「千代の春に風花舞う かりそめ夫婦に白羽立つ!」距離感がどうしようもない幼馴染に悶える
あらすじ
ある願いを叶えるため、生き神・明神帝の<白羽姫>になった未雲。
いざ謁見と思った次の瞬間、五年前に姿を消した幼なじみ――今や“鬼”の集団<朱天童子>の頭領になった伐叉羅が現れた!!
鬼の存在を認めない朝廷はこの乱入に騒然となるが、帝は二人に興味を持ちはじめ……って、私たちが夫婦の契りを交わした仲って何言ってるの!?
鬼と人、嘘から始まるかりそめ夫婦の退魔物語、登場!
幼馴染のもだもだな距離感
主人公→幼馴染は、差別されていた彼を助けたいという感情。
幼馴染→主人公は、相手が好きだし自分を助けてくれた相手だから助けたいという感情。
この微妙な差異で発生するのが良い。
とても良い。
幼馴染(しばらく離れていて久しぶりに会ったポジション)という立場がまた良い。
離れている間に一見してはわからないぐらいに成長を遂げた幼馴染。
中身や様子もあの頃と随分変わってしまったけれど、でも直接会話をしてみたり、怒ったらぱっと防御姿勢に入るところなんてあの頃のまんま。
でもあの頃とは随分外見も違う、というギャップ萌え的なものがある。
また、二人が散々周囲から夫婦だ夫婦だとからわかれつつも、まだ二人は完全にくっついていないという距離感。
好きな人はものすごく好き! と言えそうな関係性でとても良かった。
こういうのでヒロインが鈍感なのはもはやテンプレなのか
ヒロインがひたすら鈍感!
周囲からわかりやすく囃し立てられ、ひたすら言われ、夫婦とネタにされ、自分でも昔言われていた「鬼嫁」という呼称を使っていてもそれでも鈍感! それでも相手の気持ちに気づかず絶対に理解しない! 圧倒的天然鈍感主人公!
ものすごく好みが分かれるだろうし私もそういうタイプはとても嫌いなので、どうしてもこの点は評価が低いんだよね。
最近会ったばかりの人にすらわかりやすく囃し立てられていて、幼馴染と恋愛関係だろうと思われている。
ならばそれなりの理由があるのではないか? と一考することすらしない主人公って、正直鈍いを通り越して人の感情を考えたことがないのでは? とすら思ってしまう。
ヒロインはひたすら精神が幼い。
鬼と差別される幼馴染を救うために白羽姫という特殊業務につこうとしているが、それ以外の部分(主に恋愛情緒面)がとても幼い。
とはいえ、恋愛ものって二人がくっついたらある程度終わりが見えてしまう。
特に少女小説という恋愛をメインの題材に選びがちなものの場合、その点うまく処理するのが難しい。
この点をうまく処理しているのが花冠の王国の花嫌い姫じゃないのかな。
物語の大筋の枠として政治が入っているので、結婚はその手段であり、互いに愛し合っているとわかってからも、政治面で物語を動かしやすい。
……と考えるとこの話だって二人がくっついてからも魔物退治で物語をふくらませることもできるわけで。
どうしてここまで鈍い主人公にしてしまうのか、と考えるとうーん。
幼馴染で、幼馴染男のほうが思いっきり惚れているものの主人公は無自覚、主人公のほうが実際の腕力的には低いんだけど力関係的には強いというポジション。
めっちゃかわいいのでおすすめ。