「スイレン・グラフティ(2) もすこしつづく、ナイショの同居」それでもファンがいてくれるという救い

★★★☆☆,電撃文庫友情,現代,百合

あらすじ

わたし、池野彗花はごくごくふつーの高校生。あの娘、庭上蓮は席が隣の同級生。蓮はプロの漫画家になるってすっごくがんばってて、わたし、応援してるんだ。いろいろあってナイショの同居は続き、待ちに待った夏休み! 今回蓮が挑むのは同人誌即売会への初参加?! わたしはその手伝いをしてたんだけど……

「やっぱ口だけじゃねぇか。彗花は漫画描いたことねーもんな」
「蓮の、バカッ! いくじなしっ!」

……ちょっとしたことが原因で、ケンカ、しちゃった。わたしたち、無事に本を完成させてイベント参加できるかなぁ……。チクチクそわそわ混じりのガールズ青春グラフティ、第2弾です!

シリーズ: スイレン・グラフティ
こんな人におすすめ
  • 何か物語を作ったことがある人

前の巻の感想はこちら。

秘密の同居、継続

二人の少女による同居物語第2巻。
前の巻は彗花の双子の弟と妹がいたから正しくは二人っきりの同期となかったんだけれども、今回からは双子が母親と一緒にアメリカに行ってしまったため、本格的に二人っきりの同居に。

とはいえ、この物語は少女二人による青春漫画物語のため、色っぽい展開にはならない。
ゆりというより完全なる青春物語なんだなあ。

個人的には彗花が母親に明確に嘘をついたのが結構びっくり。
前の間でも友人たちに嘘をついてはいたけれど、彼女の本質的なところはおせっかいではあれどかなり善性だと思っているので、保護者たる母親にすら言わないでいるというのは驚いた。
それだけ蓮のことを大事に思っていて尊重したいということだけれども。

それにしても女子二人の同居生活シーンもっと欲しかったなあ。
あんまり多くなかった印象。
どちらかと言うと同人誌即売会に怯える蓮のシーンがメインだからそう思えたのかも。
でも家の事をあまりせずグダグダしている蓮はものすごくイメージ通りです。

挑む・同人誌即売会

今回の二人は同人誌即売会に参戦。
同人誌即売会と言っても二次創作ではなく蓮がオリジナル漫画を書いている通りコミティア的な一次創作の同人誌即売会。
しかも最初はサークル参加ではなく、持ち込み編集部目当ての参加だった。

彗花の同人誌即売会をめぐるシーンすごくいいな。
私も同人誌即売会で一次創作のコーナーに行くの好きだからわかる。
絵柄でなんとなく可愛いとか、グッズがなんとなく可愛いとか。そんなものをついつい買っちゃうんだよね……。
当然一次創作のコーナーだけではなく二次創作のあたりでもものすごい勢いでお財布からお金が飛んでいくわけだけれども……。

彗花が最初に本を買ったサークルさんのシーン、読んでいてよかったねよかったねとひたすら思った。
最初の1冊を買ってもらった瞬間の興奮というか驚きというか、自分のサークルが他の人にも見えていたんだというあの気持ち、何年経っても忘れられない。

だからこそ蓮の、持ち込み編集部で酷評されたんだろうなというシーンが対比でざくっとくるわけだけれども。

自分の作ったものを誰かに悪く言われるのってすごく怖い

即売会参戦も決めたものの、サークル参加の怖い話を読んでしまい怯える蓮。
そんなもの気にしないでという彗花。
彗花に対して蓮が言った、自分が心血注いで作ったものを酷評される怖さを彗花は知らないというの、実際そうだよなぁと思った。

彗花は創作をしていない。
蓮の手伝いはするけれども、それでも彼女はトーンを貼ったり物語を考えるアドバイスをする程度だ。
彗花が作ったとは言い難い。

自分が何時間も何時間もかけてきっとこれなら面白いと思って作り出したものが、すでに蓮は出張編集部で酷評されている。
そして同人誌を出した場合、出張編集部の数人だけではなくもっとたくさんの人から酷評される可能性もあるわけだ。
しかもそんな内容の体験談を読んだら怖いに決まってる。

でもだからこそ、怯える蓮に彗花がついていてくれて良かった。
彼女は創作をしていない。
でも、蓮の一番の読者だし、良いところを一番知っている。
きっと彗花がいなかったら蓮は立ち上がれないだろうし、間違いなく立ち止まってサークル参加本当にやめてただろう。
そう思うと本当に良かったなと思うわけで。

女子同士の友情モノ、かつ百合までいかないライン。
こちらは仲が悪い二人だけれど、徐々に仲良くなっていくのが好きな人には絶対におすすめ。

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