐めている義妹のポジションが主人公になったお話。よくあるもののアンチものではあるんだけど上手い人が書くとこれだけ面白くなるんだな。

未来視で視えた自分の未来を回避するために、まずは自分を殺した婚約者殿と婚約とならないようにする櫻子。しかし婚約者殿こと冬夜は櫻子のよく物事を観察している部分(一度未来視で16歳までの人生を経験したため)と彼女の物事を良い方向から見る性格(素の部分)でおもしれー女判定し、婚約破棄はせず櫻子と仲良くしていこうとする。
この冬夜が櫻子を気に入ったポイントとなる発言がそれは好きになるわ~~~!!って思うよ。突然本家に迎え入れられたために行儀作法など本当は粗野→でも上品に見えるように練習したからこれだけの所作ができるんでしょうといった、物事をプラスの面から見られる性格をしている櫻子。面接で短所を長所に言い換えるのすげえ得意そう。卑屈になってた自分をそう言ってくれる子がいたらそりゃ面白くなるよ。

そんでもって、こういう逆行モノだと時々気になるお前が幸せになったらそれによってなにか別の事件が起きるのでは?が次々と起きるのが面白い。冬夜との婚約破棄はならずとも義姉を虐めず仲良くしたらそれはそれで別の殺人事件が起き、だからといって冬夜と距離を取れば別の殺人事件が発生。バタフライエフェクトが起きすぎる。婚約者殿に溺愛されたらハッピーエンドルートが開けるのではなく殺人事件ルートが開けるの、あまりに嫌すぎる。血なまぐさいよこの話。でも普通なにかしらの破滅回避したらそんぐらい発生するよなあ……。

冬夜は確かに最初に見た未来視でも分かる通り自分の好きな人のためになるのならば殺してしまえが発生しかねない人間ではあったんだけど、だからといってヤンデレとして覚醒すな。でも義姉もヤンデレ覚醒したあたり、櫻子がヤンデレ多発させるのがうまいのかもしれん。嫌すぎるな、乙女ゲーのヒロインか。いや少女小説の主人公だけれども。

おもしれー女だよお前は

基本的に櫻子って、誰かのために頑張れるし、ある程度まともに頭も働く。心の準備があれば父親の隠し子である義姉とも仲良くできる(結果依存されて殺人事件が発生するけれども)。そんでもって割とおもしれー女としか思えない、重箱背負って婚約者の職場まで登場といった行動もしてくれる。死にたくないので諦めたりせず幸せを手に入れるために頑張る強さもある。

そんな櫻子がなんで初回そこまで義姉を虐め倒してしまったのかとは思ってしまう。1冊読んだ上での彼女の性格的にそこまでしない気がするんだけどな。母親と同調してしまったにしてもストップかけそうな性格ではあるんだけど。そこらへんなんでかなーとは思った。

それにしてもラストは結構気持ちよかったな。そうだよ、悪いの全部父親だよ、オメーが悪い。

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