あらすじ
お兄ちゃんにスキャンダル!? Sランク冒険者で内縁の妻(自称)登場!
未踏破迷宮配信、迷宮爆発の単独制圧など規格外な配信でチャンネル登録者数を順調に伸ばしていくお兄ちゃんこと鈴田迅。世界的にバズっても変わらず妹の麻耶以外は興味ゼロだが……「久しぶりね、マイダーリン!」「てめ、今すぐ帰れ!」
Sランク冒険者の真紅レイナ(自称:内縁の妻)とのスキャンダル発覚!? お兄ちゃんガチ恋勢の阿鼻叫喚コメントが流れる中、嫌々始まるコラボ配信は今まで見たこともない内容で……!
さらには国内最強ギルド【雷豪】リーダーとのバトル案件、最凶迷惑配信者に狙われる強制コラボなど……最強お兄ちゃんの無自覚無双バズリっぷりは留まるところを知らない!!
1巻に引き続き、シスコンお兄ちゃんTUEEEEEEを楽しむ物語。お兄ちゃんTUEEEEEEなのは相変わらずで一切ピンチに陥らないが、そういう部分含めて楽しめる人は面白い。
私は新規登場の女キャラがツボりすぎて最高だった。
ぐいぐい行って好意を隠さない女子は可愛い
前の巻にしてもすでに女子複数人侍らせていたお兄ちゃんだけれども、今回新規登場した女子キャラが印象的というか全部ぶち壊していくというか、2巻からヒロインレースに参戦してぶっちぎりトップを走り抜けようとするんじゃねえ。なんだこの圧倒的強さを見せつけるヤバは。
新規ヒロインことレイナは、昔お兄ちゃんに助けられたことがきっかけで恋心を抱いている。そしてことあるごとにお兄ちゃんのそばでべたべたしまくるし、現在配信者として活動するときも「私は心に決めたダーリンがいます」として言い切り、配信開始時の口上もだいたいそんなノリなので男ファンはまるでつかない。でしょうね！！
『……あの？ もしかして玲奈さんとお知り合いでしたか？』
「……ええ、まあ」
「家族ぐるみでお知り合いでーす。将来を約束した仲だもんね、ダーリン！」
「違うぞ？」
『そうだったのですか……おめでとうございます』
「悪ノリしないでくれます？」
『冗談です……えーと、知り合いなのは本当なんですよね？』
「ええ、まあ。昔ちょっと困ってるところを助けたって感じです」
「そのお礼に、あたしがダーリンと婚約したってわけです」
「嘘つくんじゃない」
「あっ、このことはまだ隠さないとだったね、ダーリン……じゃなくて、鈴田さん」
「意味深な言い方しても嘘は嘘だからな？」
好きなんだよなあこういう女キャラ！ 仲が良くて正妻アピールに余念が無くて周囲に既成事実として認めさせにかかるキャラ！ 同系統だと「小泉花音は自重しない 美少女助手の甘デレ事情と現代異能事件録 」も好き。
「まあ……そういうわけで、俺と玲奈の出会いはそんな感じだ」
「それから五年間、お付き合いしてるってわけだよね！」
「それから五年間、ストーカーされてるってわけだ」
こういう自分の好意を隠さず、恋愛感情を一切誤魔化さないで伝えているタイプのキャラは好きなんだよなぁ。
既成事実としてしまおうとしている部分は当然ヤバなんだけれども、彼女が出てくると普段はボケキャラなお兄ちゃんがツッコミに回らざるを得ず（ボケると結婚の外堀が全部埋められて本丸突撃されるため）、その雰囲気の違いもまた面白い。
そして彼女の魅力って、ただ圧倒的既成事実を作ろうとするヤバ女ってところだけじゃない。お兄ちゃんの隣に立てるように、冒険者としての能力を高めようと努力している。そういう人としての努力＋恋愛の努力をしているキャラに弱いので、好きだなと思ってしまった。
このあたりを考えてて、「俺の前では乙女で可愛い姫宮さん」を思い出したのだけれども、この姫宮さんの場合は好きになってもらおうとする行動もあるんだけれども、大半が痴女行為方面にかっ飛んでるので好きじゃなかったんだろうなって。
お兄ちゃんのヒロインのレイナは、行動も痴女行為方面ではなく軽妙な会話で既成事実を周囲に刷り込もうとしている方面だしね。こう考えると私は痴女行為をしているキャラは苦手なのかもしれん。
圧倒的最強主人公の物語としての評価
これは冒頭にも書いたけれども、戦力としては今回もほぼお兄ちゃん無双だった。これは主人公が弱ってほしいとか叩きのめされてほしいとか一度折れてから立ち上がってほしい勢の私としてはちょい合わなかったなという印象が残った。よく言うnot for me。
普通の冒険者だったら複数人でも苦戦するような敵でも数度殴れば倒せる。Sランクでスピードタイプな他冒険者に対戦を挑まれても、パワータイプなのに普通に対応して簡単に倒せる。冒険者潰し的な悪質配信者に挑まれても簡単にぶちのめせる。
配信コメントでもひたすらageageでsageる人もいない。
読了時、うーん……個人的に好きじゃねえんだよなこういうタイプの話……という感情が一番デカかったかも。
これでラストに出てきた害悪配信者に対してある程度苦戦したら面白かったんだけど、そういうことは全く持ってなく、大事な人達を傷つけられた＆傷つけられかけたお兄ちゃんが悪いやつは圧倒的な強さでボコりました！ だけだもんなあ。
ただ、物語的に俺TUEEEEEEであるっていうのを考えれば一瞬でも弱るのは良くなくてこれが正しいと思う、正しいんだけどnot for meだった。
私はニチアサみたいな子供向け作品育ちなのでヒーローや主人公がピンチになったり追い詰められたりするのが好きで、ただ圧勝して強さを見せつけるだけなのは嫌なんだろうなというのを改めて再確認した。